そんなんアリ!?仕事ができない面倒な上司に対する革命的な対応

会社で働いていると、1人や2人は「この人、ちょっとなあ〜」と思う人はいるだろう。

けれども、何もしない、というのが多くの人がとる反応だと思う。もしくは、飲み会で「マジあいつありえんし」と、仲間たちとストレスを発散させるぐらいだろうか。

自分が関わるプロジェクトに大きく支障が出ない分には、放っておけばよい、というのが私のポリシーである。

それが今までの私の常識だった。

数ヶ月前、私が働く部署に新たな社員が加わった。

役職は”VP”である。”VIP”ではない。”VP”は”Vice President(ヴァイス・プレジデント)”の略だが、我々はもっぱらVPと呼んでいる。

日本の役職で例えるならば・・・よくわからないが、とにかく上の方である。具体的にいえば、役職があと2~3個あがれば、CEOの座にタッチダウンといったところである。

VPなので、私よりも役職は高い。上司の上司といったところになるだろうか。彼の経験年数としては、18年ほどである。

さて、このVP上司が、タイトルにある面倒な上司である。私からすれば、確かに面倒ではあるが、面倒のレベルでいえば、まだ全然かわいい。

広告代理店時代に、地獄の番人と働いてきた(詳しく知りたい人は、記事最後の関連記事を参照)ので、このくらいでは、なんとも思わなくなってしまったのである。

しかし、地獄の番人と働いた経験のない、ピュアなチームメンバーたちは、にわかにざわついていた。

「え?何なんこの人?」

口にこそださないが、そうした共通意識はあったように思う。なぜメンバーたちは、ざわついたのか。

チームメンバーの意見を元にポイントを整理すると、こんな感じ。

・VPなのにVPの仕事をしていない
・ヒラ社員の仕事に、いちいち関与してくる←これはマネージャーレベルの仕事
・結果を出しているのに、チーム全員無能扱い
・会社にもチームの利益にもならない、瑣末なことばかりに時間を費やす

まとめると、自分の仕事をしないで、他人を批判している人である。

正直、私自身は他人のことをあれこれいうことには、興味ない。言ったところで、時間の無駄だし、相手も変わらないからである。

しかし、彼がいかなる人間かということは、この話にとっては重要なので、書いたまでである。

達観しているインド人マネージャーと私をのぞけば、まわりの人間は彼に対してややいきりたっていた。

そして、事件は起こるのである。

同じくマネージャーのヤスミンが、突如としてこんな告白をした。

ヤスミン:「さっき人事の人と話してきたの」

私:「何を?」

ヤスミン:「私、このままじゃ我慢ならない。彼はVPなのにVPらしい仕事をしてないじゃないの。本来彼が策定するべき戦略も、彼のビジョンもあやふやだわ。それだのに、私たちの仕事を批判して。私たちが正しいと思う事も、全部否定されるじゃないの」

ヤスミン:「だから私言ったの。この状態が続くなら、私こんな会社で働きませんって」

私:「ひえっ?それって会社やめるってこと?」

ヤスミン:「・・・うん。このままの状態で働いても、なんの意味もない」

なんなんだ、この革命的野心は?

「アラブの春」ならぬ、”アラブの夏”が我が部署にやってきたらしい。

この革命的行動に私は3つの意味で驚いた。

1つは、会社をやめてもいいという覚悟。2つめは、役職がかなり上の人間の能力に対して、堂々と批判していること。3つめは、それを人事に直訴していること。

あまりにも堂々としているので、こうしたアイデアを思いつかなかった自分の方が、クリエティビティに欠けていたのでは?とすら、思ってしまった。

2つめに関しては、かなり勇気がいる所作である。確かに、私もちょっとこの人どうなん?とは思っていたが、もしかしたら私だけがそう感じているのかもしれないし、彼の仕事をすべて知っているわけではないのだ。

だから、この人仕事できまへん!という確固たる自信はなかったのだ。

もちろん、個人的要素もあるだろうが、カルチャーも関係していそうだ。この話を聞いた、パキスタン人同僚は、「役職が上の人を堂々と批判するのは、マジびびったわ」という私の意見にうなずいた。

一方で、アラブ人同僚は、「まあ、それは妥当だよね」とうなずいていた。普段は、どうでもいいことに、大げさなリアクションをかます同僚が、である。ということは、彼らにとっては、ありえることなのだろうか・・・?

さすが、アラブの春を起こしただけある。なんだか妙に納得してしまった。

革命蜂起のためメンバー同士で団結するべきか、もしくは分派して行動を起こすのか、もしくは静観か。1名の革命戦士が声をあげたことにより、部署メンバーたちの方向性が問われている。

果たして、この革命は成功するのだろうか。そして私も革命戦士となるのだろうか。

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