毎日がピーカンのドバイでは、雨の心配をしなくて済む。天気予報をチェックすることもなければ、天気によってこまめに服装を変えるということもない。
この点においては、ドバイに住んでよかったと思う。しかし、ドバイ特有の困る天気もある。それが砂嵐。
ミッション・インポッシブルみたいな砂嵐はまずない
ドバイの砂嵐というと映画、「ミッション・インポッシブル・ゴースト・プロトコル」でのシーンを思い浮かべる人もいるのではないか。
世界一高い高層ビルを登っていると・・・なにやら遠くに砂嵐の影が・・・
迫り来る砂嵐から逃げる!
しかし、あんな規模の砂嵐はまず街で起こらない。朝起きたらなんか景色がぼやっとしている。と思ったら砂が舞っていた・・・というように実際はもっと地味なのである。
地味だが、これがやっかいである。
外を歩いていても、鼻がむずむずしたりするので、砂が体内に入り込んでいるのは間違いない。しかし、こんなことで動じないのがドバイ市民である。みな、防塵マスクなどをつけることもなく、平然と街を歩く。そんな日に洗濯物を干すと、砂をかぶること間違いなしなのだが。
とある砂嵐の日。映画に比べると地味な絵。
なのでミッション・インポッシブルのような砂嵐は、まずドバイでは起きない。映画を盛り上げるための演出上の誇大表現とも言える。しかし地味にリアルなのがこちら。
砂嵐の中、ターゲットを追いかける。
砂嵐の中、砂を防ぐためスカーフを巻いている。このスタイルは、ドバイでよく見かける。意図的なものかはわからないが、こうした細かい演出は実にリアルである。
頻度は年に数回。季節の変わり目に起こりやすい
ドバイに住んで4年ほどになるが、砂嵐がよく起こるのは季節の変わり目という印象がある。
UAEを含めた湾岸諸国の天候はおもに冬季と夏季に分かれている。大雑把に言えば夏季は4月から9月。冬季は10月から3月。この季節の境目には、風がふく。日本では、木々の彩りなんかで季節の移ろいを感じたりするが、この地域では風で季節の変わり目を知るのである。
日本で、中国から吹きつける砂嵐を「黄砂」と呼ぶように、この地域では「シャマール」と呼ばれる砂嵐がある。シャマールの発生源は、シリアやヨルダンなどと言われており、イラクやUAE、サウジアラビアまで押し寄せるのである。シャマールは主に夏に吹くと言われているが、冬に吹くこともまれにある。
風が吹くと、砂も舞う。近未来都市の皮をかぶっていても、街のあちこちにはミニ砂漠がある状態なのだ。
手つかずでむき出しのままの砂漠。オフィス街なのに・・・
車を放置しておくと砂と落書きの餌食になる
風が強い日には、こうした砂がブワーっと舞う。そんな日は年に5~10回ほどある。
砂嵐がおきなくとも、道端の車やビル、植物なんかは常に砂を被った状態である。日常的に砂が舞っていることの証だろう。その度に、「ああ、やっぱり砂漠の都市に住んでいるんだなあ」ということをも思い知らされる。