ドバイに住んでよかった4つのこと

ドバイへイターズを名乗っている限り、こんな時でもないとドバイの良さは語れない。

ドバイに埋もれた生活だと小姑のごとくドバイへイターズであり続けるが、他の中東の国、アフリカ圏から出て戻ってくるとドバイの良さをひとしお感じる。このドバイで生活するありがたさの気持ちが冷めないうちに、ひとしきりドバイに住んでよかったことを書き留めて置きたい。

そもそも日本人がドバイの生活感を語る場合、どうしても日本との対比にならざるおえない。日本人が日本と比べるとどうしてもドバイは劣勢に立たされるが、比較対象を変えるとドバイは見違えるほど優勢に立つのである。

1.衛生も治安も抜群によいドバイ

日本からドバイにやってきた場合には、ドバイの衛生や治安にありがたさなど微塵にも感じない。

が、それがエジプトやソマリアと比べると差は歴然としてくる。ソマリアやエジプトははっきり行って衛生状態がよろしくない。

道を歩いていても5分で砂まみれになるエジプト(特にカイロ)、そして公共サービスが存在しないソマリアのごみだらけの道などと比べると、ドバイは圧倒的に清潔感がある。無駄に花なんかさかして景観づくりに勤しんでいる光景が微笑ましい。

それまでは、人口のヤシの木や花壇の花を見て、「ふん、どれも人工もんやろ」と天然魚をありがたがり、人工魚ときいてがっかりするような見方をしていたが、今や人工でもなんでも清潔感があって雰囲気があればなんでもOKだお、といった甘い見方をするようになった。

日本と比べてもドバイは治安がよい。財布や貴重品をテーブルに置いたまま離れても、ビーチに放置していても誰もとるものはいない。まるで危険に対して無頓着で、緊張感に欠ける日本人と同じような感覚でドバイの人々も生活している。なので、車の鍵もかけずにあけっぱなし、貴重品もおきっぱなしといったことは日常茶飯事である。

夜中だって深夜徘徊大歓迎な都市である。深夜にウロウロしていたってこれといった危険はない。大半のアラブ人というのは、夜型なのでモールは夜までやっているし、残念ながらヤンキーがコンビニにたむろするという光景もない。いたって健全な都市なのである。

2.世界のスタンダードがそろうドバイ

ドバイへイターズからすれば、とりあえず金になりそうなレストランやクラブを作って深みがない食卓を提供するのがドバイの食事事情という印象だったが、意外とそうでもない。

エジプトの第2の都市アレクサンドリアにて、そこそこ評価の高いイタリアレストランに行った時のこと。堂々と格式高いイタリアの料理店を名乗っているくせに、なんと出てきたのは、目が衝撃で星になっちゃうぐらいの、人生で味わったこともない不気味なイタリア料理だったのだ。

プレーン入りの鶏肉グリルや、見た目も食感もあの悪名高きエチオピア料理、インジェラにひけをとらないほどインパクトのある謎の変なパスタがさらに並ぶ。おそらくエジプト風にアレンジしたイタリアンだったのだろうが、それにしてもアレンジしすぎてイタリアンの原型をとどめていない。

しかし私が前代未聞のイタリア料理に衝撃を受けている店内は、地元のちょいと洗練されたエジプト人たちでにぎわっている。ここはどうやらこじゃれた料理を食べるおしゃれなレストランらしい、というのが客観的な見方である。

そんな時、イタリアンレストランに入って、世界共通でみんながイタリアン料理だと断定できるクオリティの料理を出してくるドバイはすげえと思ったものである。

外人8割の都市であるから、みんなが満足するように世界スタンダードな味を提供する、なかなか当たり前のようであってこれがすごいことだとはエジプトを訪れるまでは気付かされなかった。

3.先進国並みのインフラ

我ながら中東探検隊と名乗っておきながら、中東、(イスラエルを除く)アフリカで実際に生活をするのはしんどいと感じるこの頃。とりわけ衛生面や生活面において、日本とのギャップがありすぎる。

しかしこのドバイは、ハイジーンな先進国の環境に劣らない生活環境を保証する。そんでもって、レプリカではあるが多少のイスラーム感をそこかしこに醸し出し、一応中東に住んでまっせという、楽な道を行きながら険しい道を進んでいますアピールを住人たちに可能にさせるのである。

ドバイでは、イギリス系のウェイトローズやフランス系のカルフールといったスーパーマーケットが進出しており、日用品から食料品までそこそこのスタンダードのものが手に入る。

化粧品や衣料品だってH&Mやセフォラなどそこそこ馴染みのあるグローバルブランドショップがモールには入っている。この生活用品の豊富さというのは長期で海外に滞在する場合には意外と重要だったりする。

それに気づいたのは、ソマリアで体調を崩した時のこと。食欲のない時といえば、スポーツ飲料でしょう!と思い店先で探したものの、そんなものはソマリアには存在せず、とりあえず飯をむさぼっとけというソマリア人の荒治療指導のもと、炒めた肉と米でむりやり回復させた。

この一コマより、ものがあることの大事さを思い知ったのである。決して日本と同じ品揃えなんて期待しないけれども、少なくとも先進国スタンダードものがないと病気になったとき大変心細いと思ったものである。

4.タクシーを乗り回して楽々移動できる

ついでに日本VSドバイで比較した場合のドバイの良さを語っておこう。ドバイにいると、とにかくタクシーが重要な足になる。初乗りは300円ちょっとで日本よりも断然安い。車をもっていない私にとってはどこへ行くにもタクシーは重要な足なのだ。

ところが日本はタクシーがそもそもつかまりにくい&高い。疲れているのに電車なんぞにのって大量の人々の中に押し込まれて輸送されなければならん。そんな不快さがないのがドバイのいいところである。

飲み会においても、タクシーはすぐ捕まえられるので「終電」という言葉はドバイ生活においては存在しないのである。

しかしそれが故に怠惰になり、深刻な運動不足に悩まされるのが大きな問題である。

日本を離れて、ドバイ以外のアフリカ、中東と比べるほどドバイが世界の人々にとっていかに安住できる環境を与えてきているかということをしみじみ感じるようになった。安全やハイジーンは必ずしも他の国で保証されているものではないし、先進国の人間だって出稼ぎしながら自国よりも優雅な生活を送っているわけである。

歴史が長くても経済が発展せず自国民すらまともにやっていけない国や、無政府状態がしばらく続いた国を歩いてきた上で、ドバイを振り返ると、半世紀以下という短い年月で、砂漠から万人が安心して暮らせる国を作りあげたUAEという国はあっぱれである。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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