日本は中東で美化されすぎている?

ほぼ毎日アラブ人たちと話す中で、気づいたことがある。どうも、日本をいいように美化しすぎているのではないか、ということだ。

日本人だと知った途端、「ジャパン!ここがすごい!あそこがすごい!」などと向こうは、言い始める。はじめのうちは、こちらとしても嬉しい。つい、自分が褒められている気分になってしまう。自分の功績でもなく、ただ偶然日本人に生まれたというだけなのだが。


日本人には当たり前の習慣でも・・・

シリア人の友人は、何かにつけて熱心である。「日本人っていうのは、本をよく読むんだな。関心しちゃうよ。うん、本を読むのはやっぱり大事だ。だから、俺も本を読むことにした」と言いながら、日本人が本を読む習慣があることを知るきっかけとなった動画を見せてくれた。

それが、サウジアラビアの人気番組、「ハワーテル」だ。

日本特集が20回以上にも渡って組まれている。1回の放送は30分程度だが、日本のゴミ収集システム、日本の教育、健康のためにあるく老人など。よくある日本文化の紹介ではなく、日本のライフスタイルや日本人の考え方を深くまで切り込んで紹介しているのが特徴的だ。

その日本特集のオープニングで、本を読む日本人が映し出されている。日本人からすれば、何気ない光景だ。しかし、友人曰くあまり本を読む習慣がないアラブ人(国によっては結構本を読んでいる国もある。エジプトやイラクなど)からすれば衝撃を受ける光景らしい。


「ハワーテル」のオープニング映像より


日本人にはなんでもない光景が、アラブ人にとってはスゴイらしい・・・

なぜアラブ人は日本人を尊敬するのか?

おそらくアラブ人が考える日本人というのは、このような図式が前提にあるのだろう。

ヒロシマの原爆から立ち直った日本はすごい→日本人はすごい→本を読んでいる日本人→本を読む行為はすばらしい

何かにつけて日本人がやることは、アラブ人にとっては素晴らしいのである。なぜなら日本人がヒロシマの原爆からミラクル復興を果たしたからである。

日本人すごい説があまりにも流布しているためか、一方では彼らが韓国人や中国人をやや下に見ている印象も否めない。いや、正確に言えば、日本人ほどとりたててすごくはないというレベルだ。しかし、現実は違う、と私は見ている。

今やドバイのインフラ事業を担当するのは、中国企業。韓国の家電企業の新テクノロジーが、業界をリードする。ドバイに住む韓国人、中国人の数も日本人の数とは圧倒的な差がある。

そうした傾向に危機感を感じた私は、熱心に友人に語りかけるようにした。NHKのごとく公正な視点を心がけ、中東で報道されないニッポンを伝えるようにしたのである。

なぜ日本は自殺者が多いのか?日本の働き方などである。

「いいか、ドバイではみんな仕事中に平気で私用の長電話をしているがな、日本ではオフィスの外に出るか、なるべく私用の電話を慎むのがルールなのだ」といった細かいものまでである。

そうした公正報道を続けた結果・・・

「日本ってはのすごい国だとは思うけど、日本では生活したくないな」

という感想を頂いた。この一言が、私の個人報道の賜物である。

と思ったら他にも同じようなことを危惧している人がいるらしい。英BBCの記事では、日本について正しい情報を伝える活動に携わる人物を紹介している。

日本は道が自動できれいになる?中東諸国の「日本風説」

興味をもってもらえることはありがたい。しかも嬉しいことにそれが「美化」された状態である。それが、日本で見聞きする国内メディアの報道の方向性と一致している点も興味深い。

ただ、アラブ人が一心に日本を美化する様は、ヒット曲1つで生き残る歌手への憧憬にも見える。
戦後の復興という輝かしい栄光だけで、今の日本人が素晴らしいと思われているのではないか。そうだとすれば、日本人は今は気付かなければならない。彼らが日本人を尊敬している理由は、現代の我々の功績ではなく、過去の日本人たちの功績によることを。