学費無料!?スタバ飲み放題!?アブダビNY大の留学ライフがぶっ飛びすぎ

歴史にもしもはないが、それは人生においても同じだろう。あの時こうしておけばおかったなと思うことは普段ないが、それを激しく感じたことがドバイに来て一度だけある。

それが海外留学だ。

ニューヨーク大学の分校がアブダビに

ひょんなことがきっかけで、なぜニューヨーク大学のアブダビキャンパスで留学をする青年に会うことになった。ニューヨーク大学といえば、タイムズ紙が毎年発表している「世界の大学ランキング」で常に上位入りしている難関校である。

とはいえ、「ま、その辺の大学に遊びに行くぐらいでしょ」ぐらいに考えていたのだが、大学に一歩足を踏み入れて自分の楽観さをひどく後悔することになった。


ニューヨーク大学アブダビキャンパス(公式サイトより)

ここは大学ではない・・・近未来のスマートシティだ。

大学といえば、都の西北にある大学とイスラエルの山頂にある大学ぐらいしか知らない。それまでの私にとっては、大学というのは古めかしく、少々野暮ったいというイメージがあった。

しかし、このアブダビのNY大学は違った。アブダビの中心地からは離れているが、のっけからして新しい近未来的な建物が我々を迎える。そんなアブダビキャンパスは、2010年にニューヨーク大学の分校として開校。アブダビ政府100%出資という、まさに石油御殿ならぬ石油が産み出した大学とでも言えよう。

東洋経済ONLINEの「ハーバード以外の知られざる一流大学」という特集でもNY大のアブダビキャンパスについてふれている。

「魔法のカード」でお金を使わないキャンパスライフ

出迎えてくれた青年は、一見するとドラえもんに出てくるのび太くんにそっくりである。のび太風な青年がこのオシャンティ大学で留学?と思ったが、人を見た目で判断してはいけないのである。中身は出木杉くんとスネ夫をミックスしたような、おぼっちゃまにして、優秀すぎる”グローバルのび太くん”だったのだ。

小学生からインターナショナル・スクール(とにかく金がかかる)に通い、英語にはまったく不自由していない様子。NY大のアブダビキャンパスを知ったのも塾の張り紙を見て知ったのだという。一体どんなグローバル&ラグジュアリー塾に通っていたのだろう。私が通っていた代々木ゼミナールや河合にはそんなもんありゃしなかったのに。

大学内のカフェでお茶を注文しようとすると、「あ、支払いは僕がやるんで」と言う。「へへ、学生が何を言うんですか。こう見えても大学生にお茶をおごるぐらいのお金は稼いでますよ」と社会人アピールをしようとしたら、「いや、この大学支給のカードで払うから、僕のお金じゃないんです」。

なんと!?

話を聞くと、生徒には大学内で使える「魔法のカード」が支給されており、毎月決まった額が使えるという。のび太くん曰く、使い切れないほどの金額がチャージされているらしく、つまり食費などはすべてタダ。この支払い請求がない魔法のカードさえ持っておけば、食事に困ることはなさそうだ。

さらにカフェにはスタバも併設されており、スタバでもこの「魔法のカード」が使えるのだという。つまりは、毎日スタバのコーヒーが飲み放題というわけである。

世界115カ国から学生が集まる大学

もちろんカリキュラムや施設も充実しまくっている。私は本校信者なのでこうした分校だとパワーが少々落ちるのではないかと思っていた。出雲大社とその分祀を思い浮かべて欲しい。総本宮の出雲大社の方が、後利益がありそうだろう。それと同じだ。

しかし、そんな様子は全くない。むしろ本校>分校だとなめて、失ったものの方が大きい。アブダビキャンパス自身も主張するようにとにかく国際色豊かなのである。本校の合格率は3%以下だといわれる難関大学である。その難関をくぐり抜けた優秀な生徒が、世界115カ国から集まっている。

競争が激しいのも、充実した奨学金制度(日本の大学など比ではない)、年2回の母国への往復チケット代もカバーなどなど。とにかくバブル時代の日本のような気前の良さを惜しみなく生徒に還元しているのである。

特に驚いたのは、なんかすごいクリエイティブだということ。もはや自分が40過ぎのおっさんになったような気分になる。のび太くんが、案内してくれる大学の施設にはとにかく驚くばかりである。

こんなんMITぐらいにしかないんじゃね?というようなレザーカッターやら名前がわからない工具が揃えられた工学ラボ。抽象アート作品がならぶアートギャラリーやシアター。近未来的な図書館。オリンピック選手が使いそうな屋内プールと。すべてが新しく前衛的なのである。

恐るべし石油の力。

古さを前面に押し出し、都の西北でバンカラだの在野精神だのという復古主義を唱える学生などここにはいない。スマートな大学に通う学生もまたスマートなのだ。これが時代なのだろうか。

高田馬場の安居酒屋で飲みコールとともに調子こいて酒を飲みまくり、翌朝は高田馬場ロータリーで目を覚ますという愚行に興じていた大学生の自分が恥ずかしくなる。


宇宙船内のような図書館(公式サイトより)


学内のカフェ(公式サイトより)こんなおしゃれなカフェは都の西北にはなかった・・・

のび太くんは、映像作りに励んでおりこれまたグローバルな仲間たちとアート映像を作っているのだとかなんだとか。あれ、こんなグローバルでクリエイティビティ満載なのが現代の学生なのか・・・?イスラエルの山頂で国際政治をやっていた自分がひどく古臭く見える。

そう、なんだかものすごく楽しそうな学生生活なのだ。こうした環境がUAEにあるということを知っていれば、少し人生は変わっていたのかなあと思う。

今後留学を考えている人にはぜひ選択肢の一つとして考えていただきたい。NY大のアブダビキャンパスに縁もゆかりもない人間だが、そんな人間でもイチオシしてしまいたくなるのが、この大学なのである。

関連記事
UAEで学ぶ日本人 グローバルで学費無料(日経新聞)

上記の記事で紹介されている日本人学生によるアブダビ留学ブログ
留学ってアメリカだけじゃないよ?

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

管理人をフォローする
アブダビ
シェアする
進め!中東探検隊