本気で祭日を祝うユダヤ人達

まずイスラエルで感じたのは、ユダヤ人が本気で祭日というものを本気で祝うということである。こんなに国を挙げて多くの国が祭日に向けて準備したり、当日になると家庭によっても違うが、皆がこぞってユダヤ教の伝統的な方法によって祭日を行うのである。

そしてもう1点、これは私の外国人としての感想だが、祭日なのに楽しくないのである。こんなことを言えば怒られるかもしれないが、むしろ苦にさえ感じることがある。本来であれば祭りとつくからにはきっと楽しいものに違いないだろうと想像するのだが、これにはユダヤ教国家としての性質が深く関わっているからだと思う。

基本的に祝日の日には交通機関が全てストップし、店もほぼ全て閉まる。車をもっていなければ出かける足がないし、休日だから友達とショッピングに行こうというのはない。例えば贖罪日(ヨム・キプール)という日には、普段はあまり宗教的なユダヤ教の生活とはかけ離れた生活を送っている人でも、断食をしたりする。

また出エジプトを祝う休日では、1週間ほどある祝日中はパンの代わりにマッツオと呼ばれるクラッカーが主食になる。その根底にあるのは、酵母の入ったものは食べないというルールが存在している。個人的にパンを食べないとか酵母製品を控えるというなら全く問題はないが、それが国を挙げてやるから大変なのである。

その期間中ありとあらゆるパン屋はしまり、スーパーマーケットでは酵母が入った製品、ビール、麺類、クッキー等が並んだ棚は白い布が引かれ一時的に販売中止になる。それが国中で行われるのだからたまったものではない、と外国人の私は感じた。ビールが一週間も飲めないなんて、酒好きには拷問に近いだろう。

とこんな感じで、祭日がやってくる。特に祭日が続く月や長い連休の時は辛かった。まあそれを利用して隣国のヨルダンやエジプト、イスラエル南部のリゾート地エイラットへ行くこともできたが。

便利な公共交通機関がある日本からやってきた私にとってはおそろしく応えた。変な国に来てしまったもんだぜ、とつぶやくときもしばしば。これが世界で唯一のユダヤ人国家と呼ばれるイスラエルに住むことの一部なのだと感じた。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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