一人暮らしの引越し後にやったこと

2年弱のドバイ生活で4箇所という場所を転々としてきた。1年いたイスラエルでは3箇所。人生四半世紀にして、18回目の引っ越しである。引っ越し中毒ともいうべきか、同じ場所に長く住めない習性を持った人間の性である。

一人暮らしというのは語弊があるが、まあ単身で移動して、ほぼ単身で暮らしているようなものなので一人暮らしと定義してもいいだろうか。


というのも一人暮らしは金持ちのステータスというドバイ(これは私の個人的な見解である)において、自分は万年シェアハウス暮らしである。

決してシェアハウスは自分が望む一番の希望ではないけれども、大概一人暮らし用の部屋は1年間分の家賃を前払い、という制度になっているので長期間ドバイに滞在するという自信がない自分は、いつもお手軽なシェアハウスを選んでしまう。

簡単に入居できて、手続きもラクチン。けれどもシェアのくせに釣り合わない家賃の高さには辟易する。日本なら軽く中目黒駅徒歩10分ぐらいのところに一人暮らし用のマンションが借りれるぐらいだろう、といつも考えてしまう。

入居時にしかできないことをやる

そんなシェアハウスにやってきてまずやることは決まっている。掃除だ。別に目が腐るほど汚いというわけではないし、今回は一応部屋は掃除しているというていだ。

しかし、日本のアマ掃除人から見ればツッコミどころ満載なのである。この時ばかりは口うるさい姑とかして、「ふん、これぐらいでやったことにはなんないわよ。まだまだ掃除レベルが低いわね」と思いながらあちこちをチェックする。

人間長らく同じ場所に住んでいると分からない汚れが、新参者にはよく見えるのである。だからこの時を狙ってここぞとばかりに年末バリの掃除をすることになっている。

1週間も住めばその汚れが気にならなくなってしまう。善は急げならぬ掃除は急げというものである。

黒カビと真摯に向き合った2日間

内覧時に気になっていたのが風呂場である。掃除はしたというが、不完全な掃除である。風呂文化を持つ日本人としては、銭湯の掃除人になったつもりで徹底的に磨きたくなる。

中でも気になったのは黒カビである。今までの自分ならばなすすべもなく黒カビの前にひれ伏していたであろうが、今回は違う。なぜなら家事えもんがいるからだ。

家事えもんというのは、料理、掃除が大好きな芸人のことで、主婦も仰天びっくりなレベルの高い掃除テクで一時期お茶の間を騒然とさせた。

その家事えもんいわく、黒カビ退治には片栗粉、塩素系漂白剤を混ぜ合わせたものを気になる黒カビ部分に塗布し、サランラップで20分おいた後水で流すといった至極簡単なもの。

半信半疑だったが、家事えもん意外に頼る術がないのでダメもとでやってみる。

するとなんとあの頑固な黒カビがみるみる取れていくではないか。

これほど気持ちいいことはない。執拗なまでに犯人を追い詰める刑事のごとく、私はこの風呂カビを2日間かけて追い詰めたのである。こんなに黒カビと真摯に向き合ったのは人生初めてである。そして結果、劇的ビフォーアフターのごとくピカピカでまっさらな風呂場が誕生したのである。

そしてささやかな祝い

前の家からも比較的近所だったので、引っ越しをしたことに感慨はないが、とりあえず引っ越し祝いをささやかに行う。

近くのスーパーへ行って食材をこしらえ、プチ祝賀会を開催。なぜか新しいスーパーを開拓するとちょっとテンションがあがる。それでも、あまり無駄なものは買わないようにしようということで、必要最低限のものだけをこしらえる。

新生活を始めるとなるとあれもこれも買ってしまいがちだが、何回もそれを繰り返すと本当に必要なものが分かってくる。一度にすべてをそろえる必要はない。その都度どうしても必要になったら買いにいけばいいのだ。

そしていつこの場所を発つのかわからないといった先が見えない状態だと、余計に短期滞在のプランで生活を組み立てる必要がある。その場にじっくり腰を据えるというよりも、半分空気イスのような腰掛けのような感じだ。