ドバイの治安って実際どう?在住者から見たホントのところ

テレビ番組でも度々取り上げられ、注目が集まりつつある中東のドバイ。旅行に行ってみたいけど、治安が不安。本当に大丈夫なの?という方に、ドバイの治安について解説。

砂漠の近未来都市ドバイ

ドバイに家族や知人がやってくると必ず口にするのが、「思ったよりも清潔で安全なとこじゃん!」という感想である。

しかし、百聞は一見にしかず。日本人が想像している以上に、ドバイの街は発展しており、建物やインフラも新しく快適だ。街中の芝生や花壇は、丁寧に手入れをされ、街の美観を保つのに一役買っている。

ドバイの街並み
高層ビル群が並ぶドバイの中心地

中東に位置するということで、テロがあったりと危険な場所なんじゃないか、と思われがちだ。

しかし、テロや内戦といった中東のイメージは、ドバイにはまったくない。ドバイのイメージをあらわすのならば、ゴージャス・近未来・清潔といったところである。

新興都市ドバイは、セキュリティにも徹底して金をかけ、街のいたるところに警備員が配置されている。警備員を見かける回数は、日本よりも多い。

世界中から観光客がやってくるドバイ

ドバイの治安レベルを物語る上で手取り早いのが、ドバイが観光地としてどれだけ人気かという点である。

マスターカードが発表した「2019年世界渡航先ランキング」で、ドバイは世界第4位にランクインしている。ちなみに東京は第9位。

そもそも治安が悪ければ観光客は来ない。ドバイの治安は、世界中の観光客が納得するレベルの治安だといっても過言ではないだろう。

街中や公共交通機関は清潔で安全

ドバイの主な公共交通機関である無人メトロは、清潔で揺れも少なく乗り心地がよい。

日本の電車のように、時間通りに来ることも特筆すべきだろう。日本でいう新橋とお台場間をつなぐ、ゆりかもめ線のような乗り心地、というのが一番近い例えかもしれない。

ドバイメトロにも女性専用車両があるので、女性はこの車両に乗れば安心。

ドバイメトロ社内

関連記事:【完全ガイド】ドバイメトロを乗りこなそう!運行時間、乗り方、チケット購入方法

夜型な人が多いドバイ。子どもも夜遅くまで遊んでいる!?

ドバイを観察していると、夜のほうが人の動きが活発になる。レストランをみても、だいたい夜10時ぐらいからでもお客さんがやってくるほど。

世界最大規模のドバイモールは、木曜の夜(こちらは金、土が休日)には夜中の12時ぐらいまで営業している。そのため夜11時になっても、買い物や食事をする人でモールはにぎわっている。

というのも、昼間は暑いため、涼しくなる夜になってから、みな活動を始めるのだ。

イスラーム教の国ならではのルールに注意

治安レベルは申し分ないのだが、実は気をつけるべき点もある。

ドバイが位置するアラブ首長国連邦(UAE)はイスラーム教の国である。イスラーム教の国ならではのルールがある。日本では問題ないことも、ドバイではNGになることもある。

2017年の7月には、日本人観光客の男女2人が、「婚前交渉」と「公共の場で泥酔」していたことで罪に問われた

高級ホテルのバーで酒を飲んだ後、路上に止めていた 車内で行為に及んでいるところを私服警官に発見されたという。彼らはその後、国外退去を言い渡された。

また2017年の8月には、男性が”女性”の格好をしているとして、性同一性障害のシンガポール人が拘置所に送られた。基本的に、UAEではLGBTというものを認めていない。法律に違反するものとされている。

酒は飲んでも飲まれるな

ドバイでお酒が飲めるのは、お酒販売のライセンスを持つホテル内のレストランやバーだけだ。バーやレストランでお酒を飲むのは構わない。イスラーム教徒でも飲んでいる人はたまにいる。

ただ、それがホテルの外などの「公共の場」になると、泥酔していてはいけないのだ。

金曜の夜の新橋駅あたりにいそうな、酒で強気になり叫んだり、その辺の人に絡んだり、座り込んだりしている人はドバイでは全員アウトである。

酒を飲んでも、公共の場にまで持ち込むなというやつだ。

欧米人だから、日本人だからといって免除されるということはありえない。治安はよくても、自国とは違うルールで動いている国なのだということを覚えておきたい。

関連記事:世界一ビールが高い!ドバイの酒事情。お酒を飲むなら持ち込むべし!

入国審査官には絶対に逆らうな

自戒を込めてお伝えしたい。空港の入国審査で、どんなに待たされてもイライラしても決して態度に出してはいけない。入国審査官にやつあたりでもすれば、もう一巻の終わりである。

私は審査官に対して、悪態をついた&Fワード(”ファック”とかですね)を使用、という罪を犯し、パスポートを取り上げられしばしの間、絶望に追いやられるという体験をした。

「おまえがこの国で、働くことができないようにすることも可能だかんな」とまで脅されるという、おぞましい体験である。

詳細は別の記事を参考にしていただきたい。
悪態をついてドバイ国際空港で入国拒否になる

とにかく入国審査官に限らず、石油王っぽい格好をしている人には絶対に逆らってはいけない。

電車内で飲食したら罰金・・・意外な落とし穴

さらに気をつけたいのが罰金である。ドバイはいつのまにやらシンガポールのような罰金大国になってしまった。

それも世界中から観光客が訪れ、また世界各地の人間が暮らすドバイゆえである。つまり、都市の秩序を保つためには、一定のルールが必要なのだ。

日本と大きく違う点といえば、バスやメトロといった公共交通機関内での飲食が禁止という点。またメトロで居眠りをした場合にも、罰金となるのでご注意を。


メトロ内の注意書き。「メトロ内でガムを噛むこと、飲食は禁止」。

また、信号無視や横断歩道がない場所を渡った場合にも、罰金の対象になることもある。罰金といっても、つねに監視員がいるわけではない。

しかし、セキュリティカメラはあちこちにあるので、油断はできない。

さらに、無断で他人の写真をとってしまい150,000ディラハム(約450万円)の罰金を科せられたケースもある。UAEでは、無許可で他人を動画や写真で撮影した場合は、最大で500,000ディラハム(約1,500万円)の罰金と懲役1年が課せられる

かといってその辺にいる人全員に、許可を取るのは不可能な話だ。

特に注意が必要なのは、アバヤ(現地の伝統衣装)を着ているアラブ人女性。本人が嫌がることもあるが、近くにいた家族が「うちの娘(もしくは妻)に何してくれるんじゃ、ワレ」といって訴えるケースもあるからだ。

よって、彼らを写真に撮りたい場合は、一言断るのがマナーだ。

テロの可能性は?

不思議なことに、世界各地でテロ事件の類が起こると「ドバイ テロ」で検索する人も増える。

この一件から思うに、どこかでテロが起こると、多くの日本人が危険だと思っている中東地域でもテロがあるのではないか、と連想ゲームのごとく思ってしまうらしい。

確かにドバイは中東地域に位置する。ただ繰り返し述べているように、世界中から観光客がやってくるほど治安がいいのだ。テロらしいテロが起きたことは、1971年の建国以来ない。

政治活動や集会も厳しく禁じられているため、抗議活動をしている人々が暴徒化して過激なデモになることもない。

ドバイ人口の8割は出稼ぎ外国人である。つまりドバイで何かをしでかせば、国外追放となり、UAEへの再入国は許されない。

ドバイに出稼ぎにやってくる人々にとって、「ドバイ」という出稼ぎ場所を失うことはかなり痛い。

ドバイに住む人間たちには、「ドバイに食わせてもらっている」という感覚がある。だからこそ、多少不都合な決まりを押し付けられても、我々は事を荒立てたくないので、だんまりを決め込む。

アブダビの治安は?

アブダビはドバイから車やバスで1時間ほど行った場所にある。ドバイがあまりにも世界的に有名すぎて、やや霞んでしまっているが、UAEの首都である。

そして何より石油による収入が最も多いのが、このアブダビである。ドバイはもともと石油の埋蔵量が少なく、資金がありあまるアブダビから援助を受けていたこともある。

そんなアブダビであるが、ドバイとほとんど治安は変わらない。開放的なドバイに比べて、アブダビはUAE人も多く住んでおり、やや保守的な印象を受ける。

世界のパリピが跋扈するドバイに比べ、アブダビはおしとやかな金持ちが集まる場所。そう、まるで田園調布みたいな場所なのだ。

関連記事:ドバイとアブダビどっちに旅行すべき?おすすめポイントと違い

東京よりも治安が良い?

日本ほど治安がいい場所はないと信じ込んでいた。

けれどもドバイはそれ以上なんじゃないかと思う。ドバイだって、落し物は普通に戻ってくるし、ブランド物のバッグやスマホをレストランのテーブルに放置したまま席を立つ人もいる。車でも鍵をかけずにそのまま、駐車する人もいる。

平和ボケしているのは日本人だけかと思いきや、ドバイに住む人々もずいぶん危険に関してはゆるいんじゃないかと。

逆に日本の方が危険なことも多いんじゃないかと思う。夜道を歩いていてひったくりにあうとか、電車の痴漢だとか。テロとは言わないまでも、身近な危険はドバイよりも日本の方が多いのではないかと思う。

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20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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