都市伝説と化したホームレスをついに発見か!?【ドバイ郊外の町を行く】その4

最後に向かったのはイスラーム文明博物館だ。イスラームについてのあらゆることを教えてくれる。宗教としてのイスラームはもちろん、科学技術や芸術、建築などイスラームの深遠さを感じる場所だ。

チケットを買うため受付に向かうと、UAE人の受付嬢が出迎えてくれた。指先には上品なホワイトのマニキュアが光る。化粧の仕方もアラブ風というよりはどちらかというとアメリカのセレブ風である。どうやら受付嬢というのは、どこの国でも女子力が高いものらしい。

この博物館かなり面白いのだが、なにせ人がいなくてほとんど貸切状態である。


館内は資料、解説が充実しているが、上記のように説明が欲しい時に限ってないのが玉に瑕である


イスラーム建築や芸術で使われる色にはそれぞれ意味がある


最上階の「ザ・ドーム」は、息をのむ美しさ

最後にお土産売り場へ行くと、ここでもやはりUAE人の店員が。進んで客の手伝いをしたそうなボランティア精神があふれる店員だったので、私は仕方がなくその辺の本を手にとり商品説明を求めた。

本はUAEで出版されたもので、「これでもあなたもラクダ使いになれる!ラクダのすべて」という体の本だった。


ラクダの骨格レベルまで説明

ラクダへの餌のやり方や病気になった時の対処法、ラクダの体の部位が細かく書かれている。かつてラクダとともに砂漠で生活を送っていたというUAE人。そんなUAE人とラクダとの距離感を物語っているようでもあった。

ちなみにラクダは、一見すると大人しい動物に見える。しかし、よく観察していただきたい。観光施設などにいるラクダは、口を覆われている。そう、ラクダは人に噛み付く時もあり、意外と凶暴な動物なのである。時速も馬とほとんど変わらない。

砂漠で生活するベドウィン女性の生活を追った「女ノマド、一人砂漠に生きる」では、観光客が決して見ることのできないラクダの素顔が描かれている。ラクダと長らく生活していると、憎たらしくなるほど凶暴で恐ろしいやつなんだ、ということをこの本を読んで初めて知った。

都市伝説と化したホームレスを発見か!?

ドバイへ戻るバスに乗るため、バス停付近をうろうろしていると、目に飛び込んできたのは、ホームレスらしきおじさんだった。

UAE国内ではホームレスはいないというのが一般的な説である。なにせ仕事がない奴は、UAE国内に滞在する許可が下りない(家族ビザなどではない限り)からである。仕事がなくなったり、ローンが払えなくなった人間は、早急に国外追放になる。

このようなシステムにより、国内ではホームレスいない説が確立していたのだが・・・この男を見た瞬間、私はわなわなと震えた。こ、この男は伝説のUAEホームレスなのではないか?


ホームレス発見か!?

外見だけでホームレスと特定するのは難しい。そして無礼である。その無礼を承知で、私はこの男がホームレスであると立証しようと、ありとあらゆる情報を集めようとした。

強力な証拠としては、公共の場に置かれた荷物の量だ。家がある人間ならまずこれだけの量の荷物を公共の場に持ち出すことはない。

第2に乱雑に置かれた荷物の中に、ベッドスペースが確保されていることだ。ちょうど男性が収まりそうなサイズで、ゴザとタオルがひかれている。

服装に関しては、同様の服装をした人間は街中でよく見かけるので十分な証拠にはならないが、それでも彼をホームレスであると断言できる十分な証拠は揃っている。

なぜこの男に接触しなかったのかと今にして思う。ただ、それだけが悔やまれる。その時の私と言えば都市伝説と化したホームレスを発見したという驚きでいっぱいだったのである。

シャルジャに行くべき4つの理由

総じて言えばシャルジャはもっと評価されるべき町だと思う。身近にUAE人と話すこともでき、人々との距離がぐっと近い。

そして英語だけでは人々とのコミュニケーションに十分だということも思い知る。英語が日常の隅々までに染み込んでいるドバイでは、新鮮な感覚だ。それと同時に現地の言葉をもっと勉強しようという気にさせてくれる。

シャルジャの良さをあげるとこんな感じだろう
1.ドバイから日帰りで行ける気軽さ
2.人情味があり動物にもやさしい。どこかほっこりさせてくれる町
3.とにかく物が安い!日用品やアラブチックなものを買うなら断然シャルジャ
4.手軽に異国感が楽しめる。ドバイは観光客だらけでコミュニケーションが少しよそよそしい?

ドバイやアブダビのように、ダイナミックな観光施設はシャルジャにはない。ただ、ダイナミックさゆえに欠けがちな、予期せぬ人との出会いや発見があるのがシャルジャなのだ。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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