アラブ人なのにアラビア語が書けない!?学習意欲を萎えさせるアラビア語の謎がようやく解明してきた

なぜこうもアラビア語を勉強するのに、あれこれ悩まなければいけないのかがわからない。なぜこうもアラビア語というのはすっきりしないんだろうといつも思う。あまりにも謎すぎる言語に投げ出したこともあったが、しかし最近になって、その謎がとけてきた。アラビア語というのは稀に見る奇妙な言語であり(少なくとも私にとっては)、アラブ文化というのは私の想像の範囲を超えた世界が広がっているらしいということである。

ちなみにここでいうアラブ人というのはアラビア語を話す人のことを指す。

アラブ人なのにアラビア語でタイピングができない

レバノン人にこの英語を翻訳してくれと頼んだ時のこと。てっきりパソコンでそのまま直接入力してくれるかと思っていたのだが、そいつはなんと英語のローマ字入力(アラビア語の英語表記)したものを、アラビア語に翻訳するサイトを使って翻訳していたのだ。

ええええ?アラブ人なのにアラビア語入力でアラビア語書けないのか!?これには混乱した。日本人なのに、ローマ字でしか日本語を書けないやつとおなじじゃないかと。謎だ、謎すぎる。単なる世代ギャップなのか?といっても彼は30代で英語のタイピングはそつなくこなしている。技術的な問題ではなさそうだ・・・

アラブ人なのにフスハー(書き言葉)を知らない

人懐っこいエジプト人に、「もうエジプト方言のアンミーヤ(話し言葉)勉強するのやめて、フスハー(書き言葉)勉強するわ」と宣言したところ、「それなら私が教えてあげるよ。でもフスハーはよくわかんない」と。

ええええ?アラブ人なのに書き言葉がわからないとかありえるのか?というか書き言葉を知らなかったら、どうやって文字を書くのさ?という疑問で頭がいっぱい。

アラブ人同士だけど英語でしゃべってる

同じチーム内のアラブ人たちはそれぞれ、エジプト、モロッコ、レバノンの出身である。彼らはよくアラビア語で話しているが、突然英語を織り交ぜて会話していることがある。

これは一体・・・?方言で理解できない部分を補うために英語を話しているのだろうか・・・?それともバイリンガルにありがちな両方の言語でしゃべっちゃうという現象なのだろうか。よくわからない。

ちなみに他のレバノン人に聞いたところ、同じレバノン人同士でもアラビア語と英語をおりまぜて話すのが普通だという話も聞いた。これはどうやらレバノン人特有のものらしい。

書き言葉と話し言葉が入り乱れている

フスハーを勉強するにあたって、その仕事上の利便性(フスハーを勉強すれば、大概の書き言葉を理解できるのか)を確認するためネットの情報(ウェブサイトとかソーシャルメディア)やテレビ番組の字幕(こちらでは英語の映画にアラビア語の字幕が付いている)は、すべてフスハーなのか?と聞くと、そうでもないらしい。両方が入り乱れているのが実情とのこと。

さらに、「Google検索するときには書き言葉を使うのか、話し言葉を使うのか?」と細かいことを聞くと、それも人や世代によるという。上の世代は書き言葉を使う人が多いらしいが、若い人はやはり話し言葉が多いとのこと。

まあ、こうした世代による言葉の使い分けは日本でもあるかもしれない。

じゃあ、実際の広告はどうなのかと聞くと、こちらは業界によって使い分けがあるとのこと。銀行や政府系の広告だと、堅い印象を与えるフスハーが使われるが、消費財だと現地の話し言葉が使われるケースが多いとのこと。

ケースバイケースってなんかルール好きの日本人からすると、納得いかないなあと思っていると、失礼ながらISにいそうな人にクリソツなガタイのいいレバノン人の同僚(しかしとてもいいやつ)が、「人や教育によってアラビア語ができるレベルはそれぞれなんだよ」と教えてくれた。

この言葉でかなりすっきりした。

そもそも前提として「日本のようにみなが義務教育を受けて、普通に読み書きができる」というもんだと思っていたため、育った地域や受けた教育で、アラビア語の習得レベルが違うというルールが分かればなるほどなである。だから、いろんなアラブ人を見るたびに、皆が同じレベルでアラビア語ができると思っていたのに、目の前にはレベルがバラバラのアラブ人がいるので、なぜだ?と混乱していたのである。

というわけで、フスハーを勉強するのが一番無難な道だとわかったので、1年ほど紆余曲折してまた新たにフスハーを勉強しようと思う次第である。

というか英語に関する情報は腐るほどあるのに、なぜこうもアラビア語に関してはこういうことを教えてくれないんだろうか。これまた謎である。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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