日本の存在感は低下している?中国人観光客はかつての日本人か【その3】

特にドバイにおける中国人のプレゼンスは桁違いだ。前回で述べたようにUAEには20万人以上の中国人が住んでおり、UAE人口の約2%を占めるまでになっている。

中国人投資家によるドバイ不動産への投資額は年々増えており、2017年までの過去4年間でその不動産市場へ投資額は27億ドルにものぼると言われている。


中国企業なくしてドバイなし?

会社で上司と話している時にも、「おい、知ってるか。最近、中国人の投資家が現金一括で隣にあるホテルのビルを買ったらしいよ」というスケールの違いを見せつけられる有様である。中国人の投資家は、5つ星の高層ホテルを現金一括で買うほど金を持っているのか、とたまげたものである。

いまだ高層ビルや道路の整備が盛んに進むドバイでは、建築現場ではよく中国企業の名前を目にする。

上記は、1億3,200万米ドル規模で2年半のプロジェクトと言われるバイパス道路の建設現場。手がけるのは世界最大規模の建設会社、中国建築(CSCEC)である。同社はその他にも多くの建築プロジェクトをドバイで手がけている。

CSCECによるプロジェクトの一例(公式サイトより)

驚きだったのは、普段はインド人やパキスタン人しかいない建築現場に、なんと中国人がいたことである。50度近くにもなる真夏の建設現場で、インド人やパキスタン人たちとともに現場で働く。

これを現代の日本人がドバイでできるだろうか。

もはや気合の入れどころが違う。そうした格の差までも見せつけられたようような気がした。

それだけ中国人が多いので、ドバイには「ドラゴン・マート」なる中華製の巨大モールも存在する。


ドラゴン・モール(公式サイトより)

モールには、4,000以上の店舗が入っており、このモールを重宝するドバイ住民は多い。とにかく様々なものが安く手に入ると好評なのだ。

アジア人なのに中国語も韓国語もできないの?

観光においても中国観光客の増加は目覚しい。2016年にビザが空港で取得できるようになったことを機に、翌年の2017年には前年比46%増の70万人近くの中国観光客がドバイを訪れた。

2017年度のドバイ観光客数ランキングで、中国は5位に浮上している。ドバイの観光産業に中国人観光客は欠かせない。ドバイ政府観光局のプロモーションに携わっていたが、中国だけは別途プロモーションを企画したりと、やはりドバイにとって中国は特別な存在らしい。

ドバイの観光客数ランキング2017 


ドバイ政府観光局公式サイトより)

広告代理店で働いていた頃。仕事中にアジア人顏なので同僚たちに「中国語できる?」「韓国語できる?」と聞かれたことがある。仕事において中国や韓国語が必要になる場面には何度か出くわしたが、日本語を必要とされたことは一度もなかった。

韓国語も中国語もできない塩顏の東アジア人?東アジア人としての存在意義を強く問われたような気がした。

つまるところ、時代の流れなのだろうか。近所を歩けば毎日のように中国人観光客を乗せたバスや中華系観光客を見かける。彼らはカラフルなブランドものを着て、とても身なりがいい。

モールの高級ブランド店でも、中国人が好きなブランドの店には必ず中国人の店員がいる。高級ブランド店に怖くて入れない私も、中国人が店内にいればそれに安心して、中国人のフリをして入ることができる。中国人様様だ。

80年代を生きた日本人たちもこうやって旅行していたのだろうか。バブル崩壊後に生まれた私は、そのかつてのイケイケな日本人を知る由はない。けれども、今の中国人たちに、かつての日本人旅行客を見出してしまう自分がいる。

道を歩けば大型プロジェクトを担っているのは中国企業。モールを歩けば、中国人が好む「赤」を取り入れたディスプレイや中国人店員で中国の観光客を大歓迎。中国のドバイの蜜月ぶりよ。

ある朝、マリーナを歩いているとクルージング観光に出かけるであろう2階建てのフェリーを見かけた。フェリーには中国人観光客がたくさん乗っている。誰かが食べ物でも撒いているのだろうか。フェリーの後ろには、カモメの大群が押し寄せていた。

中国人はカモメの大群の人気まで勝ち取ってしまったのか。ただただ、その事実に驚嘆するしかなかった。