驚きの買い物方法に出くわす、マナーマの巨大マーケット【バーレーンのマーケットめぐり】

ホラーちっくな精肉コーナーを後にする。精神状態はかなり怖めのホラー映画を1本見終えたような状態だった。

精神を回復させるため、向かったのは青果コーナーである。大丈夫、ここは怖くない。とホラー確認をして、マーケットへ入り込む。そこには東京の築地のような活気があふれていた。

メロン、オレンジ、マンゴーといった果物から野菜まで、とにかくありとあらゆる種類の青果が目まぐるしく、人々の手から手へと行き来する。

ざっと分かっただけでも、エジプトのオレンジやイチゴ。ヨルダンのトマトなど、どうやら中東諸国から集まってきているようだ。果物類のほとんどがエジプト産というのは驚きであった。


一目でエジプト産と分かるエジプトのシトラス


朝の野郎は瑞々しくてまぶしい


とれたてのトマトよりも・・・

巨大なプレハブの中へ進むと、見慣れない光景に出くわす。なんとこのマーケットでは、買い物かごやカートではなく、業務用の台車で人々が買い物をしているのである。

なんとダイナミックなのか。それゆえに、野菜も箱買いがメインである。明らかに業者ではない人々が、野菜や果物を箱ごと台車にのせてマーケット内を練り歩いている。

一人暮らしであることと私の胃袋の大きさを考えると、せっかく新鮮な野菜を大量に買っても、腐らせてしまうのがオチだ。「台車買い」ができる、彼らがうやらましい。

それにしても、どう見てもこのタイミングで野菜を買いそうにもない旅行者に対しても、「いらっしゃい、野菜うまいよ〜見てって〜」という熱心な商売人たちには驚かされる。

クウェートでも同様のことがあった。

どう見ても毛布や電子パネルなんて買いそうもない人間に対して、「マダムどうです?安くしまっせ〜」と声がけするのである。歌舞伎町のキャッチの方が、まだ人を選んで声をかけているのに対し、湾岸の商売人たちの無作為さよ。

もはや動くものをみたら、声をかける。そんな反射神経の結果なのではないかと思う。しかし、あまりにも新鮮な野菜すぎるので、買えないことが惜しい。

ドバイにもこの手のマーケットはあったが、「ばっちいから、ドバイのブランドイメージにそぐわない」とかいう理由で閉鎖し、エアコンが効いた快適な建物に移設したマーケットがあるぐらいだ。

マーケットと呼ばれているが、すでにそこは人々の活気があふれる「マーケット性」は失われ、白々しい場所と化してしまっている。

マナーマの巨大市場には、急速に近代化していく都市ではもう見ることができないマーケットの姿があった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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