大麻、トップレス、テクノ。やっぱりベルリンは狂っていた

ベルリンというのは狂った場所に違いない。ベルリンからやってきたシュテファンとの出会いにより、そうしたイメージを持つようになった。詳細はこちらの記事を参照:ゲイじゃないとクールじゃない!ヨーロッパがいろんな意味で狂っていた

どんだけ狂ってるのか・・・

というわけでその実態を明らかにするべくベルリンへと向かった。ちなみにこちら同じくジャングルで出会ったスウェーデンのエリクソン氏も交えて、3人でベルリンで再会をすることにしたのである。

大麻が家に・・・!

シュテファン家に泊めてもらうため、彼の家に着いたわけだが、台所を見て驚愕。

なななな・・・・

これは口に出してもいいのだろうか

日本であれば、逮捕されるブツがあるではないか。観葉植物ですよ、と言わんばかりに何食わぬ顔をして置かれていたのが、大麻の苗である。ニュースで見たブツと同じ現物を見ることになるとは・・・

「それ弟にもらったんだよねー。弟は植物育てるのが上手だから、わんさか増えてるけど、うちのはテキトーだからそんな感じ」

そう。大麻は雑草と同じく水と肥料をやっておけば、ボーボーに育ってくれるものらしい。ドイツでは今年の4月から個人の嗜好品としての大麻所持が合法となっている。年齢やグラムに制限はあるが、公共の場で吸ったり、3株までの栽培もOKとのこと。解禁になった日、ベルリンはお祭り騒ぎになったという。

経験済みのエリクソン氏とシュテファンは、THCの成分がどうのこうのなどと専門的な話を繰り広げているが、大麻童貞の私はまったく話についていけない。

町はグラフィティだらけ

「日本人は旅先で美味いものを食べるのが好きなんでしょ」ということで、シュテファンが人気の高級レストランを予約してくれた。なんと1ヶ月前から予約しないと席が取れないという。予約の前日に、レストランの前を通った時、「ここが予約したレストランだからね〜」と教えてくれた。

ウソだろ・・・

何せ壁がグラフィティだらけでどう見ても廃墟にしか見えないからである。これは高級レストランのなりではない。しかし、当日になるとやっぱりこの廃墟前にやってきた。


これが1ヶ月待ちの高級レストランに見えるか?治安の悪い外観である。

しかし、店に入るとあら不思議。ビビデバビデブー。一瞬にして、まるで東京パークハイアットの高級レストランの世界にいた。続々とやってくる客も、高級レストランにやってくるような面々である。


このオシャンティな雰囲気は一体・・・ガラスに外観のグラフィティが反映されているため、先の外観と一致していることがお分かりだろう。

全く持って意味がわからない・・・

高級レストランなら外観も高級にするのが、フツーってもんじゃないのか。

しかし、これこそがベルリンのアイデンティティなのである。

ドイツ=綺麗な町と思いきや、ベルリンに関しては町中がグラフィティだらけなのである。外壁だけならまだしも、電車の窓にも描いてある。通常、グラフィティといえば、廃墟や治安の悪い場所と連想しがちである。

しかし、ここベルリンにはそれがない。あまりにも多すぎるため、むしろ町の景観の一部となっているのである。よって、高級レストランでも、グラフィティ=クールということで、こうしたグラフィティが採用されているのに違いない。

平和な公園だと思ったら・・・

3人で公園でぼーっとすることにした。夏のドイツは、ただ外にいるだけで幸福なのである。あたりには、お年寄りやキャピキャピ女子たちがピクニックをしており、なんだか平和な光景である。

ドゥムドゥムドゥムドゥム・・・

何やら山奥から低音ミュージックが聞こえる。その正体を探りに我々は山の展望台に登ってみたのだが、そこには衝撃の光景が広がっていた。

DJブースを囲み、爆音のテクノミュージックと共に黒スタイルの若者たちが体を揺さぶっていた。

ひえっ。まだお昼の3時だぞ!?

そう。通常であれば夜10時ぐらいのクラブで繰り広げられているはずの光景が、平和な公園で繰り広げられているのである。

この爆音・・・怒られないのかい・・・?

しかしそんな気配はない。むしろ、周辺にいるファミリー層たちは何くわぬ顔で、展望台からの景色を楽しんでいた。とんでもないスルー力である。

それだけではない。踊る若者集団の近くでは、ベンチに一人で座る白髪の老人がいた。おじいちゃんも気の毒やな。静かに過ごしたいだろうに・・・

と思ってよく見ると、

老人もリズムに合わせて頭を振っていたのである。まさかのテクノ老人であった。

ひいいい

ベルリンはどうにかしているに違いない。

トップレスの衝撃

突然だが、女性の裸を路上で見たことがあるだろうか。そう、通常はない。なぜなら日本では逮捕される危険性をはらんでいるので、歌舞伎町以外では誰もそんな行為に走らないのだ。

翌日、またしても我々は別の公園にいた。本日はシュテファンの愛娘も加わった。ドイツでの日曜日は大概の店が閉まってしまうので、市民たちはこうした公園に繰り出して時間を過ごしているのだという。

芝生でビールを飲みながら、我々はボーッとしていた。

おやっ

私の目は、奇妙な光景を捉えてしまった。

あれ、女性が服を脱いでいる・・・ブラジャーとパンツしか付けてないぞ。さらにその30秒後。

ぎゃっ

チチがでとるやないか

これは大変な事件である。気づいていない連れに、慌てて説明すると、鳩でも見たのかというぐらい平凡なこととして受け流された。それぐらいベルリンでは当たり前の光景らしい。

「もともと、男性が半裸で公園をうろうろすることは許されてたの。それに対して、女性も同じ権利を持つべきだということで、今では公共の公園でも女性はトップレスでOKになったわけよ。ただ、女性がトップレスになることで、中には女性の体を性的な目で見る人もいるわけでしょ。だからそうした性的な目をどう避けていくか、というのが問題なの」

とシュテファンの娘は語る。

考えてるレベルがちげえ・・・

私といえば、初めて外国人を見る小学生みたいに、トップレスという衝撃に色めき立っていたというのに。ドイツ人たちはすでに一歩先の世界にいたのだ。

ちなみにドイツでは公共の公園だけでなく、プールでもトップレスがOKになっているとのこと。うーん、しかし女性がそんなところでトップレスになる必要はあるのだろうか。先の女性だって、単に着替えをしていただけなのだが、そもそも着替えで裸になる必要があるのか・・・

とはいえ、ドイツ人のポイントはそこではないのだろう。男も半裸OKなら女性も同様にOKであるべきだ、という男女平等の観点なのだろう。女性だけをNGにするのは、そもそも女性の胸を性的に見てるのが悪いからじゃ!という理論らしい。

独特な写真のポーズ

大麻とゲリラテクノとトップレスでもうお腹いっぱいだったが、ベルリンはとどまることを知らない。

ベルリンに来て、明らかに私のファッションは浮いていた。ベルリンのテーマカラーは黒なのか、ほとんどの人はダークな色を決め込んでいる。さらにそのスタイルの大半はユニセックスであった。そう。フェミニンなファッションに身を包む女性がほとんどいないのである。

フェミであること=ダサい。という暗黙のルールがあるかのようである。女性らしく、可愛らしく、モテファッションなどという言葉とベルリンは無縁らしい。

それは写真を撮る時のポーズも同様だった。

ベルリンファッションを決め込んだ女性3人組が、写真を撮る姿を見かけた。が!次の瞬間。

ぎゃっ

目の前の女性は、マッチョポーズをして写真に収まっていた。特にボディビルダーというわけではない。


マッチョポーズで決める女性

その他にも、川沿いで写真を撮っている女性がいたが、こちらはベイプをふかして大量の煙と己を映すというスタイルだった。

これは革命だ。

同時に私はこれこそがフェミからの解脱だと悟った。

私は写真を撮られるのが嫌いだ。これまでは、他に代替案がなかったため、ピースや指ハートに甘んじてきた。しかし、これらは自分を可愛く見せるための、小道具だったのだ。そう、フェミでもなんでもない自分をフェミっぽく見せなければならないという抑圧。それが写真嫌いの理由だったのだと私は気づいた。

早速、新しいユニセックスポーズを取り入れていみた。するとどうだろう。なんだか写真を撮るのが楽しくなった気がした。

貧乏だけどセクシー、それがベルリン

おいおい、ベルリンとやらはかなり狂った町だな。率直な感想を興奮気味にシュテファンに伝えた。

「そうそう。もうすぐベルリンでは性別を変えられるようになるんだ。俺が法的に女になって、女性と付き合えばホモセクシュアルになれるんだぜ」

彼の目は、サンタからのプレゼントを楽しみにする子どものようだった。

すっかりLGBTQのことは忘れていたが、そうだった。ベルリンはヘテロセクシュアル(異性愛)ではクールではないのだ。数ヶ月間に初めて聴いた時は、そんなバカなと思ったが、生のベルリンを見た後では、ああ確かにそうかもね、と納得してしまっている自分がいる。

首都ベルリンは、アートやカルチャーに溢れていて、さぞかしリッチな都市だと思っていた。しかし、シュテファンはいう。「ベルリンはマジで金がない都市。何せスローガンは、貧乏だけどセクシーっていうぐらいだからな」。

狂ったベルリンに私は知恵熱でも出るのかと思うぐらい、興奮していた。ちょっと変わった人に恋をする・・・そんな気持ちに似ている。

そしてベルリン訪問から1ヶ月もしないうち、事態は急展開を迎える。しかし、その時の私はそんなことには、これっぽちも思いも寄らないのである。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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