低身長はつらいよ・・・平均身長が高い国で暮らしていて困ること

高身長な人々が多いドイツに住んでいると、チビであることが一種の障害になってくるような気がする。

私の身長は156センチで日本で言えば、そこまで低いわけではない。しかし、男性の平均身長が178センチ、女性の平均身長が165センチというドイツでは断然チビになる。そしてチビゆえに時々困ったことに遭遇する。

見ている光景が違う

街中で偶然ドイツ人の友達に出くわした。私の身長だと、高身長の人は胸の辺りぐらいまでしか視野に入らない。相手はすぐに私に気付いたが、私に至っては、189センチの友達の顔など目に入らなかったのだ。30センチ以上も違うと、見ている光景が全然違うことに気付かされた。

ちなみに話すときも、こちらは常に見上げる形になる。あちらも見下ろす形になる。床に座るとようやく同じ目線になる。これはそこまで苦にならないが、同じ目線で話ができるって何だか、いいことだったんだなあと感じてしまう。

家の窓に手が届かない

ドイツの家ももちろん、ドイツ人に合わせた作りになっている。生活をする分には何ら障壁はない。しかし、先の友人が私の家を訪れたとき、窓を開けたのだが、

「え、その窓開くの・・・?」

と初めてその窓の存在に気づいたのである。窓は上下に分かれていて、下の窓は開くことを認知していたが、上の窓に限っては台を使わないと届かないほど高い場所にあるので、私の中では開く窓とは認識していなかったのだ。

そう、私の家には高身長しか開けられない窓がある。

逆に友人の家では、キッチンにあるスパイス棚が素敵だね〜と思っていたが、あくまでも飾り的なものだと思っていた。何せ到底高い場所にあるので、”私”の身長では日常的に使うものではない。このことを話すと、逆に「えっ?」と驚かれて、日常的にこれ使っているけどと、サッとスパイスを出し入れしていたのだ。

そうか!身長が高いと空間を優位に使うことができるのか・・・

ちなみに、ドイツでは何センチから高身長になるのか?と聞いてみたところ男性の場合、190センチからで189センチの友人は、フツーの身長だという。逆に170センチ以下は小さいとのこと。チビにしてみれば、理解し難い領域である。

カウンターに手が届かない

一番恥ずかしい思いをしたのが、「カリーヴルスト」と呼ばれるドイツでは定番のファストフードを街中のスタンドで食べた時のことだ。

ドイツ人にとっては普通サイズのスタンドに見えるが・・・

注文するまでは良かったが、カードで支払いをするときに、カウンターがあまりにも高すぎて手が届かない。さらに、注文の品を受け取るときにも、商品に手が届かない・・・店員が手を伸ばして品を受け取る形となった。

何これ・・・

まるで小学生になったような気分である。周りの客を見回しても、みなさん手が届かないといった様子はない。背が低くて困ることもあるもんだなあ・・・と思いながら、カリーヴルストを頬張るのであった。

またクリスマスマーケットに行った時のこと。マーケットでは立ち食いが基本なので、あらゆるところに立ち食い専用のテーブルが置いてある。しかし、このテーブルもドイツ人仕様なので、とにかく高い。同じテーブルには中国人の家族連れもいたが、私も含め高いテーブルでぎこちなく食事をするのであった。

服のサイズが合わない

冬服をほとんど持っていないため、ベルリンで冬物を買い込んでみたわけだが、ピッタリ体に合うものは少数だった。袖は長い、丈は長い・・・よって購入したもののサイズを合わせるために、仕立て屋に持ち込み、お直しをする手間とコストが発生する。

世界展開している同じブランドなのに何が違うんだ・・・?フランス人の知り合いに聞いても、「フランスと比べてもドイツものは大きいのよね〜」という。

そうだよね。何せ町中にはパリコレモデルみたいな高身長の人々がわんさかいるのだ。ただでさえ身長が高いのに、ヒールが高いスニーカーやブーツを履いている。ちなみに靴のサイズも、私のサイズ(23.5cm)はドイツでは、あまり需要がない小サイズらしく、品切れであることが多い。

商品に手が届かない

ドイツでも人気のユニクロに行った時のこと。XSサイズの商品を選ぼうと思ったが、私の手が届く範疇にあるのはMとLサイズしかない。

XSサイズはどこへ・・・?

とあたりを見回すと、XSたちが棚の上の方に押しやられているではないか。まるでドイツではXSを着るやつなどいまへん!と言わんばかりである。

もちろんドイツ人サイズではM以上が主流のサイズだということは、理解できる。しかし、足を伸ばしてギリギリ届くか届かないかの場所にある商品をゲットするのは容易いことではない。

というわけで、本当は別のカラーが欲しかったが、とりあえず足を伸ばして届く範囲にあるという理由で、違う色を購入した。商品を買うのにも一苦労である。

これをドイツの友人に話すと、逆パターンも然りでユニクロでヒートテックを買ったが、袖が短すぎる!とのことであった。

食べる量が違う

身長や体格で胃袋の差がそんなに違うと思えないのだが、明らかに食べる、飲む量が違うということに気付かされる。

例えばビール。日本人にとっては250ミリ缶がデフォルトのサイズだが、巷のドイツ人たちが飲んでいるのは、500ミリのビンが基本サイズ。キリンが発表した1人当たりのビール消費量ランキングでは、ドイツは日本の約3倍の消費量になっている。大瓶で換算するとドイツ人は、年間平均で147本も飲んでいるわけだが、街中でビール瓶を持ってうろついている人々を見れば納得の数字である。

スーパーでも、野菜や果物が、業者サイズか!というものが、平気で並んでいる。逆に言えば、私のサイズにぴったりなビールや野菜の分量を見つけるのが、難しいというのもある。

胃袋のサイズは大差がないにしても、体が大きい分、消費するカロリーも大きくなるのだろう。それにアルコールの分解の速さも違うはずだ。というわけでスーパーでは、買う量が必然的に多いドイツ人たちが大量に並ぶと、レジに並ぶ時間が長くなり、そして買い物をするにも、総重量がかなり重くなってしまうのである。

日本に暮らすドイツ人たちの悩み

日本人がドイツで苦労する分、高身長なドイツ人たちも日本で苦労するらしい。『「小顔」ってニホンではホメ言葉なんだ!?』というドイツ人が驚く日本の日常をまとめたコミックエッセイでは、日本の家や家具のサイズが小さすぎる、トイレやキッチンが低すぎて腰を痛める、といったドイツ人の苦労が語られている。

またドイツでは天井が高いことをアピールする物件もあり、天井の高さはドイツ人にとって快適に過ごすための1つのポイントになっているのかもしれない。私の友人に「住むなら新しい家の方がいいのでは?」と聞いたところ、「新しい家の天井は低いからダメ!古い家の方が天井が高いのっ!」と言われた。決められた高さで建物を建てなければいけないというルールがあるのか、同じ高さでも新しい建物が6階分あるのに対し、古い建物は5階しかないといった証拠を見せられて、なるほどと納得したものである。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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