パレスチナで友人宅を訪れた時、居間のテレビに映っていたのはアラビア語をしゃべるドラえもんの姿だった。見慣れたキャラクターも日本から離れた遠くの国で、聞き覚えのない言葉を話していると急に別の何かを見ているような気がしてくる。
アラブ人の口から出るアニメというのは、ワンピースやナルトといった世界で人気の漫画、アニメともちょっとジャンルが違う。え?そんなとこついてくる?といったちょっと変わり種のアニメの名前が飛び出るのだ。
そこでアラブ世界ではどんなアニメが人気なのかを調査してみることにした。
下記のアニメランキングはアラビア語化されている70近くタイトルのうち、YouTubeでもっとも再生回数が多い各アニメの動画を比較してランキング化したもの。
第1位 キャプテン翼 630万回
映えある第1位はなんとキャプテン翼。翼という名前は「マジェッド」という愛称でアラブ諸国では親しまれている。
ドバイの最大級書店、「紀伊国屋」でもサッカー書籍の関連コーナーにキャプテン翼が陳列されているほど。
サッカー関連書籍コーナーになぜかキャプテン翼の漫画が。サッカーの真髄を知るなら、キャプテン翼を読めということなのか? pic.twitter.com/3I1ad1owfB
— 進め!中東探検隊 (@Susume_ME) April 29, 2017
第2位 小公女セイラ 380万回
1985年に放送されたという少々古いアニメ。舞台はイギリス。お金持ちお嬢様がとある事情でロンドンの寄宿舎学校で生活を始めるが・・・一言で言うと昼ドラで描かれているドロドロとした人間関係を描いた、学園モノアニメである。
いったいアラブ人は、このドロドロとした人間関係をいかにみているのだろうか?
第3位 アルプスの少女ハイジ 310万回
1974年に放映されたこちらも懐かしいアニメ。アルプスの大自然の中で暮らす、豊かな友情関係を描いた話である。やはりこうした人間同士の支え合い、助け合いというのは心に響くものがあるのだろう。
日本もアラブ人に負けず相当なハイジ好きなようで、数々のパロディも多く存在しハイジをモチーフにした最新のクリエイティブがこちら。ハイジが16歳だったら・・・という設定。もはや原型がほとんど薄れている。
第4位 妖怪ウォッチ 280万回
ランクインしたアニメのほとんどが2000年以前に放映が開始されたのに対し、もっとも公開が新しいアニメが第4位に食い込んでいる。それだけ妖怪ウォッチの人気はアラブ諸国で絶大であることがわかる。
ちなみにアニメのアラビア語版オープニングがめちゃくちゃかっこいい。妖怪ウォッチはアラビア語でもそのまま妖怪ウォッチと言われている模様。
妖怪ウォッチ、アラブ諸国でも人気説は本当のようで、ドバイでも劇場公開されていた。
妖怪ウォッチの映画がドバイでも上映されるらしい。そんなグローバル展開していたとはつゆ知らず。 pic.twitter.com/6YqRsHhZCx
— 進め!中東探検隊 (@Susume_ME) May 16, 2017
第5位 ドラえもん 270万回
猫型ロボットはアラブ諸国にも受け入れられていた。アラブ人が猫型ロボットがしゃべるというコンセプトをどう見ているのかは気になるところではあるが、とにかくそこそこの人気はあるようで。
第6位 ちびまる子ちゃん 210万回
日本人にとって家族アニメのアニメといえば「サザエさん」だが、アラブ諸国ではちびまる子ちゃんの方が有名なよう。本国の日本でもちびまるこちゃんアニメの動画の再生回数は20万回程度だが、アラブ諸国全体ではその10倍以上。アラブ諸国での人気の高さが伺える。
UAEに住むアラブ人もちびまる子ちゃんにかかればこの通り。ちびまる子ちゃんを見てこれほどフィーバーする人間は日本に存在するのだろうか?
7~10位では、日本の懐かしアニメの常連がランクイン。
第7位 赤ちゃんと僕 200万回
第8位 名探偵コナン 130万回
第9位 アンパンマン 100万回
第10位 らんま1/2 73万回
そのほか、ドラゴンボールやスラムダンクといった日本人におなじみのアニメもアラビア語で放映されているが、ランクには食い込んでいなかった。
アラブ人たちに話を聞く限り、アニメといっても最近の若い子たちが知っているだけではなく、40~60代といった彼らの親の世代にも馴染みがあるようでかなり昔から日本のアニメはアラブ圏で放映されていたということがうかがえる。
ランクインしたアニメのほとんどが、家族モノや友情モノであることから家族を大事にする習慣が根強いアラブ人にはこうしたアニメが受けるのだろう。