マレーシアで恐ろしいもの、といえばゴッキー(文字を見るのも嫌!という人のためにポップな表現してみた)を筆頭とする虫軍団だろう。
いかにマレーシアが発達した国とはいえ、そこかしこに無造作に映える木々や植物に溢れているため、広い意味で言えばジャングルに住んでいるようなもんである。逆に言えば、都市生活と自然生活を同時に堪能できるという、見方もある。
ゴッキーで恐ろしい体験をしたこともある。お試し移住で、タワマンに住んでいた時のことである。エレベーターに乗り、ふと足を見やると、ちょこんとゴッキーが同乗しているではないか。
!!!!
他にも人がいれば、この違和感を共有できたのだが、乗っているのは私ただ一人である。リアクションするにも、ゴッキーを刺激したらまずいので、「早くついてくれ!」とただひたすら祈るだけである。
しかしこれを上回る恐ろしさに、最近遭遇した。
何気なく道を歩いていると、
ぎゃっ
排水溝から、蛇が出ているではないか。
じっとしている様子を見ると、どうやら朝の日光浴をしているようである。
これだからマレーシアの道はあなどれない。そこで何を思ったか、やや離れたところで、通行人の反応を伺うことにした。果たして、マレーシアの人々はどう反応するのか。
1組目。男性2人が蛇に接近していく。事前に彼らは気づいたようで、私の顔をニヤリと見やり、「蛇だな」と無言で会話を交わす。
2組目も男性2人だが、こちらは気づかず、うまく蛇をかわして通過して行った。知らぬが仏である。
続いておばさん。おばさんはどんな反応するかなと見守っていたが、おばさんは足元を気にすることもなく、ずんずんと蛇に接近していく。
あっ
こんな終わりを誰が予想できたか。なんとおばさんは、サンダルの素足で蛇を蹴り上げた。そして、蛇に気づくこともなく、さっさと向こうへ行ってしまったのである。
奇襲に驚いた蛇は、排水溝の中へ潜ってしまったらしい。蛇に同情である。
もしかしたら、蛇や虫にとって一番恐ろしいのは、人間なのかもしれない。