アラビア語を勉強したくない理由

こんなに勉強したくない言語は初めてである。それがアラビア語だ。しかし中東探検隊を名乗るからには、アラビア語ぐらいできておかなければならないのだが、どうにもアラビア語の勉強には力が入らない。なぜなら勉強しても報われなさそうな言語がだからである。

書き言葉と話し言葉がまったく違う

そりゃあ日本語だって英語だって書き言葉と話し言葉は違うでしょ?と思われるかもしれないが、アラビア語の場合はその差が明快である。

書き言葉専用のアラビア語、話し言葉専用のアラビア語といった2種類の言語が存在するといっても過言ではない。学校の科目でいうならば、国語と古文ぐらい全く別の科目になりうるのだ。

書き言葉から勉強してみたものの、それを会話で使うもんなら「そんなの誰も使わないし、堅苦しい表現だよ」と嘲笑されて終わりである。

あの時の悲しさといったら・・・今まで勉強に費やしてきた時間はなんだったんだろうと思うぐらい、それ以降一気にアラビア語習得への意欲が失せていった。

地域によって違うアラビア語の方言

国連の公用語の1つにもなっているから、アラビア語ができればアラビア語圏の人とはしゃべれるようになれる!というのは幻想である。私は、実際にアラビア語を勉強する前までこの方言というのをかなり甘く見ていた。

いくら方言といっても、ある程度は通じるっしょと思っていたが、アラビア語は甘くなかった。違うといったら本当に違うのである。青森弁と標準語の差なんて比じゃない。アラビア語に比べたら、青森弁も標準語も同じなのである。

つまり、同じアラビア語でも国によって違うわけで、1言語でどこでも行けるようなパスモのような便利な言語ではないということがわかる。じゃあ国を絞って、その地域の方言を話せるようにすればいいじゃん、というのが答えである。

となると中東全域でアラビア語を使いたいというよりかは、あらかじめお気に入りの国を決めて、その国に入信しその国のアラビア語方言を学ぶというなんだか縛りが多い方向になってしまう。

そんな迷える子羊には、一応他の国でも比較的通じやすいエジプト方言を学ぶ、というのがアラビア語を勉強する人の間ではポピュラーな方法になっているらしい。

よし、じゃあエジプト方言やったろうじゃないのと言って意気込んでみたものの、アラビア語の壁はさらに私の行く手を阻む。覚えたてほやほやのエジプト方言のアラビア語を職場のアラブ人に披露したところ、「えーでもそれエジプト方言じゃん。この職場ではレバノン方言が主流だよ」。

アッラーというのは、どこまでもアラビア語学習者のやる気を萎えさせるのがお好きなよう。翌日から速攻で学習意欲が萎えた。

じゃあ次はレバノン方言かというと、レバノン方言のネット教材なんてほとんどない。多分語学学校でも教えていないんじゃないかというレベル。となるともはやドバイで通じるアラビア語を勉強する手段などないのだという絶望的な段階になる。

ちなみにUAEで話されている湾岸方言はどうなのか?と聞かれたら、まず現地のエミラティたちと話すことは日常生活においてないし、湾岸諸国にもあまり興味はないため、これまた使えない言語となることは必至である。

アラブ人同士はどうやって話す?

ここで疑問なのは、出身国が違うアラブ人たちは一体どのように意思疎通を図っているかということである。同じチーム内にいる、エジプト、モロッコ、レバノン人たちのケースを見てみよう。

なんと彼らアラビア語で流暢に会話しているではないか。方言の違いを超えてそんなことがありえるのか?いやありえるらしい。

本人たちに聞いたところ、100%ではないがある程度はわかるのでアラビア語で話しているとのこと。

しかし、やっぱり方言の違いを100%乗り越えられないのか、たまにアラブ人同士なのに英語で会話をしていることもある。また育った環境などにより多くの方言を理解できる人もいた。

この様子を見ると、まあなんとなく気合でいけないこともないのかなとちょっと淡い期待を抱かせる。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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