オーダーミスしたら全額返金!?中国のサービスがぶっ飛びすぎていた

中国のことを奉り過ぎているので、うぜえと思われているかもしれない。確かにその節はある。観光で行っただけなので、いいとこ取りをした結果というのもある。

それに、行く先々の国で新たな発見をしては、すぐに奉ってしまうという私の悪習もある。なので、私が書くこともそうした偏見にまみれた一個人の感想なんだと思っていただきたい。そして重要なことは、中国と題してしまったが、あくまで上海の話である。

上海旅行中に驚かされたのが、異次元のサービスレベルだった。

友達と火鍋レストランに入った時のこと。注文が終わると、店員が砂時計を置いて去っていった。

「何で砂時計・・・?」

「ここみてみい。オーダーした料理がこの時間内に運ばれなかったら、割引になるんだよ」

オーダー表の裏を見ると、そこにはサービス3ヶ条みたいなことが書いてある。

1つ。オーダーミスをしたら全額返金!

2つ。時間内にオーダーした料理を提供できなかったら全額返金!

3つ。料理の味が悪ければ全額返金!

一体なぜ、こんな厳しい制約を己に課しているのだ?ドランゴンボールの悟空が100キロの重りをつけて戦っているようなもんじゃないか。

こんな制約を課してしまったら、店員はミスが許されないはずだ。こんな恐ろしい制約のもとで働くことは、さぞかしストレスに違いないと思ったが、当の店員たちは、皆和やかに仕事をしている。

またトイレに行くと、通常では考えられないものが置いてあった。洗面台の鏡の前には、ご自由にどうぞのコーナーにヘアスプレー、香水、化粧品一式などが置かれている。メイクやらヘアセットがフルでできてしまうレベルだ。サービスがいい日本のトイレですら、せいぜい綿棒やナプキンぐらいが相場だというのに。

これは一体・・・

「上海は飲食店の競争が激しいし、景気も良くないから、どこもサービスの品質を高めるのに必死なんや」

ちなみにこの店を予約したという彼女によれば、予約はもちろんアプリで済ませ、アプリ内で待ち時間なども細かく確認できるのだという。

「店によっては、レストランの待ち時間にネイルサービスを受けられる店もあるねんで」

は?

飲食しに来てるのに、ネイルもできるのか?チョコザップみたいなことをやってやがる。

もちろん全ての店が、こうした制約を課しているわけでなかったが、他にも同様の制約を課している店もあった。

支払いはアリペイなどのQRコードがメイン。現金はもはや太古のものらしく、4日間の上海旅行中には、一度も現金を見ることも手にすることもなかった。

クレジットカードは、使えるところもあったが、海外発行のものは使えないだとか、ほとんどクレカで支払う客がいないため機械が壊れているだとか、クレカで払う自分が時代遅れな気持ちにすらなった。

「中国でスマホが使えなかったら不便じゃない?QRコードの支払いシステムとか、私でもわかんないんだけど。お年寄りはどうするの?」

「そりゃ、お年寄りの一部は文句言うてることもあるけど、こういうシステムなんだから、お年寄りがシステムに合わせなあかん」

なるほど。人によってシステムを変えるのではなく、人がシステムに合わせることを推奨しているらしい。こんな時、民主的な手法よりも、独裁的な手法の方が理にかなっているような気がする。

民主主義がいつも良いとは限らない。日本ではアメリカの影響で、民主主義=良いもの、と言う空気が蔓延しているが、賢い独裁者が国を支配する方が、国家運営がずっとスムーズに行くこともある。ドバイを有するUAEで学んだことである(正確に言えばUAEは君主国家であるが、完全な普通選挙はない)

また上海の「金子眼鏡」でメガネを買った時のこと。旅行中の上海でメガネを買うのもどうかと思ったが、ドイツのメガネサイズがデカすぎることに頭を悩ませていた私にとっては、アジア人向けサイズのメガネが手に入ることに、浮かれていた。韓国に行った時も思ったが、日本のものを手に入れるのに、もはやわざわざ日本に帰る必要はなく、買い物だけであれば上海やソウルで済んでしまう世の中になっていると感じるこの頃。

そして同じブランドなのに、日本とはサービスが違った。日本の「金子眼鏡」であれば度付きのメガネを作るのに最短1週間かかる。しかしここでは数時間でできると言うではないか。しかも、仕上がり後は、私が滞在しているホテルにデリバリーで届けてくれると言う。

え?

メガネって最終調整した後、店頭でチェックするもんじゃないの?

しかし、滞在の時間が限られていた私にとっては、また来店するのも面倒なので、デリバリーを依頼することにした。そして翌日にはちゃんとメガネがホテルのフロントに届けられていた。仕上がりもバッチリである。

最終チェックをしないことに若干不安を覚えたが、こんなに簡単にメガネが手に入ってしまうとは。そのスピード感に恐れ入った。一方で、日本であれば時間はかかるが非常に細かく丁寧にやってくれるのだろう。そして若干大雑把ではあるが、とにかく早すぎる上海。どちらが良いかは好みによるかもしれない。

そして、良いサービスとは何かについて考えさせられた。

日本のサービスは優れているというが、日本のサービスの特徴は、おもてなしに代表されるように、”心”を大事にしている。それは客を懇切丁寧に扱うことを目的とし、サービス提供者の笑顔や所作、言葉遣いに現れている。一方で、上海で感じたのは、サービスの良さが常に実用的であるということ。割引があるとか、便利であるとか。店員たちは、客にへり下る様子もなく至って、フランクである。

“良いサービス”と一口に言ってもさまざまである。

マレーシアでは、おもてなしも利便性もないが、とにかく店員の愛想だけは良い。店員の純真無垢な笑顔に癒されることも多々あった。ドイツは「サービス砂漠」と言われるぐらいサービスレベルが低いと言われることもあるが、「友達か!」と思うぐらい人間的な接し方をする。サービスというよりも、人間対人間のやり取りである。世界には、様々な”良いサービス”が存在する。

ちなみに以下は、上海旅行中に遭遇したホストクラブ風レストラン。装飾が凄すぎて、何が何だかわからない。しかし、中身は単なる火鍋レストラン。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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