日本のパスポートは本当に最強なのか?威力のほどを検証

先日、玄人親日家ことパレスチナ人のヒシャームと話していると、パスポートの話になった。パレスチナ人難民であるヒシャームは正規のパスポートを持っていない。そしてシリア生まれだが、シリアのパスポートを持っているわけでもない。じゃあ何を持っているのかというと、パレスチナ人難民専用の旅券である。

「おれは、どこへ行くにもビザ申請が必要だから大変なんだわさー。ちなみに日本のパスポートってどないな感じなん?」。こやつ、自ら地雷を踏みに行くタイプだとみた。玄人親日家の心情を傷つけないように、「ま、そこそこの国はいけるんじゃない」と流していたら、余計にも日本のパスポートだと何カ国の国にビザなしの国でいけるのか調べ始めた。


すると一人で仰天。「まじかよ!おめえすげえじゃん。こんなにビザなしでいける国があるんかいな!」。別に私の実力でもなんでもないが、なぜか褒められて照れてしまう。

日本パスポートでいける国(濃いグリーンで塗られている国がビザなしでいける)

同じ手法でパレスチナパスポートでビザなしでいける国を調べて、一人で愕然としている。

パレスチナパスポートでビザなしで行ける国

圧倒的な差を前にもはやなす術なしと思ったのか、「ま、おれのパレスチナパスポートなんてこんなもんよ」と一人苦笑いをする。この話を早めに収束させようとした私の努力も水の泡である。

考えてみれば巷では日本のパスポート最強説が圧倒的だが、果たしてそうなのだろうか。

最強パスポートは日本にあらず

passportindexが調査した2017年のパスポートの威力ランキングによると、第1位はなんとドイツとシンガポールであった。

続く第2位は韓国とスウェーデン。

そして第3位にようやくアメリカ、イギリスとならんで日本が出てくる。2017年時点で日本パスポートでビザなしでいける国と地域は172ヶ所。

玄人親日家のパスポートに比べればビザなしでこれだけ多くの国に行けるのは、恵まれているのかもしれない。果たして我々はこのパスポートの恩恵を存分に享受しているか、と問わざる得ない。

しかし個人的に問題なのは、ビザフリーの国は対して興味がなく行きたいと思わない反面、行きたい国のほとんどがビザを必要としていることである。アンゴラ、アフガニスタン、イラク、北朝鮮、パキスタン、ソマリアなどである。これでは、まったく日本のパスポートを持っている意味がないというオチ。

日本パスポートで得をしたことは?

個人的には1回だけある。ドバイで信号のない道路を渡り、警官に「法律違反だ。署まで行って罰金を払え」と御用になりかけたときがある。もはやドバイで逆らうことは許されないと思ったので、反発することなくおとなしく罰金を払う気持ちでいたが、なぜかお咎めなしで無罪放免となった。

この話を元ヤンチャの同僚のインド人にすると、「まじかよ!俺なんか2回もマッポにつかまって罰金払ったんだぜ」と憤慨。どうやら罰金を払わずに済んだのは、日本パスポートのおかげだったらしい。

しかし一方で最強パスポートも通用しない時がある。日本パスポートと同じランクのイギリスのパスポートをもつロンドン出身の同僚。ドバイで就労ビザを申請しようとしたところ、通常であればなんなく受理されるところ、父親がイラク出身のため難航したらしい。UAEではビザを取得するのに父親の名前を書く必要があるため、それにより最強のイギリスパスポートも効力が半減してしまったケースである。

世界最弱パスポートは?

一方で世界でもっとも旅行に障壁があるワースト1位は、アフガニスタンパスポートだった。続いてワースト2位は、イラク、パキスタンである。ワースト3位はシリア。意外だったのは北朝鮮パスポートがレバノンよりも順位が高かったこと。レバノン人は自由気ままに旅行をしているイメージがあるものの、北朝鮮パスポートよりも威力が弱かったとは。

「ビザ申請の必要あり」というのも大きなネックだ。我々日本人からすると、ビザを申請すれば必ずとれるというのが一般的な常識だと思う。けれどもパスポートによっては、ビザを申請してもビザが降りない時があるという概念をドバイに来て初めて知った。

知人のイラン人とフィリピン人のカップルが、日本旅行のためにビザを申請したのだが、イラン人の彼氏にはビザがおり、フィリピン人の彼女にはビザがおりなかった。

日本政府がフィリピン人にビザを出さなかった理由はなんとなく思い当たるが、それにしても日本政府が懸念している理由とはまったく関係ない一介の旅行者であるフィリピン人に対してビザを拒絶したことは、政府に対して腹立たしく感じる。結果的に彼らは韓国へ旅行することになった。

こうした点からも政治的なしがらみがなく、世界的に信用が高い日本のパスポートを持っているということは、大変恵まれた運なんだなあとしみじみ感じざる得ない。