誰もが年齢や性別にとらわれず、自分らしく生きていきたい、と思ったことはあるだろう。かくいう私もその一人だが、30歳も超えて体にガタが来るとすぐ年齢のせいにしたり、夜な夜なネットで「30代 平均 貯金」などと調べているのが実態である。
そんなみみっちい生き方をする私に、神が使者をよこしたのか、年齢や婚姻状態に関係なく生きている人々と最近出会うことがあった。
バツ2の父親の奔放な生き方
ドイツ人の友人、シュテファンの生き方は驚愕に値する。これまで会った人の中でもかなりぶっ飛んでいた。彼はバツ2で子どもが2人いる父親だ。年齢も私よりもずっと上である(はっきり聞いたことはないので推定である)。
しかし彼の行動は既定路線とは全く違うところにあった。若者たちが路上ゲリラライブをするところで、なんのためらいもなく輪に参加してみたり、ベルリンの有名クラブに行っては朝方まで踊りまくっていたり。やっていることが基本若者なのである。よって、20代のエリクソン氏や30代の私とも、何ら違和感なくつるめてしまうらしい。
ベルリンは大麻が合法なので、タイマー(あえてこう記述する)をやっているというだけでは別に驚きもしないのだが、シュテファンの場合、娘と一緒にタイマーをやってると聞いた時には、ひっくり返りそうになった。しかも、どこでタイマーを手に入れてるのかと聞いたら、娘がちょいちょい分けてくれるんだ、とのこと。そう、まさかの娘がタイマーの運び屋なのである。
おいおい、一体どんな親子関係だよ
ちなみにベルリンのクラブは場所によって、入るが困難なところも多いため、シュテファンは娘のツテでVIPチケットを手に入れたりするとのこと。親父のクラブチケットを斡旋する娘とは・・・親子というよりも、友達関係を築けているようで羨ましい。
そう。本来であれば良い年した年齢で父親なのだから、クラブで踊り明け暮れたり、よもや娘とグレーな嗜好品を一緒に楽しむことなどけしからん、というのが”フツー”なのかもしれない。しかし、彼は自分が好きなことをやってエンジョイしている。そして至って親子関係も良好である。彼は、とても良い父親でありながら、自分の人生もきっちりと楽しんでいる(もちろん恋愛も)。彼を止めるものは、何もない。
モテ顔だけど恋愛に興味ないアラサー
ハーフの友人は、顔立ちが整っていてまるで私と同世代には見えないぐらい若く見える。私もそのことをいつもすっかり忘れて、ああそうだ同世代だったと思い出すぐらいである。性格も明るくて人懐っこいので、さぞかしモテるだろうと思っていた。
しかし、いざ聞いてみると、現在まで全く恋愛経験がないという。しかも恋愛に興味すらないという。マジかよ。モブの私ですら、その経験の少なさを一応気にしてみたりはするのに、彼女には焦りすらない。聞けば彼女は、いわゆる”毒親”っぽい母親に育てられたそうで、そうした母親から離れてやっと好きなことができる環境にあるという。だから、今まで自由にできなかった旅行や自分の趣味に忙しく、恋愛などやりたいたいことランキング圏外になっているという。
そうした焦りを感じるのは、なんとなくそうした雰囲気があるからだ。今では、そこそこの年齢で、結婚してなくても、恋愛経験がなくても許容される風潮があるが、一方で未だに30代なのに彼女・彼氏がいない!のはとんでもないことだと言わんばかりの、モテ改造計画なるものも蔓延している。これではいかにも、人類は恋愛や結婚をしてなんぼのもんじゃ!と言っているようなものである。
2人の生き方はとても清々しい。かたや私といえば、日本を離れて随分経つというのに、未だに日本の基準で自分や物事を図ろうというきらいがあったりする。けれども、こうした使者のおかげで、今の自分をもっと肯定して生きていいんだ、と思えたりもする。