イラク観光ビザはどうやってとる?イラク観光ビザ事情

観光地としてのポテンシャルは、めちゃくちゃ高いイラク。一方で、観光客を寄せつけないただならぬオーラを発している。

観光客としてイラクに行くことは、不可能ではない。ただ、制限がかなりあるし、事情も度々変わる。そんなイラク観光ビザについてご紹介。

空港でアライバルビザが取れるクルド自治区

イラク国内には、クルド自治区と呼ばれる場所がある。そこに住む人々の多くはクルド人で、「国を持たない最大の民族」とも呼ばれている。ひと昔前の、ユダヤ人たちのような人々である。

国の領土としてはイラクの一部だが、管轄はイラクとは別なようで、クルド人自治区であれば、空港でアライバルビザを取得することが可能。

ただ、このビザでバグダッドやバスラなどクルド自治区以外に行くことはできない。

クルド自治区以外に行くには?

問題はこちらである。イラク観光ビザに関する情報は乏しい。駐日イラク大使館のウェブサイトもなぜか存在しない。そもそも観光ビザが存在するのか疑わしいほどである。

しかし、アメリカのイラク大使館サイトには、比較的情報がまとまっているので参考になる。

イラクに入国するためのビザの種類

  • 商用ビザ
  • 巡礼ビザ(イラクはイスラーム教シーア派の2大聖地がある)
  • 観光ビザ
  • ジャーナリストビザ

観光ビザを取得する場合、私が知る限りでは、旅行代理店などを通した方がよい。なぜなら、観光ビザを申請する際に、現地からの推薦状みたいなものが必要になるからだ。

イラク旅行ツアーを催行している旅行代理店がイギリスあたりに、いくつかあるので、そちらをあたってみるのがよいだろう。

また、ツアーに参加する場合でもいくつか制限がある。

・基本的にツアーは5名以上必要
現時点で、イラクの観光ビザはグループ向けのみ。個人観光客へのビザ発行は行っていない。

・参加者は、みな同じ大使館で申し込む必要がある
申請した代理店がロンドンにあったので、ツアー参加者はみな、ロンドンにパスポートを郵送しなければならなかった。ロンドンにあるイラク大使館で一括申請をするためだ。

私の場合は、のこのことドバイからロンドンへ出向いてしまったが・・・

くわしくはこちら
イラク観光ビザを取得するためだけにロンドンへ

必要書類さえそろえてしまえば、ビザ取得はそれほど難しくない。基本的には、以下の書類をもってイラク大使館へ行き、ビザを取得することになる。

観光ビザの必要書類

  • ビザ申請書。申請書はこちらからダウンロード可能。
  • パスポートサイズの写真 2枚
  • パスポートのコピー
  • パスポート
  • ビザ代(50ドル)

私の場合は、申請当日にビザをゲットできたが、大使館や時期によっても異なる可能性が高いので、大使館に事前に確認したほうが良いだろう。

観光ビザの有効期限は、ビザを取得してから30日間。

時期によって変わる観光ビザ事情

イラクの観光ビザ事情は、非常に流動的である。

なにせ過去30年間は、湾岸戦争、イラク戦争、イスラム国(ダーイッシュ)勃発と、何かと国の治安をゆさぶる状況が続いてきた。イラクとしても、観光ビザを発給するどころではないのだろう。

数年前(イスラム国が猛威を振るっていた頃)までは、「そもそも観光ビザなんか発行せん!」という状態で、観光ビザの発行自体が行われていなかった。

そしてイスラム国が意気消沈した頃、どうやらイラク観光解禁になったらしいと聞いたので、事情をよく知る旅行代理店の人間に聞くと、観光ビザ代は、当時の値段で2人で行く場合、1人あたりなんと1,250ドル(約14万円)とのこと。

以前は、単独旅行者のビザもあったが、現在ではグループ単位にしかビザを発行していないとかで、人数が少ないほど、ビザ代が高くなるシステムだった。

イラク観光はできるが、ビザ代がとにかく高い。見積もりを聞いたら、2人で11日のツアーを行う場合7,000ドル(約76万円)ぐらいになった。そこそこ信用のおける代理店なのでぼったくられているわけではないのだが。

結局、私はその年のイラク旅行はあきらめ、人数を集めて翌年のツアーに参加することになった。

そんなわけで、観光ビザでイラクへ行く場合、それなりの人数を集めていくか、ツアーに参加するといったオプションしかなさそうだ。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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