ベルリン映画祭のレッドカーペットの様子を動画で鑑賞。
本場にいるのだから、現場に行くべきなのだろうが、尋常ではない寒さがその気持ちを萎えさせた。このクソ寒い中、セレブたちはどんな格好をしているのかが、私の注目ポイントであった。
なぜならベルリンの寒さに耐えるには、もはや雪だるま並みに着込むしかない。快適さと生存を追求すればするほど、おしゃれとは程遠くなるという反比例の方式である。よって、おしゃれを追求するには、ギリギリまで薄着をしなければならないのである。おしゃれと生存のチキチキレース。
そんな中『名もなき者』を演じた俳優、ティモシー・シャラメのタンクトップ姿の登場には恐れ入った。たった数十分程度とはいえ、さすがハリウッド俳優。寒さなど微塵も顔に出さない。その他の女優たちも、まるで今は秋ですよと言わんばかりの格好である。そう、レッドカーペットの上には、ベルリンの極寒の寒さなど存在しなかった。
タンクトップに驚いたついでに、ティモシーの会見動画を見る。
記者から質問を投げかけられ、ティモシーは、「これだからヨーロッパにくるのは楽しいよねえ」と言って、ヨーロッパ記者の質問レベルの高さにビビっていた。質問の内容は、ポピュリズム台頭の現在における問題意識、レガシーアートを現代のアーティストたちがどのように引き継ぐべきか、と言った壮大な質問だった。
ハリウッド俳優に投げかける質問か?というものもあったが、とにかく記者のレベルがちげえ、と私もおののいた。
確かにヨーロッパ人記者の質問は深いものが多かった。しかし、それは単に彼らが暇だからだ、と私は思っている。完全なるワークライフバランスの実現。というかむしろもっと働いたら?と思うぐらいに、人々はプライベートを充実させている。その結果、ギリシャの古代哲学者のように、暇な時間ができて、アートやら哲学やらに思いを馳せることができる、というのが私の見立てである。