異次元のケツとおっさんカフェ。失敗したモロッコ旅行

異国の地に着いてまず思うことはなんだろう。あ〜海外に来たな〜とか、暑いなあ〜など気候に関することが、基本は相場である。しかし、私の今回のモロッコ旅行の場合は違った。

異次元のケツ

な、な、な、なんというケツのデカさ。そう、私がいの一番に察知したのは、空港を行く女性たちの、お尻のスケールのデカさである。

いやいや、そんなこと言っても、所詮はお尻でしょ?と思われるだろう。

しかし、人体の神秘をなめてはいけない。もはや3歳児がすっぽり入れそうなぐらいの、規格外のサイズなのである。

私も筋トレでそれなりに鍛えているつもりではあったが、桁違いのケツを目の前に、もはや一生かかってもあのレベルには到達できないことを悟った。それぐらい異次元のケツなのである。おお、神よ。なんと無慈悲なのでしょう。

もはやこの驚きと絶望を誰とも共有できないと諦めていたが、西アフリカによく旅行に行くというドイツ人だけは、共感してくれた。「や〜まじで西アフリカのお尻はレベチだわ」と。

ケツだけではない。私(157cm)よりも身長が低い人々が多いマレーシアにしばしいたせいか、やたらと周りの人間がでかく感じる。全員バスケ選手かと思うぐらい女性も男性も背が高い。克服したかのように思われていた、低身長コンプレックスがここにきてまたひょっこりはんしてしまったのだ。

とまあ、こうしたコンプレックスをなだめながら、モロッコ旅行が始まり、終わった。そう、2日目以降は、疲労のせいで何が何だかほとんど覚えていないまま、旅が終わっていたのだ。

失敗したモロッコ旅行

旅行にそもそも勝敗をつけるのはどうかと思うが、正直言って今回のモロッコ旅行は確実にしくったと思う。その大きな敗因は、モロッコという国のスケールをなめていたことである。

ま〜4日ぐらいでいけるっしょ、とアフリカの国境並みに何も考えず適当に日程を決めた。しかし、蓋を開けてみると、マラケシュからフェズまでは電車で7時間?フェズからカサブランカまでは4時間?おいおい、メクネスとラバトに行く時間がないやん・・・とまるで夏休みの終わりに、猛烈で宿題を仕上げるような切羽詰まった状況に追い込まれることに。

結果として、毎日4時間以上の電車移動をする羽目になった。当然、移動先でもあまり時間がないので、たいして周れるわけでもなく、移動で体はどんどん疲弊していくのであった。これでは旅行ではなくて、単なる乗り鉄である。そう、モロッコに旅行に来たというのに、大半の時間を移動の電車で過ごすハメになったため、乗り鉄としての思い出しかない。

魂を抜かれた食事

モロッコに来て以降、パン食が続いた。毎食、やたらと食事のお供にパンが提供される。筋トレを始めて以降、結構PFCバランスを気にしながら食事をしている(こういうのは他人に話すと、うざがられるのであまり話さないようにする)ので、そろそろパンをやめたいなあと思っていた時のこと。

そや。パン抜きでお願いすればいいんだ。というわけで、ホテルのスタッフに、朝食はパンなしでお願いしやす!と頼んだ。しかし、なぜかスタッフは困った表情をした。

その理由が翌日の朝食で判明。周りの客が食べているテーブルをみると、4枚ほどのピタパンが入った皿は私のテーブルにはなかった。しかし、明らかにパンと見られる面々がいるのである。

お前ら、パンやないか!

そう、モロッコの朝食というのは、基本的にパン各種で形成されているらしい(他のホテルでも同様だった)。違う面々でも、属性としては皆パンである。だから、パン抜きでは、朝食が成立しないのである。いわばお米のないおにぎりのようなもので、魂を抜かれた食事みたいなものなのだろう。だから、あのスタッフは困惑したに違いない。

おっさんしかいないカフェ

日本でカフェといえば、万人が利用する銭湯みたいなもんだが、どちらかというと女子たちが集うオシャンティな場所という意味合いも含めて良いだろう。

しかし、モロッコのカフェは違う。客の大半がおっさんなのである。女性がいたとしても、男性の連れがいる。女一人でコーヒーを飲んでいるやつなどいない。カサブランカでカフェに入った時は、客の99%がおっさんであった。

まるで競艇場にいるかのような気まずさを覚える。その気まずさは客層だけではない。モロッコカフェ独特のレイアウトにもある。モロッコのカフェでは、基本的に椅子がすべて路面側を向いているのである。まるで学校の教室みたいな仕様である。よって、入る時もおっさんたちを目の当たりにしながら入るので、これが入りづらい。

憩いのカフェなのに全然くつろげない・・・

モロッコでは伝統的にカフェは男性たちが集う場だという。そういえば、他のアラブ諸国の時も、男性陣が多かったような。しかし、すべての客席が路面を向いているのは異常だ。しかし、こうして路面を向くことで、行き交う人々を堂々と鑑賞することができる。まるでそれは映画館で、枠のないライブ映像を見ているかのような気持ちになる。

そこにはささやかながら、個人と社会のつながりが生まれる。現代の一般的なカフェはどうか。椅子は向かいあっているので、同席した友人や知人との空間だけに向き合うことになる。一人客の場合は、たいていパソコンとスマホの画面を見つめ、ハイパー個人的な空間に閉じこもる。

モロッコのカフェ。それは、現代のグローバリズムや資本主義社会では決して味わえないものを提供してくれる場所なのであった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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