トイレの衝撃!トイレの仕方について他人に説教される【前編】

こんな屈辱的なことがあるだろうか。

てっきり大人になれば恥をかく機会が減るものだと思いきや、年々恥ずかしい思いをすることが増えているではないか。極東の島国を飛び立って以来、過去に何度もこっぱずかしい思いをしてきた。

プントランド(ディズニーランドの一種ではなくソマリアの地域)で男子と一緒に生理用品を買いに行ったり、体を張った渾身のギャグをソマリ女子の前で披露するものの、だだスベリしたり・・・とまあいろいろである。


もうこのような過ちを犯しはしない。そう心に決めて、書くこととする。

そう、今年こそはトイレを正しく使おうと決心したのである。何?30歳手前にもなってトイレもちゃんとできないとは何事か?と思われるかもしれない。自分でもそう思う。

事の発端は数ヶ月前にさかのぼる。ある日のこと、トイレが詰まってしまった。
「ふん、ちょっと多めのトイレットペーパーを流したぐらいで弱音を吐くとは何事か。このトイレめ、なっとらん」と毒づきながら、フロント(ホテルアパートメントに住んでいる)のお兄ちゃんに、プランジャー(トイレでスッポンとやるやつ)を部屋まで持ってきてくれないかと頼む。

その日は事なきを得たが、数週間後にまたしてもトイレが詰まる。

「ちっ。またかい」としぶしぶまたフロントへ行く。ちょっとお宅のトイレ詰まりすぎですわよ!と言わんばかりに強気で、「またトイレが詰まっちゃったんですけど、プランジャーを頼みますわ」とフロントのお姉ちゃんに言う。ところがお姉ちゃんは、何か言いたげである。

「あのー、お言葉ですけど。トイレに紙は流さないで下さいね。紙を流すからトイレが詰まりやすくなるんです」

「えっ。紙は絶対に流してはいけないものなのですか。じゃあ、どうやってトイレをすればいいんでしょう?」

私は真顔で質問をした。トイレの仕方をフロントの受付に聞く人間など前代未聞だろう。それに大人になって、トイレのやり方を真顔で他人に聞いている自分もどうかしていると思う。しかし、フロントのお姉ちゃんは、この滑稽な質問をする人間をいぶかしがることもなく、笑顔で回答をしてくれたのである。

「いいですか。トイレの横にシャワーみたいなものがついています。用を足した後、そのシャワーで洗うのです。その後、トイレットペーパーで拭き取り、ペーパーはゴミ箱に捨てます。これがトイレの一連の動作です」

「へえ」

イスラーム圏のトイレには必ずホースのようなミニシャワーが付いている。薄々その存在には気づいていたが、一体どのように使うのかが分からなかったため、とりあえず見てみぬフリをしていたのである。それに誰だって得体の知れないものには触れたくないだろう。


ハンドシャワーがついたトイレ

しかし今まで紙オンリーで済ませていたのに、いきなりミニシャワーなるアイテムを使ってトイレをしなければならないとは。今までの習慣を変えるのは少々気が重い。しかし、ここで新しいトイレの方法に移行しなければ、トイレは詰まる一方なのである。

トイレが詰まる度にプランジャーを持ってきてくれ、というのも億劫だ。仕方がなしに、新しいトイレの仕方を練習してみる。どうやらこのミニホースは日本で言うところの手動ウォシュレットみたいなものらしい。

はじめこそ、狙いがうまく定まらず便器下を水で濡らしてしまうこともあった。しかし慣れてくると、まあ便利なアイテムである。

日本には熱心なウォシュレット派がいるが、私は恐ろしくてそんなものを一度たりとも使ったことがない。ボタン一つで自分の恥部めがけて水が発射される。そんな破廉恥なコンセプトが気に食わないのと、もしウォシュレットがヘマをして水が変なところに飛んだらどうしよう・・・と思うと怖くて使えないのだ。

しかしこのミニホースならば、自分で位置を調整するので安心だ。しかもこのミニホースを使い始めて、紙オンリーで済ませることがいかに不潔であったかということに気づいた。それに紙も最後の拭き取りに使用するぐらいなのでトイレットペーパーの消費量がぐんと減った。

さあ、これでトイレを詰まらせて、恥をかくことはなくなったぞ!新しいトイレの方法を覚えた人間の新しい門出だ。たかがトイレの方法を変えただけで、生活にメリハリが出てくるから不思議なものである。

しかし他人にトイレの仕方を聞く人間は、やっぱり愚かだったのである。

後編へ続く。