イランで深夜徘徊。イラン人はやっぱり面白い

正直、見知らぬ土地で夜歩きすることは好きじゃない。

治安の面もあるし、そもそも朝型人間でもある。そんな理由から今まで夜歩きをすることはほとんどなかった。

しかし、「イランの京都」とも呼ばれる、イスファハン滞在中に「夜に盛り上がるスポットがある」と聞けば、自らの習慣を捻じ曲げてでもいってみたくなるのが人間の性というものである。

時刻はすでに夜の10時を過ぎている。2時間ほど前にドバイからイスファハンに到着したばかりだった。街に関しては全く見覚えがない。

滞在するホテルから目的の場所までは、徒歩で行ける場所だったので、どうにかなれと思いつつ、日がどっぷりと暮れた暗闇の中に飛び込んだ。

代わりに目に飛び込んできたのは、自由気ままなイラン人たちの姿だった。

深夜だというのに家族そろって、車内でファストフードを黙々と食べる家族。ベンチに座って、ファストフードを食べながら静かに語らうおっさんたちなど。

道路を見やれば、暴走族一歩手前のようバイクが行き交う。どうやらイランではノーヘル、2ケツが常識らしい。


深夜の渋すぎるおっさん。なぜイランの高齢者はこうもキマッているのか。

目的の場所は、イスファハンでも定番の観光地、「ハージュ橋」だ。ちなみに近くに「スィー・オ・セ橋」というのもある。こちらも有名。


普段は川に水があるはずなのだが、乾季のためか水がすべて干上がっていた



ライトアップするとどんなものでも幻想的に見えるというマジック

観光地だと思って、やすやすと近づいたのが間違いだった。

橋の周辺はカップルの溜まり場と化していた。とにかくピクニック好きのイラン人。橋の近くの土手で、夜中のピクニックをしながらイチャイチャしている。この時のきまずさといったら・・・・

いや、それ以上にカップルに対する自分の免疫力が落ちていることに気付いた。パリピが跋扈するドバイとはいえ、カップルが正々堂々といちゃつく場面やスポットというのは、あまりないのだ。

さらに土手近辺を歩くと、暗闇からいきなり「へい!」と声をかけられる。異邦人を暗闇から驚かすのがイラン人の趣味らしい。

橋は2重構造になっており、まずは1階部分から攻め入る。

なんだここは!?そこには、深夜とは思えない光景が広がっていた。


洞穴の住人?深夜に大集合するイラン人家族

洞穴のような橋の下では、イラン人家族がこれまたピクニック。深夜とかそんなの関係ねえ!という勢いで、普通に子どもたちがきゃっきゃしている。

深夜でもピクニック。もうピクニックへの情熱に関してイラン人を上回る人々はいないだろう。ベスト・ピクニキスト賞でもあげたいぐらいだ。


中央付近にいる音楽隊を囲む人々

中には、オペラのような即興劇を披露するものも。男たちが代わる代わるその美声を披露し、観客役の男たちが拍手をする。なんだこの高尚な深夜の遊びは!?

歌舞伎町のホストクラブではドンペリコールがかかり、帰宅する気力をなくした酔っ払いが新宿中央公園で体を丸め始める時間帯である。

欲望だけが錯綜する東京の深夜に対して、イスファハンの深夜には子どもも総動員で、優雅な深夜タイムを楽しむ人々がいた。

イラン旅行のおともに

イラン出身の吉本芸人が書いた本。イランについてこれほど面白く、軽やかにかいた本を他に知らない。イラン人が面白すぎるというより、この本が面白すぎる。

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イランではほとんど英語が通じないので、あると助かる。

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1979年におこった「イランアメリカ大使館人質事件」をもとにした映画。ベン・アフラック主演でアカデミー賞受賞。政治とかイランとかようわからん!という人でも楽しめる。ハラハラ、ドキドキの緊張感ある映画。

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20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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