海外デジタルノマドの仕事の流儀。どんな仕事してる?どうやって仕事をゲットしてる?

一口にデジタルノマドといっても、その仕事は様々である。というわけで、私個人の例をもとに、どんな仕事をしているのか、どうやって仕事をゲットしているのかをお話ししたい。

一般的にデジタルノマドというのは、生活する場所を移動しながら、IT系の仕事をパソコンでカタカタやる人のことである。

例えば、翻訳、プログラミングだとか、記事のライティング、Webデザイン、Webサイト制作などがある。そのほかにもブログやアフィリエイト、YouTubeなどで生計を立てる人もいる。

どんな仕事をしているのか?

私がやっているのは、デジタルマーケティング(Webマーケティング)という仕事である。

デジタルマーケティングといってもその幅は広く、メール配信だったり、ソーシャルメディアのコンテンツ作成だったり、Webページの作成、YouTubeやFacebookなどの広告運用など様々である。

特定の分野に特化しているケースもあるが、私の場合こうしたデジタルマーケティング全般を担当している。

どんな企業と仕事をしているのか?

会社員時代には、いわゆる広告代理店や企業で、デジタルマーケティング戦略を設計したり、ネット広告をせっせと運用したりしていた。

意外と知られていない?ネット広告代理店の仕事内容とは!?

現在は個人で仕事を請け負っているため、企業の規模もそれほど大きくなく、広告費用も限られている。会社員時代には、会社の看板があったため、P&Gだとかシャネルとかいったブランドのマーケティングに携わり、数億円ぐらいの広告費を運用していた。

現在やっている仕事を具体的に言うと、アメリカを拠点とする会社の日本進出のお手伝いだったり、フランス企業の日本マーケティングなどをやっている。あとは単発的に、いろんな企業からくる仕事を請け負ったりしている。

基本的には、仕事をいただいているのは海外企業である。

なぜか。

日本でデジタルマーケティングができる人は、ごまんといる。当初は日本のフリーランスサイトにも登録し10社以上に応募したが、まったく音沙汰はなく、面接すらしてもらえなかった。

しかし、英語ができる日本人マーケターともなると、その人数がぐっと減る。一方で、日本でビジネスを展開したい企業は、海外にごまんといる。そんな企業からありがたいことに声をかけてもらっている。

日本は市場も人材もかなり成熟している。だから日本市場で日本人と戦うとあまり勝ち目はない。だけども、専門スキルに加え、言語を1つプラスするだけで、チャンスはぐんと広がる。

とはいえ、英語を話せる人はごまんといる。英語が話せることなど、海外だと武器にはならない。

仮に私が海外市場向けのマーケティングの仕事をとろうと思えば、無理ゲーになるだろう。なにせ、元Google本社の社員だとか、同じような力量で私の半額以下で仕事を請け負う世界中のフリーランサーたちと、戦うことになるからだ。

正直、勝ち目はねい。

けれども、なぜか日本市場のことを知っていて、かつ英語でビジネスができる人間ともなると、なぜか少なくなる。

日本人は「もう、日本はダメや〜」などと自虐的になるが、日本は仮にもGDP世界ランキング3位の国なのである。海外からみれば、旨味のあるマーケットと見えるが、いかんせん日本の市場は独特だ。日本では使用率の高いLINEやYahooは、海外ではほとんど使われていない。

だからこそ、日本と海外企業をつなぐ、ハンバーグでいえばつなぎの小麦粉、のような人材が必要になるのである。

どうやって仕事を得ているのか?

世界最大級のフリーランスサイトUpWorkと、リンクトインが私の主な仕事のソースである。7年も会社員をやってきたのに、人脈もコネもない。そんなぼっち会社員のため、知人からの紹介された仕事というものには無縁である。

積極的にこちらから仕事に応募するというより、仕事の依頼が来たものに応じていく、という手法である。この方が、仕事の受注率が圧倒的に高くなる。

最初の2ヶ月ぐらいは、あまり仕事が来なかったが、時間が経つにつれ毎月5~10件ぐらいの仕事の依頼が来るようになった。とはいえ、既存の仕事で時間が取れなかったり、仕事とスキル内容が合わなかったりで、お断りするケースの方が多い。

個人的にオススメしたいのはリンクトインである。新卒の就活でも使ったし、ドバイの初仕事もここでゲットしたし、現在の仕事もリンクトイン経由でいただいた。もうリンクトイン様様なのである。

日本ユーザーは200万人程度しかおらず、積極的に活用している人は海外に比べ少ない。自分の経歴や仕事での成果を人目にさらすということに、抵抗があるせいかも知れない。

けれども、世界中のありとあらゆる仕事が検索できるし、ヘッドハンターたちがそこかしこにいる。というわけで、きちんとプロフィールを充実させておけば、いろんな仕事の紹介が舞い込んでくる。

中には誰もが知るような会社の人間が、「仕事やらん?」と声をかけてくれることもある。イランの絨毯屋から「日本で絨毯売りたいんだけど」という相談が持ち込まれたこともある。

会社員を辞めたら、大企業と仕事をすることもないんだろうな〜と思っていたが、意外とチャンスはある。

仕事の選び方

仕事を依頼される身なのでおこがましいかも知れないが、請け負う仕事にも一定の基準を設けている。基本的には、企業ではない個人の仕事は請け負わないことにした。

なぜか。

基本的に個人で依頼する人は、お金をかけずなるべく安く済ませたいと思っている人が多い。一方でサービスとしてはハイクオリティなものを求めてくる。また、自分のビジネスなので、「ここをこうしてほしい」だとかいう要求も高い。要は自分ごとなので、すべてにおいてシビアなのである。

個人からの依頼がある場合、主に自分のビジネスへのマーケティングである。例えば、英語のオンライン教室サイトを作ったので生徒を集めたいだとか、新しいアプリを作ったのでユーザーを増やしたいといったものである。

その場合、ビジネスを始めて間もないので、当たり前だが、ゼロの状態から始めることになる。100のビジネスを150にすることは簡単だが、0を1にするのはめちゃくちゃ大変なのである。

0を1にする場合、マーケティングの力だけでは及ばないことも多々ある。いくら広告で商品をアピールしても、商品自体に問題があったり、使いづらかったりすれば意味がない。広告にお金をかけたのに全然成果が出なかったという結果になる。

一方で企業が相手だと、とりあえず仕事さえちゃんとしてくれれば、報酬にこだわらないというスタンスが多い。よって、報酬交渉もスムーズである。

むしろ、高い報酬を提示すると、仕事の質や信頼性の裏付けとなり、ちゃんとした企業から声がかかるようになる。逆に低い報酬を提示すると、声をかけてくる企業や担当者もそれ相応のものとなる。仕事の質ではなく、いかに安く多くの仕事をやってもらうか、というスタンスの人を寄せ付けやすくなる。

企業と働く場合、お金の出どころはその個人ではなく、企業である。つまり他人のお金である。人間というのは、いい意味でも悪い意味でも、他人のお金ともなると、その使い方に鈍感になってしまう。

とはいえ、こちらとしてはお金をふんだくってやろうという気持ちではなく、まっとうな対価を評価していただきたいだけなのである。

個人の場合だと、「まだビジネスを始めたばかりだし〜、ちょっとぐらい安く頼むよ〜」というスタンスで来られるので、こちらとしてはちょっと困ってしまうのである。

また企業相手だと、支払いを行う経理担当がいるので、報酬が不払いになるというリスクも最小限にすることができる。

まとめ

デジタルノマドの仕事と書いたが、基本的なやり方はフリーランスのそれと同じだと思う。フリーランスになった当初は、仕事がそもそももらえるのか、という手探りの状態だった。なので、とりあえず仕事がもらえればいい、と思っていた。

けれども、いろんな仕事の依頼を受けたり失敗をする中で、自分の経験で貢献できる仕事、自分がやるべき仕事、断るべき仕事などが見えてくる。

会社員時代は、とにかく言われた仕事をやらなければならない。また仕事も自動的にやってくるので、選別する必要もなかった。

一方で、フリーランスは仕事の依頼を受ける度に、考えなければならない。本当に自分ができる案件なのか。相手の会社は大丈夫なのか。自分の得意ではない分野を依頼されたけど、受けるべきかなどなど。案件をきちんと見極める目が必要になってくる。

フリーランスやデジタルノマドは”自由”と形容されがちだが、自由の裏にはこうしたひと手間も含まれているのである。