アジア人として海外で舐められないために

海外に住んでいる日本人同士で話すと、海外での差別やアジア人としての扱いについて話すことがある。大体が、「まあしょうがないよね〜」などと流してしまうところ、とある知人が切り出した。

アジア人を舐めるな!反逆の日本人現る

「俺は、アジア人が舐められないための活動をしているんですっ!」

なんと!?

知人がベルリンで電車に乗っていた時のこと。友人と席に座って話していたが、目の前に座るヨーロッパ人があからさまに嫌な顔をしていたという。

「俺は普通の声量で話してたんですよ?他にも電車内で話している人がいたし。でも相手はパソコンでカタカタやってて、明らかに俺たちに対して、うるさいというジェスチャーをしてくるんすよ」

知人曰く、相手は耳を塞ぐジェスチャーをしながら、小声で罵り言葉を呟いたという。

「もし俺が、マッチョな黒人だったらそんなことしないでしょ?だからやっぱりアジア人だと思って舐めてる行為だと思うんです」

確かにその線もあり得る。ただそういう行為をする人は、誰にでもする可能性があるわけで、アジア人だからというのは100%言い切れないと思うが・・・

私だったらその時点で、察して声量を下げるか、気まずくなって別の車両に移るだろう。しかし彼の中では、アジア人を舐めるな!活動家としての、試合のゴングが鳴った瞬間だった。

「そいつに言ってやったんです。何か文句があるなら直接言えよって。ここでは日本と違って電車では静かにしなきゃいけないってルールもないし」

ひい。内向的な私には一生できない行為である。

「日本人って嫌なこと言われてもニコニコして、何も言わないっていうイメージあるんすけど、俺がそのイメージをぶち壊すことで、今後他のアジア人に対して、同じようなことをさせないってのが目的なんですよ」

彼は熱い草の根活動家なのか、単なる迷惑系なのか。私は話を聞きながら混乱してきた。

次第にバトルはヒートアップし、単なる言い争いに発展したという。

いや、もはやアンタが迷惑な野郎になってるんじゃ・・・

というか、「アジア人はやべえ」という逆プロモーションをしているのでは・・・

とにかく違和感を覚えたら、黙っていないで声を上げる、これは重要なことだろう。ただやり過ぎもよくないが・・・

私が日常で実践している対策

知人がオラオラ系の過激派だとすれば、私は草食系の穏健派に属すると言えよう。舐められてから対処するのではなく、舐められないために事前に予防するのである。

1.舐められない外見になる

アジア人が舐められるのは、見た目も関係しているのではないかと思う。欧米に比べると、アジア人の体格は小さい。特にドイツや北欧などの平均身長が高い国にいると、こちらは身長が低いあまりに子どもになったような気分になる。

しかし身長は変えられない。というわけで私が行なっているのが、筋トレである。上には伸びないが、各所をボリュームアップさせることで、弱小感を薄めるのである。筋トレをすると自然と自信もつく。どちらかというと、筋肉という見た目よりも、目に見えない自信を纏うことで「アジア人として舐められている」という考えにあまり至らないような気もする。

その他に私がやっているのが、ファッションにも気を使うということだ。例えばその国で流行っている、もしくはおしゃれとみなされているポイントを取り入れることで、さりげなく周りのリスペクトを獲得するのである。

見た目がゴツい人は舐められない、これは世界の総意と言っても良いだろう。というか生物としての本質だ。一方で個人的に思うのは、おしゃれな人もまた舐められないのではないか、というものである。おしゃれだからというより、ファッションで独特の世界観を纏い周りと一線を画す。これは自信をつけるのと似ている。

単に高級ブランド品を持てばいいということではない。マネー=人間の戦闘力として換算されがちなドバイのような場であれば、ブランドは大いなる効果を発揮するだろう。

一方でベルリンのような個性を追求する場では、ブランド品を身につけるとブランドの威を借りた「つまらない人間」とみなされる。

大事なのは、その国で何が重視されるか、それを読み取り実践することだ。相手の土俵でおしゃれを追求することで、同じ文化コードを読み取る仲間だとも思ってもらいやすくなる、というのもポイント。

2.英語ではっきりと話す

海外に出て思ったのは、日本人以外にも「英語かぶれ」というものがあるということ。英語を話す人はなんとなくすごそうに見える、という幻覚である。

この幻覚作用を利用し、ここぞという場合(レストランやホテルでサービスを受ける時)には英語を話す。世界共通言語を話すことで、まず舐められる対象から外れる。しかし、これが有効なのは英語が母国語になっていない国のみである。英語ネイティブの国では、とにかく大きな声ではっきりと主張する、これに尽きる。

これは海外在住の日本人から聞いた話なのだが、初めて聞いた時、正直私はどうなんだろう・・・と思っていた。なぜなら相手がうまく話せない英語よりも、その国の言語を話す方が友好的だと思っていたからだ。

けれども、友好的アプローチと思っていたのは私だけだったのかもしれない。現実には、たどたどしい現地語を話せば、ネイティブの相手が優位となる(会話においてそもそもどちらが優位などとは思いたくないものだが)。その結果、相手に下に見られるということもあり得るのだ。

いずれにしても、「アジア人だから舐められている」というのは、妄想になりがちなこともある。本人を追及しない限り真実は闇の中だからだ。それであれば、こちらがどう受け止めるかが大事である。

綺麗事かもしれないが、アジア人とか日本人という前に、まずは自分に自信を持つ。そうすれば、どんな扱いを受けてもアジア人や日本人である自分のせいではなく、人によって態度を変える「浅はかな相手の愚行」として受け流していけるだろう。