未来感ハンパねえ!奇形観光スポット、ドバイ・フレームに行ってみた

あの得体の知れない物体を見る度に、あれは一体何なんだろうと思っていた。しかしその謎がようやく解明した。

2013年に着工を開始し、5年の歳月を経て完成したのが「ドバイ・フレーム」。もはや世界でも例を見ない奇形物であるがゆえに、その歳月が長いのか短いのかすらもよく分からない。


世界一巨大なフレームがドバイに登場


人類がかつてこんな未来感を体感したことがあるだろうか?

プロジェクトを手がけたのは、フェルナンド・ドニスというメキシコとオランダを拠点に活躍する建築家だ。奇怪な形で目を引いたって、所詮は展望台だろう。とぐらいに考えていたのだが、それは大きな誤りだった。

近くで見ると、もうUFOに圧倒されるぐらいのハンパない未来感。「何これ!?」とその迫力に驚かずにはいられない。そのゴージャスな内装にあわせてか、なぜか観光客たちも小綺麗に着飾っているのが印象的だった。インド人、アラブ人、中国人、ロシア人ととにかく各々のおしゃれを持ち寄っている。

ドバイ・フレームの高さは150メートル。高さ139メートルのエジプトのピラミッドに比べるとやや高い。しかし、迫力は正直なところピラミッドの何倍もある。それに、ピラミッド付近で観光客を狙ったラクダ乗りに追い回される心配も、ここドバイではない。

UAEの歴史をリアルに体感

館内へ入ると、荷物をチェックされ、金属探知機も通らなければならない。観光スポットのはずが、なぜか空港に来てしまった気分になる。それにしても、ドバイでこれほどセキュリティがしっかりしている観光スポットも珍しい。

ドバイ・フレームの目玉である展望台の前に、UAEの歴史展示コーナーに通される。ドバイの観光地にしては珍しく写真禁止とのこと。

この手の展示は国内ではよく見かける。昔は真珠をとって生活していたんですよとか、UAE人女性はこんな風に過ごしていたんですよ、といった昔のUAEの一コマを不気味な表情のマネキンで表現するのが、お決まりのパターンだ。

そうした展示は、金太郎飴のごとくどこへ行っても同じ(数十年という短期で生活が劇的に変化したので、UAEでは伝統継承に必死だ)である。なので、ただそこに不気味なマネキンがほこりをかぶった状態で、存在するだけで誰の目も引くことはない。そこには、ただ哀愁だけが漂う。


国内の博物館でよく見かける昔ながらの展示法

というのが、従来のUAEにおける歴史の展示だった。

しかし、ドバイ・フレームの展示は違った。最新の技術を駆使し、白黒の映像と共によりリアルに活き活きとした昔のUAE人たちの生活を映し出しているのだ。当たり前だが、展示されているマネキンもほこりをかぶっていない!

同時に既視感を覚えた。そうだ、あれはイスラエルで訪れたホロコースト博物館だ。もしかしたらポーランドのアウシュビッツかワシントンD.Cのホロコースト博物館だったかもしれない。とにかく、同じような展示法が行われていたはずだ。まさか、ここドバイでホロコーストを思い出すとは・・・

宙に浮いているよう?スリル満点のガラス床

もはやと聞いて、ワクワクすることもなくなったが、ドバイ・フレームの展望台は別格だった。それはワクワク感ではなく、ハラハラ感。それを誘発するのが、透明なガラスでできた93メートルにも及ぶブリッジ部分だ。


高所恐怖症でない人間すらも脅かす、上空150メートルからの景色

周りの観光客たちは、我先にと透明のガラスの上に立ってセルフィーをとっている。しかし、私にはそれがどうしてもできなかった。ああ、怖い。怖すぎる。数字で言えば、たった150メートルだが、それが目前に迫るともう・・・

ドバイ・フレームの売りは、その立地にある。施工前にいくつか場所の候補が挙がっていたが、古きドバイと新たなドバイが両端に見渡せるという点で、現在の場所に決まった。


”新ドバイ”の景色。2018年はUAE建国の父、シェイク・ザイード生誕100周年である


ガラスブリッジ上の愛


消防用ホースが入った台の上に赤ちゃんとミルクを置く夫婦

うろうろしていると、突然「写真撮ってよ」と金髪のロシア系美女に声をかけられる。どうやら母親と一緒にドバイ観光をしているらしい。中国同様、ロシアも観光ビザ規制が緩くなったことで、昨年から多くのロシア人観光客がドバイにやってきている。

快諾したものの、注文が何かと細かい。もうちょっと後ろに下がってだとか、今度は上からのポーズで頼むわとか・・・まるでロシア美女の犬じゃないか。

しかも、ロシア語の写真の合図が分からない。英語の「スリー、ツー、ワン」か?などと考えていたら、結局無言で、数ショット撮る羽目になっていた。まあ、ロシア美女とそのお母様は満足気だったので、良しとしよう。

展望台には、カフェコーナーも併設。ゴディバのチョコバーとドバイの日系パン屋、「ヤマノテ」が入っていた。なぜドバイ・フレームで、日本の菓子パンとゴディバというチョイスなのか。全くもって不明である。どうせならUAEらしいものを売った方がいいんじゃないかと思う。


ゴディバのチョコが並ぶカウンター


こんな展望台で誰がチョコがけ苺を食べるんだ・・・と思いきや意外と人気。先ほどのロシア美女は記念撮影の小道具として使っていた

ドバイの未来予想図がスゴイ!

展望台からエレベーターで降りると、「ショーが始まりますよ〜」と案内され、何やら巨大なスクリーンの前に立たされる。映し出されたのは、ドバイの近未来予想図だった。

空飛ぶ車が舞うドバイの町。どんな病気でもあっというまに治療してしまう、超速治療の病院、火星へのロケット打ち上げなどが3D映像で映し出される。あまりにも非現実すぎる世界だが、火星へのロケット打ち上げなど現在進行形のプロジェクトもあるので、ひどく現実味を帯びているのがポイントだ。

「ドバイすげえ・・・」と言わずにはいられない。と同時に気づけば、ドバイ教の信者に私はなっていた。こんな素晴らしい未来が待っているドバイに住めてなんて幸せ者なのだろう、とさえ思ってしまう。数年前の自分から言わせれば、気が触れている域に入っているのだが。

それは、おそらくかつての日本人がバブル絶頂期に抱いたであろう、絶対的な未来への肯定感に似ている。バブル崩壊後に生まれた私は、それを知る由はない。ただ、未来がとにかくワクワクするもので希望に満ちている。現在の日本では体感し得ないものが、ドバイにはある。

一方で、これは巧妙な心理戦略の結果ではないかとも思う。展望台で、恐怖やハラハラ感に陥れた後、キラッキラッのドバイの未来予想図を見せつける。人々は、ドバイを礼賛せずにはいられないだろう。恋愛における吊り橋効果と同じようなものだ。

再び外へ出て、キンキラキンに輝く奇形物を目前にする。ドバイ教信者となった私は、ドバイの首長にして、高尚なるムハンマド殿下に敬意を表していた。

勝利と愛を表すムハンマド殿下のお決まりのポーズ。ひと昔流行った、楳図かずおの漫画、「まことちゃん」のグワシに類似している。

ドバイっ子たちも、ムハンマド殿下のポーズで決める。

イケメン王子のハムダン皇太子も乗馬しながら決めポーズ。

平凡なドバイ市民を数時間にして、ドバイ信者にしてしまうドバイ・フレーム。あなおそろしや。ドバイ観光客は言わずもがなだろう。次にドバイ信者になるのはあなたかもしれない。

【ドバイ・フレーム利用案内】

場所:ザビール・パーク(Zabeel Park)ゲート4
開館時間:毎日10時〜19時
料金:大人AED50(約1,500円)、3歳から12歳までのは子供AED20(約600円)。60歳以上は無料。チケットはドバイ・フレームの入り口で購入可。
公式サイト:http://www.thedubaiframe.com/

【ドバイ・フレームへの行き方】

メトロ
アル・ジャフィリヤ(Al Jafiliya)駅からザビール・パーク(Zabeel Park)のゲート4まで、徒歩20分ほど。ザビール・パークには他にもゲートが存在するが、ゲート4から入らないとドバイ・フレームには行き着かない。よって、ゲート2や3から入っても、必ず一度出る必要があるので注意されたい。

タクシー
「ザビール・パークのゲート4」もしくは「ドバイ・フレーム」と伝えれば分かるはず。ドバイモールやバージュ・ハリファがあるダウンタウンからは、タクシーで15分ほど。ドバイ国際空港からは20~30分ほど。