未だに海外で働いていて腑に落ちないのが、この週末の予定を聞きあう風潮である。
一体何を目的に他人の週末の過ごし方を聞くのだろう?日本で言えば、週末の過ごし方はややプライベートの話にあたるし、あまり親しい中でもこのような会話はなされない。
しかしこちらでは、「おはようございます」というぐらい頻出度が高い。週末が近づくと、決まって「週末何するの?」という会話に始まり、週が明けると「週末何したの?」で大体会話が始まる。何なんだ!?この型ハマりな会話は!?
腑に落ちない英語の表現、”how are you?”と同じくその真相を知るべくネイティブ英語ポリスこと、ニュージーランド人上司に聞いてみた。
週末の過ごし方を答える時の心構え
ネイティブ英語ポリスいわく、あまり深い意味はなくとりあえず楽しいことがないかを知るために聞いているだけらしい。楽しい週末の過ごし方をアピールする場ということでもある。逆に言えば、つまらん週末の過ごし方は求められていないのである。
日本だとありがちな「週末は寝てテレビを寝て過ごしたわー」みたいなことは絶対言ってはならない、という無言のプレッシャーがかかる。実際にドバイにやってきて、このような回答は聞いたことがない。
みな、だいたい友人とどこそこへブランチにいっただの、イベントにいっただのといったリア充生活を見せつけてくるのである。よくもまあ、毎週末いろんなことをするもんだなあと思う。Facebookをやめて他人のリア充合戦を見るのもおさらばかと思ったが、これは逃げられない。
週末リア充生活を見せつけろ!
というわけで、週末の予定や過ごし方を聞かれたときには、リア充を装って何かにつけて楽しいことをする自分を演じなければいけないわけである。
嘘をつくというわけではないが、会話を盛り上げるために多少話を盛らなければいけないわけである。例えば行きもしないようなイベントに行くんだよねーとか。それでも、段々リア充を演じることがきつくなってくると、「ビーチで日光浴」などといって回避する。
ビーチには大体欧米人がいるので、まあビーチに行っとけば一応欧米人っぽい過ごし方をしているように見せかけるのである。といっても欧米人のようにトドのごとく太陽の下で日光浴するのは嫌なので、ひたすら海でマインドフルネスを行う、ということにしている。
しかしこうした謎のプレッシャーにより自然に充実した週末を過ごさねば、という気持ちが起こる。別に寝て、テレビを見るのが悪いというわけではないのだが、週末の過ごし方にあるまじきつまらない行為という風潮がなんとなくあるのである。
これも人生自体を楽しむ外国人ならではの発想なのではないかと思う。平日は仕事で疲れて、休日は疲れてただ寝るだけ、なんて仕事が人生の中心になってしまっているのが日本である。平日だろうが、休日だろうが人生を楽しむために生きているのが、島の外の人の生き方なのである。