欧米流の休日の過ごし方を体験してみる

未だかつてこんな休日を過ごしたことがあるだろうか?と聞かれればないだろう。ルームメイトたちの誘いで、世界最大の人工島、パームジュメイラにあるホテルのプールへ遊びにいくことになった。

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人工島、「パーム・ジュメイラ」

はたから見れば、家の近くにプールやビーチがあるのに、わざわざ遠くのホテルのビーチへ行って、くつろごうという発想すら思い浮かばないのが、島国根性の日本からやってきた私である。

と同時にラマダン中のドバイでこれといった娯楽がないため、このように地味にホテルのプールへ行ってくつろぐというのがここドバイに住む人々にとっては一種の娯楽なのかもしれない。

というわけで、まあここは気ままに流されて欧米流(といっても誘ってきたのはレバノン人である)に休日を過ごしてみようかということで、参入した。

この地味にプールでまったりと休日を過ごすという発想は、どうにも日本人にはないように思える。今まで生きてきた中でも、暑いからプールで泳ぎたい、健康のためにプールで泳ごうといったものはあるが、わざわざプールでくつろぐという発想は、どうも欧米志向なような気がする。

別にドバイの観光客のほとんどが欧米人なわけではなく、ちゃんとアジア人もいる。しかし、自称7つ星ホテル、「バージュアルアラブ」にて同じ敷地内にいながら、アジア人はビーチに見向きもせず買い物へ。欧米人はドバイという土地にいながら、ドバイじゃなくてもできそうなビーチやプール(アジア人は皆無)でまったりという明確な文化による過ごし方の違いを見てから、文化によって休日の過ごし方に違いがあるのではないか、という疑問を抱くようになったのである。

といいつつやってきたホテルのプール内を見渡すと、いるわいるわ欧米人だらけである。アジア人も少しいるが、圧倒的に少ない。ホテル内にも中国は台湾系のアジア人を見かけたので、アジア人の観光客も訪れていることは事実だ。しかし、目の前に広がるプールの敷地内には見事に欧米人によって占領されている。

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パームジュメイラにある「ソフィテル」ホテルのプール

本来ならば、欧米人がいる!怖い!といって逃げ帰るところだが、来てしまった以上腰を据えて楽しまねばならない。ということで終始プールサイドでくつろぐ欧米人達の様子を観察することにした。そこで発見した、欧米流のプールの過ごし方と楽しみ方を紹介したい。

1. プールは温泉のようにつかるもの

プールといえば、ひたすら泳いだり遊んだりするためでしょう。健康のために足しげくプールへ通う老人たちや、友人や恋人とやってきてひたすらきゃっきゃとプールで遊ぶというのが、日本で見られるプールの一般的な利用方法である。

しかし欧米は違うようで、みな温泉に浸かっているかのようにじっとして動かないのである。まるで川辺に潜むカエルのようにビクともしない。

恋人同士できていても、プールサイドで静かにしゃべっているだけである。無駄にきゃっきゃと遊んで体力を消耗したり、健康のために必死に泳ぐ姿は見られない。

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中にはプールサイドで寝転んで日光浴までしている輩もいる。

なぜ欧米人はプールにてこうも温泉スタイルを取るのかをひたすら考えた末に至った結論は、彼らにはバスタブに入るという習慣がないからじゃないかと思う。日本であれば、家にバスタブがあるのは普通なので、そこにつかればよい。

しかしここ1年ほどシャワーのみで生活してきた私としては、水がたっぷり入っている浴槽やプールに浸かるという行為がとても恋しく思えるのである。水の中に浸かるという行為ほどリラックスできるものはない。というわけで、バスタブに浸かるという習慣がない欧米人はプールを浴槽もしくは温泉代わりにしているのだと思う。

2. 日光浴を楽しむ

美白を気にする人が多いためなのか、日本ではあまり見られないこの光景。自ら進んで太陽の真下に出向き、肌を焼くという儀式である。はたから見ると何が楽しくて、暑い太陽の下で寝るのかはよくわからない。

しかし、彼らにならって実際にやってみると意外とこれがオツなもんである。サンサンとした太陽の下で、日に焼けながら寝る。これがシエスタ風でちょっと楽しい。同じ昼寝ならばぜひとも太陽の下をおすすめしたい。

ちなみにルームメイトは、日焼けに人一倍力を入れているようで、熱心に「今日はこの夏4回目の日焼けタイムなの。今ちょうど太陽がいい具合な時間だから、昼ごはんは後で食べるわ」といって、ひたすら肌を焼いていた。

3. アナログに戻る

日光浴のお供と言えば、読書である。このデジタルの時代、本を読んでいる人などほとんど見かけないのだが、プールサイドでは紙の本を読んでいるこの手の族がたくさんいる。デジタル機器だと濡れたらダメになるというのもあるのか、やはりプールサイドではこうしたアナログのものが好まれるらしい。

4.ボディを観察する

これは私ぐらいしかやっていないのだろうがだろうが、他人の体を堂々と観察できるのがプールなのである。別に変な意味はないのだが、ルームメイトの胸のでかさに圧倒された私は、欧米人というのはみんなああなのか、と思ってドキドキしていたが、プールで観察してみると欧米人でもそうでもない人もいたので一安心した。

また面白いのはお尻の観察である。何度も言うが変な意味はない。家族3世代ぐらいのお尻を観察すると、いつ頃からお尻が垂れてくるのかがわかる。にしても欧米人は人によるかもしれないが、お尻が垂れるのが結構早いという結論に至った。

欧米人というと普段我々が目にするのは、雑誌などのカッコイイデルモ達なのでいかにも欧米人というのはそのようなダイナミックできれいなボディを持っていると思いがちである。しかし実際それはやはり一部なのであって、大半の人はそうでもないのである。

はじめこそ、プールサイドでぼーっと何もせず日光浴をするということは、つまらんという先入観があったが、いざやってみると何も考えず頭がぽーっとしてきて普段の忙しさを忘れさせてくれる。リラックスのためといってわざわざ頑張ってヨガ教室やスポーツジムにせっせと通う(といってどちらもしたことないが)よりもずっといいのではないかと思う。

なんだか頭がとろけていくように(おそらくドバイの暑さもあるだろうが)、全身がリラックスするのである。何もしないことを楽しむ。日々がめまぐるしく、常に自分磨き、何かやっていないと不安になるといった思いを抱かせる東京とは違い、こんな休日の過ごし方もありだなと思った。

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人工島なので、海の向こうに家やビル群が立ち並ぶという海らしからぬ奇妙な海と化している。ホテルの海辺で。

と同時に、プールサイドから対岸に見えるいつも働いているオフィスビルを見ながら、東京ではまずできないようなこんな暮らしができるドバイに心を許している自分がいたことも事実である。といってもまだ完全に心を許したわけじゃないからね(ツン)!

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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