クラウドソーシングだけで稼いで生きていけるのかを実験

昨今、もっと自由な働き方を!とか副業してもいいじゃん?なんていう多様な生き方が注目されるようになっている。有名なところだと、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングのサイトなどもあり、こうしたクラウドソーシングのみで稼いで生きていけるぜといったストーリーも少なくはない。

しかしそうした成功例はあくまでほんの一握りなのであって、誰もが簡単にフリーランスとして飯を食っていけるわけではないということが、フリーランス業務をするようになってわかったことである。以下、上記サイトを含めたクラウドソーシングサイトを使った感想と実際にフリーランス業務をしてみて感じたことをまとめてみたい。


稼げない仕組みになっている!?

そもそもクラウドソーシングサイトに上がっている依頼のほとんどは、安く外注したいという目的のものが多い。であるから、普通の企業と企業の取引の間ではまずありえないような、安い値段で依頼をしているケースを多く見かける。企業戦士としてまずはそのギャップにびっくらこく。

特にこれは「ランサーズ」や「クラウドワークス」といった日系のサイトに多く、一方で海外のサイト「Upwork」(元ODesk)では、とにかく安く引き受けてくれるユーザーと、スキルや経験が高いユーザーに高い報酬を払うという質重視なのか価格重視なのかが一発でわかるような表示がある。

意気揚々と高い報酬の依頼を探そうと思っていたのに、実は報酬が高くないというこの時点で、わざわざ小銭を稼ぐために、ちまちまとクラウドソーシングの仕事に時間を使うことが若干億劫になってくる。

しかも中には無茶振りな依頼を振っている依頼主もおり、誤ってそのような仕事を引き受けた場合、依頼主の期待と現実にできることとのギャップを埋めることから始めなければいけない。下手すると、期待に沿った効果を出せていないじゃないかというとばっちりを受ける可能性もある。

そう、そもそも依頼主もやる側もハッピーになれないような成立し得ない依頼内容も混在しているのが実態かもしれない。

働いた分だけ赤字になる

依頼内容で提示される金額というのは、あくまでもその依頼に対しての仕事をした報酬である。しかし実際には、メールのやり取りや細かな修正などで多くの作業が発生する業務もある。それを考えると、大抵の場合は赤字である。しかし仕事の発注側はそれを依頼料金にいれないため、事実上はタダ働きの時間が発生してしまう。

実際にあったケースで、このタスクは2時間でできるから2,000円などと言われても、初回であったためクライアントのニーズの確認や修正作業に追われて結局2時間以上の時間を費やしてしまったこともある。かかった時間の分だけを請求しようとしたら、このタスクは絶対2時間でできるものだからそれ以上は支払わないと言われた(これはイタリアのクライアントのケース)。

また支払い方法の申請が煩雑で面倒だったりすると、まあ2,000円ぐらいだったらいいか、ということで提出物を出したものの折り合いがつかず、報酬をもらわずそのまま契約解消にさせたケースもある。

一方で会社員というのは、決められた時間内であれば、いくら修正を請負おうがクライアント対応に追われようが、固定給は変わらない。またいい提案をすればするだけ、認められることも多々ある。キャリアにとってもプラスの部分は大きい。

クラウドソースの仕事は割り切りが大事?

そこで思ったのは、普通であればクライアントの要求以上のプラスαの提案をしようと思って、時間を少々かけてもいいものを提案したいというのが私のポリシーなのだが、それをクラウドソースの仕事でやったらお終いよ、ということがわかった。

あくまでもほどほどのクオリティでとりあえずクライアントの依頼内容にあったものをやっておけばOKというスタンスで割り切らないと続かないなと思った。と同時に発注側もそれ以上のクオリティを求めていないケースが多いので、せっかくいい提案や作業をしてもあまり結果につながらずに終わってしまうケースが私の場合は多々あった。

というわけで、キャリアのためであったり私のようによりいいものを出したいというこだわりがある人間にとってはあまり向いていない形態なのかもしれない。

クライアントの目利きが重要

しかしそんな中でも、ちゃんとしたクライアントに当たるとそれなりの報酬額をもらえ、+αの提案もちゃんと評価してくれる依頼主はいた。そうしたクライアントと仕事ができるとやはりやりがいを感じる。ただそうしたケースは非常にまれであり、多くはないだろう。こうしたケースが継続的にしかも長期にわたって発生しない限り、クラウドソースの仕事だけで食べていくことは非常に難しいのではないかと感じた。

信頼のおける仕事をする前に、まずは依頼内容やクライアントの様子を見分けることも重要なのだ。仕事があるからというだけで、ほいほいと食いついていい仕事ができるほどクラウドソーシングは甘くない。

というわけでクラウドソーシング1本で食べていくことは、今の私には難しいと判断。しかし副業としては今後とも十分ありえる選択肢なのではないかと思う。

この経験を通じて思ったのは、より自分の時間に対しての対価に敏感になれるということだ。会社勤めをしていると、いくら働こうが給料は変わらないので、残業といったタダ働きに対する感覚が薄い。

しかし、クラウドソーシングのようにタスクごとに価格がすでに設定されているケースを考えると、指定時間内に終わらなければ自分が損をしてしまう。タスクをこなすための効率的な方法を考え、時間内に終わらせなければいけないということを強く意識する。