二股未遂の相談を持ちかけられ、出した答え

前回は、39歳の美魔女のセクシービームにやられかかっている悩みを打ち明けた玄人親日家ことパレスチナ人のヒシャームであるが、あれからまた別の悩みを押し付けられた。聞かなきゃよかったと後悔するような面倒な悩みではあるが、相談された以上はちゃんと答えなければいけないので、真面目に話を聞く。

その内容というのが、「ぼくはですね、実は他にも気になっている女の子がいるんですよ」といって、また頼んでもいないのに、彼女の写真付きで紹介される。ウクライナ出身の22歳の年下の女の子だという。


ほう。こちらはセクシー美魔女と違い、普通にかわいい。AKB48にありがちなかわいさだ。落ち着いた長期恋愛もしくは結婚向けな相手がする。

それにしてもこいつ自ら2人の人間が同時に好きなんですう、と2股未遂を自ら披露するとは相当なやつである。

ついでに、「どこが好きなの?」と聞くと、「彼女はとにかく家族思いなんです。毎朝会社に行く前、帰った後母親に連絡するってとっても彼女思いでぼくは好意をもちました」

ふうん。家族を大事にするアラブ人には受けそうなポイントである。

「コラッ。2股はいけないんだぞ!」という正義論もまだ未遂の時点ではただむなしいし、その辺の倫理は本人もわきまえているが、気持ちが抑えられない純粋な玄人親日家を前にただ黙って今回も考え抜いたソリューションを提供してみた。

「よし、わかった。2人の女子が好きなんだな。いいかよく聞け。39歳の美魔女は一晩限りの相手だ。どう考えてもお前に見合う相手じゃない。考えてみろ。百戦錬磨の美魔女を喜ばせるためにはとにかく金が必要だ。食事にいくのもその辺のチェーン店じゃだめだ。1回につき1万円以上はする店じゃないとデートもできんだろう。

一方でウクライナのAKB。おまえが彼女に抱いている気持ちは真っ当な恋だ。長期で付き合うならこっちにしとけ」

といったものの、困ったことに

「でもウクライナの子には、なんというか抱きたいという気持ちがないんですよね。それに対してセクシー美魔女の方は、なんというかすぐ抱きしめたいけど。それをなんとかこらえたいというか」

こいつ。そんなこっぽずかしい心情をよくもまあ赤の他人の前で言えるものだな。というかそれは単なる性欲というものだぞ。

名探偵コナンばりに推測してみるところ、結局こいつが求めているのは恋や安定した異性との関係じゃなくて、性欲をみたしたいだけなんじゃないかと思う。そう犯人は性欲なのだ。そして悲しいことに本人は、その性欲というものに気づいていない。恋だと勘違いしている。

なんというか、こういう感情って10代の思春期の男子がもんもんと抱くものだと思っていたが、20代後半にさしかかっている男子がそれを抱えるって、ちょっと時差を感じる。やはりイスラームの家庭で育つと、日本ほど性教育(男女のホルモンの仕組みとかね)とか性に関する知識が薄いんじゃないかと勘ぐりまでしてしまう。

ヒシャームはイスラム教を信仰している。そしてアラブ社会では、まだ家族や知人を通じてのお見合いを経て結婚をするという方法が一般的だ。けれども、彼は「おれは恋愛結婚がいい。恋愛をして相手を探すんだ」と恋愛結婚を選んだ。

彼が結婚相手を見つけるのは、赤子の手をひねるようなものである。実際に、まだ結婚していないということをシリア人の同僚に話したところ、シリア人の同僚は「そんなら、わいの友達紹介したるで」といった具合である。

周りがそんな感じだから、どうもまだヒシャームは恋愛市場のシステムとそして己の性欲の仕組みについてよく理解していないように思える。早々に自由恋愛市場主義のシステムを理解すればいいものの、やはり恋愛市場にうまく参入しきれていない。まわりの価値観と自分が行こうとする価値観の中を揺れ動いているような感じだ。

美魔女との関係性は長くは続かないだろう。本人もそれを理解しているようだが、それでも欲望は止められない。ならばいっそのことそれを解き放って、その先に見えるものを体感すればいいと思う。そうやって体験してはじめて人間は学ぶのだから。

というわけで頭ごなしに美魔女が待つ崖には行くなとはいわずに、黙って見送ることにした。