フリーランスになって半年がたった。始めからフリーランスになろう!と決めていたわけではない。けれども、自分がやりたいこと、やりたくないことを突き詰めていった結果、気づいたらフリーランスになっていたのである。
そんな人間が、フリーランスになり、仕事を得て生活するまでの約6ヶ月間を、ドキュメンタリー風にお伝えしていく。
なぜフリーランスに?
簡潔にまとめてみるとこんな感じである。
→ドバイで会社辞める
→無職として、無期限の旅に出る
→旅を始めて2ヶ月。コロナであっけなく帰国
→すぐに旅を再開できるだろうと思いつつも、次々に国境が閉鎖していく
→無職に飽きる
→日本で転職活動するも気が進まない(←日本企業にハマらない)
→日本で働くビジョンが見えない
→早いうちに旅を再開したい。しかし一向に状態はよくならん
→家で好きな時に、好きなだけ働ける仕事ってないかな♪という妄想をする
→フリーランスという言葉がちらつく
これが半年ほどの間に起きた出来事である。フリーランスになった理由といっても、これというものはない。言うならば、流れである。
これまでの仕事の経歴
経歴としては、Webマーケティングという仕事に7年ほどたずさわり、5社ほどの会社で働いてきた。日本の人材業界からすると、転職回数が多すぎて、疎まれるタイプである。
さらにフリーランスを始めるまでに、半年ほど履歴書に空白がある。その間は、会社で働かず、旅行をしたり、日本の実家でのうのうと暮らしていた。この説明がつかない謎の空白期間も、会社で新しく仕事を得る上では、不利な点になるだろう。
美しい履歴書を持った人材は、日本にいくらでもいる。
それに、ドバイで働いている期間の方が圧倒的に長くなってしまったため、日本マーケットの最新トレンドについていく経験も自信もない。
こうした理由から、普通の会社で真っ当に働くのは難しいのでは!?と考えた。実際に日本の会社にいくつか応募してみたが、結果は散々だった。そんなこともフリーランスという選択肢を後押しした理由である。
フリーランスの仕事を探す
フリーランス宣言したとはいえ、まず仕事を得なければ始まらない。7年近くも会社員生活をやってきたが、ソリタリーという性格のせいか、人脈だとかコネというものとは、残念ながら無縁である。
ということで、以下のことをやった。
・日本のフリーランスサイトに登録
・海外のフリーランスサイトに登録
・フリーランスの仕事を検索
・リンクトインを活用
フリーランスの仕事サイトはかなりある。何がうまくいくかわからん!という状況なので、まずは日本のフリーランスサイトに、手当たり次第に登録してみた。
フリーランスの仕事ってかなりあるじゃないの!
しかも40~50万とか高単価じゃないか!
ということで、すぐに仕事が来ちゃうかも♪ルンルン♪などと少女漫画のような淡い期待を抱いていた。
が!
20件ぐらいの仕事に申し込んだが、返信はゼロであった。面接にすら声がかからない状態である。明らかに履歴書で弾かれてる模様。
終いには本当にこんな求人存在するのか?と悪態をつくまでになった。
そして、心が少しゆがんだ。
確かに日本でフリーランスの仕事は、たくさんあった。けれどもかなりの確率で、週1~2で出社しなければならないだとか、高単価な案件は、週4~5で働いた場合などという条件付きであった。
エージェントがつくサイトで案件を紹介してもらおうと思った時にも、「(家でずっと働ける)フルリモートがいいです!」などといったら、紹介できる案件はかなり少なくなると言われた。
この時点で、自分が求めているのは、「フルリモートで働くフリーランス」だということに気づく。
地獄の始まり。初仕事は時給100円
というわけで、海外のフリーランスサイトに切り替えてみた。海外に会社があったら、出社しろ!なんて絶対言われないだろう、という魂胆である。
確かに、出社の必要はゼロだった。
しかし、この時点でかなり焦っていた。フリーランスになってから1ヶ月。色々なサイトに登録してみたものの、まったく仕事が決まらないからである。
揺らぐ自尊心〜♪
というわけで、とにかく安くてもいいから、仕事を得たい一心で、やったこともない仕事にも手を出し始める。
私の本業はWebマーケター(YouTubeとかFacebookの広告やる人)である。けれども、海外フリーランスサイトに圧倒的に多い翻訳の仕事や、日本語を使うリサーチ系の仕事や個人秘書などにも、手を出し始めた。もはや消費者金融から闇金に手を出してしまうような気分である。
海外のサイトは案件は多いが、その分世界中のフリーランサーたちが暗躍しているので、競争は激しい。同じ職種でも「低価格でやりまっせ!」と言う人から「元Google社員です☆」みたいなのがザラにいるのである。よって、自動的に「日本人ネイティブ」や「日本語ができること」といったニッチな条件の案件に流れることになったのである。
その結果、フリーランスとして初めての仕事を得た。
やっぴい!
が!
それは地獄の始まりでもあった。
エクセルに文字を入力していく仕事なのだが、なんとそれが9万行にもおよぶのだ。エクセルに触れたことがある人は、これがいかに恐ろしい所業かが分かるだろう。ゴマを床に9万個並べるようなもんである。
そもそも9万行なんかあったら、ファイルが重すぎてすぐフリーズする。ファイルを開くにも時間がかかる。
しかも、この作業をたった数日で完了せよ、というのである。
単純計算してみると、1日10時間働いても、休みなしで1ヶ月かかる作業である。
1日20時間働いても終わらない。
報酬は少ないので、時給は100円を切る。
・・・
ブラック過ぎやしないか?
奴隷やん?
奴隷生活だけはごめんや!ということで、フリーランスとしての初の仕事を「すんません!無理です!」と断る結果になった。
なんやこれ?
もはや呆然としていた。
仕事を得るコツをつかみ始める
というわけで、本業であるWebマーケティングの仕事だけに集中しようということになった。
また、日本でも海外のサイトでも、案件に応募しても返信は来ないということを悟ったので、ひたすら仕事の依頼が舞い込むのを待つことにした。
待っているだけでもヒマなので、情報収集したり、リンクトインのプロフィールなんぞも更新したりする。社会人になる前から、リンクトインにはお世話になっている。仕事を得るのにこれほど素晴らしいSNSはない。
一方で、フリーランスサイトでの時給単価を上げてみた。今までは仕事欲しさに時給を低くしていたが、時給が低いがゆえに、とりあえず安くやってくれれば何でもいい!みたいなクライアントをひきつけているのでは?という疑問がよぎる。
報酬にかかわらず、仕事のクオリティを優先する依頼人にターゲットを絞ろう。
するとどうだろうか。
仕事キタ!
本業であるWebマーケティングの仕事である。ベルギーのコンサル企業からの依頼だ。
フリーランスになってから約1ヶ月半、小さな仕事ではあったがようやく納得の行く仕事が見つかった。
しかし、仕事量が少ないので1ヶ月やっても、iPhoneすら買えない報酬である。せいぜい鳩サブレーが3つ買えるぐらいの程度である。
良さげな兆しが見えてきたが、それでもこの時期は「仕事の見極め方」がよく分かっておらず、右往左往していた。
仕事が決まるまでに、クライアントとメールのやり取りやミーティングに時間をかけすぎて、時間を無駄にしたり、ただ相手に利用されるだけに終わったり。
仕事を受ける基準や、やべえクライアントや案件を見極める眼を持っていなかった。それゆえに、稼ぎはなかったが、ただ徒労感だけが積もっていった時期である。
一方でこの辺りから、どういう仕事を受けるべきか、などが分かってくるようになる。
さらに1ヶ月ほどすると、今度は何件か仕事の依頼が舞い込むようになった。相手は、フランスとベラルーシの企業で、長期の仕事である。
それを皮切りに、リンクトインや海外フリーランスサイト経由で、定期的に仕事の依頼が舞い込むようになった。
しまいには、手持ちの仕事で忙しいので、新規の依頼を断るようにもなった。思うような仕事が見つからず、苦しんでいた3ヶ月間からは想像できない事態である。
結局、時間の問題だったのだろうか。
収入は?生活はできるようになったか?
仕事を得て2ヶ月後には、フルタイムで働いて会社員時代よりも多い収入を得ることができた。
うお!すげえ!
が!
会社員のように、給料がすぐに支払われる訳ではないと言うことを知った。振込が翌々月と言うのもザラらしい。本当に報酬が支払われるのか、ドキドキハラハラである。
それに会社員とは違い、毎月決まった報酬が入ってくるわけではない。現在、私は時給で働いているので、働かないと収入も自動的に減るのである。
よって、翌月には、鳩サブレー20個分ぐらい収入が減った。一方で、自分がやりたいことに使える時間は増えつつ、仕事もできたので、収入は少なくなったが生活の満足度は高い1ヶ月となった。
とりあえず今のところは、生活ができるような収入を確保することができている。
まとめ
正直、1年前まではフリーランスなど考えていなかった。会社で働かない=起業する、独立する、などと考えていた。それらは、きっと実力があって、人脈がある人がやるもんだろう、と思っていた。
一方で、会社では働きたくないけど、仕事はしたいと考えていた自分はいた。それが結局、フリーランスという働き方にたどり着いた。
もしかしたら、これを読んでいる人の中には、フリーランスになることを考えている人がいるかもしれない。いや、今の働き方に不満を抱いているけど、どうすればいいかわからない、という人もいるかもしれない。
過去の私がそれであり、結局やりたいことをやるために、一切働かない無職という道を選んだ。約1年前のことである。
けれども、数年前まではできなかったもことも、今ではずいぶんと可能になっている。場所や所属にとらわれない働き方を肯定するスタイルが広まりつつあるし、何よりコネも人脈もない人間ですら、ネットにつなぐだけで仕事ができてしまうのである。アンビリーバボーである。
なれるかどうかはわからないが、とりあえずやってみる。
その延長線上に、意外と自分が思い描いていた理想があったりするらしい。この半年でそんなことを思った。