「なんでドバイで出会いがないんでしょう?」と仕事中に上司に質問してみたら

正直言って、仕事中にこんな質問をするのはさすがの私もためらった。しかし、日々「なぜドバイは出会いがないんだー」と一人で心の屋上から独身女の主張をするのにも飽きたので、ここは思い切って隣のインド人上司に聞くことにしてみた。考えてみればどーでもよい質問である。

周りの話を聞いても「婚活のために日本に帰る人もいるよ」とかエミレーツ乗務員の人でもあまり出会いがない(個人によるでしょう。出会いがありまくる人はすみません)という話を小耳に挟んだことから、これは個人的な出来事ではなくドバイにいる多くの人間が直面する不思議現象ではないのかという線が強くなったからだ。


一体この状況をドバイにいる住民はどう考えているのか?

冗談半分、ニヤケ顏で聞いた質問だったが、「なるほど、俺が思うにこういう理由があると思う」といって、上司は徹子の部屋の黒柳徹子のように真面目に話を聞き、回答してくれた。

「なぜドバイで出会いが見つけにくいのか?」それが以下の理由である。

1.ドバイの人種ヒエラルキーのトップに君臨するのは欧米人

ここドバイにおいては、おおっぴらにしてはいないが、暗黙の人種ヒエラルキーというものが存在する。それが、

欧米系>アラブ系>アジア系

である。悲しいかな、島を出て初めて人種ヒエラルキーが本当にあると知ったのさ。

日本人からすると、

「え?日本ってアジアだけど、レベルで言ったら欧米系に相当するぐらいの扱いだよね?」

これは、ヒエラルキーの最下層に位置する人間の苦しい言い訳である。確かに「日本はアジアでも特別」みたいな特別待遇説があるとはいえ、人は見た目が9割である。

見た目だけでは、日本人だろうがアジア人なのである。特に私のように日焼けしている人間は、もはや中国人を通り越してフィリピーノに見られることもある。ナイスボディでもなく、一重のフィリピーノがおるかいな、と一人で突っ込んでも意味はない。

なぜならジャッジする人間のほとんどは、アジア人の見分けなんてわからないのだ。それに、フィリピーノや中国人、インド人が圧倒的に多く、日本人なんていないだろうと思われている節があるため、だいたいがそのマジョリティに分類されてしまう。

なのでいくら自分が、特別扱いの日本人と誇らしげに日本人バッジを掲げていても、側から見るとヒエラルキーの最下層に位置するアジア人なのである。

というわけで上司のポイントとしては、

「最下層のアジア人がヒエラルキーが上のアラブ人や欧米人とやすやす付き合えると思うな!」

ということだった。それはキツすぎやしません?

ナポレオンがいなくても、植民地支配時代が終わっても、欧米列強時代は続くらしい。

 

2.人種や文化が似ている人と付き合う

インド人はインド人と付き合うし、ヨーロッパ人もヨーロッパ人と付き合うからだ。結局みんな同じ文化や人種の人と固まりたがるんだよね。文化が違うと付き合うのも相当ハードだよ、といって国際結婚という思想を上司は真っ向から否定する。

日本では現地妻を特集した番組があり、いかにも一般的で誰にでも起こりうるものという幻想を与えてくる。という私もその幻想を抱いていた一人である。しかし、仕事をするだけでも文化が違うと苦労するのに、リラックスするプライベートでも一緒にいれるか、となると相当ハードルが高いということを最近になって痛感している。

これは恋愛だけでなく、街中を見ていても行動しているのはみな同じ国や人種である場合がほとんどである。

インド人はインド人とつるむし、フィリピーノはフィリピーノ、アラブ人はアラブ人とである。これはどうやら人間の自然な摂理のようだ。

なので英語を学ぶために海外に行く日本人が「英語を上達させるために他の日本人とつるまないようにする」という決意は、自然の摂理に反している。

そして側から見るとこれは結構痛いもんである。おそらくそんな決意をするのは日本人だけだろう。そんな決意をするぐらいなら、日本人が多くいるカナダやオーストラリアではなく、イスラエルや南アフリカを選ぶ方が良いような気もするが。

 

3.ドバイは短期滞在者の町だから、長期的な恋愛を考えている人が少ない

これはドバイではよく言われていることである。特に

「インド人はワンナイトラブをあまりせず、長期的な付き合いを考える傾向にある」

と上司は豪語するので、彼が定義するインド人というのはひどく節操がある人間らしい。

皆がそうとは思わないが、仮にそれもドバイの現状を裏付けるヒントにもなっている。確かに、長期的な付き合いを考えているのであれば、まずドバイのようにほとんどの人が数年で離れるという町でわざわざ恋愛をしようなどとはあまり思わないのだろう。

とどーでもよい質問に、人生相談コーナーの先生みたく真面目に回答いただいた上司には感謝である。もやは上司ではなく、説法をしてくれるインドの偉い僧にすら見えてくるのであった。簡易人生相談コーナーを今後も利用しようと思う。