200カ国以上の国から人が集まっているドバイ。しかし、よく「半分インド」と揶揄されるようにインド人が人口の半数近くを占めるのがドバイである。
実際、ハローウィンやクリスマスを祝う半ば欧米化した日本と同じく、ドバイでもヒンドゥー教の新年を祝うディワリを始めとしインドの祭りは盛大に祝われる。
ドバイにいながらインドのカルチャーに触れることができるのがドバイでもある。
世界中の人間が集まるドバイで、日本人として働くプレッシャー
そんなドバイで働いていると、もちろんインド人は多いがそれでも世界の人々が同僚になる。一体彼らはどこからやってきたのだろうか。そんな素朴な疑問にメスを入れ、調査してみることにした。
その結果が以下である。
先のグラフを世界地図で表したもの。
地図で見てもやはり圧倒的にインドの存在感が大きい
出身国を調査した結果、UAE本社で働く140人の従業員は約37カ国からやってきていることが判明した。一方で半分インドと言われているドバイではあるが、会社としてはイギリス人が圧倒的に多い。
また中南米をのぞき、すべての大陸を網羅している。特徴的なのは、イギリスやインド、フィリピンが大半を占めるのに対し、そのほかの国はすべて1カ国から1~3人といった少数精鋭だということだ。
なので1カ国1人といった私のようなケースも珍しくはない。しかしこの1カ国1人はクセモノである。なにせ1カ国お一人様しかいないので、いわば国の代表みたいな形になる。
たった一人の人間でその国を判断するのは適切ではないと理性ではわかっていても、やはり一人を見て、ああこの国の人ってこんな感じなのかしら、とある程度のステレオタイプが形成してしまう。
これが恐ろしくて私はたまらない。なにせ私の行動や言動で、日本人ってこうなのね、と判断されてしまうのだから、これほど責任重大でプレッシャーを感じることはないのだ。
だからこそ、日本について聞かれたら懇切丁寧に答えようとするし、少しでも好印象をもたれるように振舞わなければという責任感がある。
世界中の人間と補完し合いながら仕事をするのがドバイ流
人種や出身国である程度、職業や会社の役職が決まってしまうドバイにおいては、アラブ系の会社でない限りはだいたいヨーロッパの人間が経営層を占めているケースが多い。私が勤める会社も例外ではなく、会社のトップ1、2はイギリスとスイスの出身である。
UAEは元イギリスの支配下にあったことから、今でもイギリスの影響を強く受けている。
英語ネイティブの国の中では圧倒的にイギリス出身者が多いし、イギリス人というだけで本国よりも高い給料、高い役職についているケースが多い。
また出身国によって仕事の内容や役職が異なってくる。どうやら国によって得意不得意があるらしく、それを世界中の人間と働くことでカバーし合うのがドバイにおけるビジネススタイルである。
例えば、受付や事務職といった仕事にはフィリピン人。ITや経理部門はインド人。営業系は口が達者で押しが強いアラブ人。戦略や経営、各部署のマネージャークラス以上は、成熟市場での経験やスキルを持つヨーロッパ人といった具合である。
アラブ人と働いていると特に高度な専門スキルを持った人材が極めて少ないことに気づかされる。
ここで彼らを能力が低い、遅れているというのは安易な考えであって、あくまで個人の能力ではなく、むしろ国の経済力や教育の差であることを認識しなければいけない。
一方でイギリス強しともいえども彼らがビジネスをするのは中東である。やはり現地のアラブ人たちの協力なくしてはビジネスを拡大することが難しいのだろう。
そんなわけで、現地のマーケット状況やニーズをよく知る現地のアラブ人たちが、カントリーマネージャーを勤めるなどそこそこ高いポジションに差し込まれているケースも見られる。
アラビア語が話せるわけでもなく、インド人やフィリピン人のように現地にコネがあるわけでもなく、人種的にヨーロッパ人並みに優位でもない一介の日本人リーマンとしてはかなり不利な立場である。
世界の人材がひしめくドバイで、非日系企業で働こうと思えば日本人だからという甘えは通用しない。
だからこそ実力のみでヨーロッパ人やアラブ人を押しのけて世界と勝負してやろうじゃないか、という意欲を掻き立たてられる。世界と勝負できる場所はアメリカやイギリスだけじゃない。ドバイもまたその1つなのである。
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