ラマダンで垣間見えたドバイの別の顔

ドバイといえば、UAEの中でもとりわけ異教徒に寛容であり外人率80%を誇る、外国人の労働力によって成り立っている都市なので他の湾岸諸国と比べると比較的イスラームのルールは厳しくない。お酒が飲めるレストランもあるし、セクシーな服を着て街を闊歩しても何ら文句を言われることはない。

そんな比較的ゆるい、なんでもやり放題のように見えるドバイなのだが、ラマダン中には別人のような顔を見せたのである。まるで、普段は可愛い孫のために頼まれたらなんでも買ってあげちゃう甘いおじいちゃんおばあちゃんが、いきなり口うるさく厳しいじいちゃんばあちゃんになるかのようである。


あまりにもこのドバイの変わり映えには驚いてしまったが、ドバイはお国の宗教には厳格であったのだ。

世界的観光地でも甘えは許しまへん!

まさにこれ。ちょっとぐらいええやないの、と思っていたが、ラマダン中はきちんとイスラーム教の国としての威厳を100%発揮するのである。公共の場で飲み食いだめ!喫煙だめ!といったイスラーム教徒でなくても守らなければいけないルールが発動する。

普段はどこでもタバコ吸い放題の喫煙天国ドバイだが、ラマダン中は本当に外で吸っている人はいなかった。まさに国をあげて、みんなが昼間だけ禁煙運動をしているかのようであった。

いつもはテキトー(日本に比べると)で好き勝手やっているドバイ住民なのに、この辺は皆きちっとルールを守っているというのが驚きである。

ゴーストタウン化するドバイ

あれだけ人がいたかと思えば、気づけばラマダン中にはめっきり人がいなくなっていた。ドバイモールを含む観光地でさえも人はまばらで、昼間に道を歩く人もいない。観光客もいない。世界的な観光地なのになぜかこの時期には、人が消えてしまうように感じる。

ホリデーシーズンのため国外に行っている人が多く、ラマダン中なので観光客も少なくなるというのが理由としてあるだろう。もう1つには、空腹をしのぐためかどうやらイスラームの人は昼間寝ている場合が多いらしい。まあ、体力を温存するためなのか、とにかくモール内でもイスラームの人を見かけることはめっきりなくなった。

飲食店の売り上げに大打撃?

ラマダンのため、ほとんどの飲食店が日没(ドバイだと午後7時頃)まで閉まっている。ドバイモールやモールオブエミレーツなど、日本の郊外にあるイオンモールの1万倍ぐらいの売り上げがありそうな巨大モールに入っている飲食店でさえも閉まっている。

いつもは人で賑わっているのに、日中でも人気がなく暗い飲食店は不気味である。また、売り上げが大幅に落ちているんじゃないかとも心配してしまう。

一応ラマダン中には、断食明けの日没後の食事「イフタール」をお得なブッフェ形式で提供する店が多く、営業時間も午前2時まで拡張するといった動きもあるのだが、それを踏まえても昼間の売り上げはカバーできないのではないかと思う。

売り上げが落ちても、宗教の戒律を守るというのは、なんでも利益主義だと思っていたドバイの意外な一面でもある。

年々甘くなっているドバイ?

今年が初めてのラマダンだった私にとっては、それでも厳しいなと感じるレベルであったが、それでも今年はかなり緩和されている方だったよう。昨年までは、ホテル内にある観光客向けのレストランではラマダン中でもアルコール類の提供が日没までNGだったのだが、今年は時間制限なしにラマダン中ならいつでも飲めるようになっていた。

AP通信の記事によると、ドバイの観光省は、この制度の変更について「いつでも極上の旅の体験を保証することが、旅行先として選ばれるための課題の中心にありますし、あくまでも世界クラスの観光地としてのドバイの意義にかなうものです」と述べている。

さらに興味深いのは、酒を飲める場を増やしときながらも、ドバイは公共の場で酔い潰れることや飲酒運転に関しては厳罰な処罰を課していることだ。飲酒運転ならわかるが、公共の場で酔い潰れることも犯罪と見なされるとは・・・日本で酔いつぶれてベンチで寝ていている輩やゲロ吐いている輩もみな犯罪と見なされてしまうらしい。おそろしや・・・

しかし、観光客のためにとか世界の観光地として・・・なんてキレイごとをいっているようだが、ドバイで飲む酒には地方酒税30%と輸入税50%がかかっていることを考えると、やはり観光客を利用して酒による観光収入を増やそうとしているようにも見える。

やっぱり金かよ!ドバイ!

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