観光への影響は?2018年よりドバイ、サウジで税金が導入開始

ついに本格的な税金が2018年1月1日よりドバイ、サウジで導入された。今回導入されたのは、VAT(付加価値税)というもの。消費者からすればVATは日本でいう消費税みたいなものである。

VATの税率は5%で、食品、日用品、車のガソリンなどが課税の対象となっている。


ドバイよ、君はもう無税じゃないんだね

VATが導入された当初は、「ああ、ついに税金を取られるようになったか〜」と言わんばかりに、ソーシャルメディア上ではレシートの写真を掲載した投稿が多く見られた。

かくいう私もそのうちの一人である。

幸いにも、まだ所得税は導入されていないが、もはや大声でアラブ首長国連邦(UAE)は無税の国ですよ!とは言えなくなってしまった。それにしても、ドバイも税金を取るようになって、昔の気前のいいドバイが過去の人のように思える。

もしドバイを擬人化するならこんな感じだろう。
舞台は、薄暗い明かりが灯る銀座にある老舗のバー。そこで2人の女が語り合う・・・

ジャパ美(日本):「市民から金を巻き上げるだなんて、アンタも変わったね」
ドバ美(ドバイ):「まっ、何とでも言うがいいわ。アタシの狙いは、『世界のドバ美』として長期的に発展を続けること。そのための飛躍に、VAT導入はどうしても避けきれなかったわけ」

ジャパ美:「そもそも、あんなに羽振りがよかったのに、なんでまたそんなこと始めたの?」
ドバ美:「IMFのラガちゃん(注:国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事)に言われちゃってさあ。『アンタ、石油に頼ってばっかじゃくて多角的に収入源を増やさないと、地獄を見るわよ』って」
ジャパ美:「確かに、ラガちゃん頭もいいし、おしゃれだもんね。ラガちゃんに言われたら、そうかなって思うかも」
ドバ美:「でしょ〜?」

ジャパ美:「ずいぶん考え方も変わったんじゃないの。一昔前はガングロギャルやって、渋谷あたりでブイブイやっていたのに。結婚して子持ちになった途端、家族の将来のためにお金貯めなきゃって・・・」
ドバ美:「ま、時代ってやつよ。それより知っている?最近のサウ子(注:サウジアラビア)、なんか調子づいてんのよ」
ジャパ美:「聞いたわよ。サウ子のやつ、ドヤ顔でおかしな発言ばかりしてるそうじゃない?」
ドバ美:「女性がサッカー観戦できるようになりました!とか、映画館解禁!とか。うちらからしたら今更って感じ?」
ジャパ美:「サウ子も必死らしいよ。あんたと同じく市民から税金巻き上げるようになったし、『ビジョン2030』なんてモンを掲げて、権力を保持しながら、国民の食べさせていくのに必死みたい」
ドバ美:「だって、サウ子ん家は子だくさん(サウジアラビアの人口はUAEの3.4倍で約3,200万人)だもん。石油で一生子どもの面倒見ていくなんて無理よ。それに原油価格だって最近落ちてるし」
ジャパ美:「まっ。ドバ美、サウ子とも『ようこそ我々の世界へ』って感じね。アタシは随分前から消費税を導入しているけども、まー大変よ。アンタも気をつけたほうがいいわ」
ドバ美:「そうね・・・」

こんな感じだろう。つい調子に乗って長くなってしまった。話を戻そう。

VATの課税対象になるのは・・・?

今回VATが導入されたのはUAEとサウジアラビアだったが、クウェートやオマーンといったその他の湾岸諸国もVATの導入を2019年から予定している。石油依存体質から脱却して、長期的に安定した状態で国を運営しようという狙いだ。

UAEでは2017年11月より「罪税」と呼ばれる税金が導入されている。砂糖が多いエナジードリンクやタバコなどが対象だ。

関連記事:無税天国の終焉?ドバイで「罪税」が導入開始

VAT導入に関する不満はすでに上がっている。サウジアラビアでは、「税金が増えたのに、給料は変わらん!」と不満をもらす市民の声も。英BBCモニタリング・サービスによれば、VAT導入からたったの10時間でこうした市民の不満ツイートがサウジ国内で10万件以上も見られたという。

一個人として私も不満を抱いている。なぜなら事前にVATの対象は一部の食品と発表されていたのに、いざ蓋を開けたらスーパーの食品はすべてVATの対象となっていたからだ。「UAEはがめつい部分もあるけど、なんだかんだ言って慈悲深い国なのだな」と思っていたら、これだ。私の気持ちを返していただきたい。

また「税金が導入されたから、給料が上がるらしいぜ」といった噂に5分ほど流されて、ほのかな期待を抱いてしまったが、そうした事実は今の所確認できていない。

以下はVATが発生する項目をまとめたもの。
Khaleej Timesの記事をもとに作成

ドバイ、アブダビを訪れる観光客への影響は?

さて、観光客への影響はどうなのか。ドバイモールで買い物をすればVATを払わなければいけないし、外食をしてもVATがついてくる。レンタカーを借りてもVAT、そしてホテルに泊まってもvAT。とにかく観光客の税金負担はかなり大きいと見える。

一方でUAEではすでに観光税が2014年より導入されている。私が無税だ〜!とのさばっていた時期でも、ちゃっかり観光客からは税金をとっていたのである。しかも、それが恐ろしく高い。

実際に、昨年末にオープンしたドバイのブルガリのホテルを予約(2人で1泊)しようとするとこんな感じである。


部屋代が1,900ディラハム(約5万7千円)。VATを含めた税金の総額が、333ディラハム(約1万円)。つまりは部屋代の約18%を税金として別途納めることになる。

無税国家どころではなく、税金のオンパレードである。観光客からは徹底的に取る、そんなポリシーのUAEだ。もはやドバイ、アブダビは無税の場所ではない。そう心してやってこなければいけない場所になったようだ。