旅行者から見たイランの治安。女性でも安全に旅行できる?

何かと話題に事欠かないイラン。

常にアメリカやイスラエル、サウジアラビアと火花を散らしていたり、核開発などといったおどろおどろしいワードのせいで、危険な国というイメージを持つ人は多いだろう。


しかし、そんなイメージに屈してイラン旅行をあきらめてしまうのはもったいない。

イランを旅行した多くの人は、「イランはホスピタリティがあふれる国」、「建築物が美しい」、「物価が安くてバックパッカーに優しい国」、「旅行前後のイメージにギャップがありすぎる」など。

それはそれはもう絶賛の嵐である。


カシャーンにあるモスク

イランの治安は良い?

イランを旅した人のブログや、実際に行ってみた感じとして、イランの治安は比較的良いと言える。首都テヘランをはじめとする、エスファハン、シラーズには、世界中から観光客が訪れている。

女性が気をつけるべきこと

いくらイランが魅力あふれて、基本的には安全な国とはいえ、女性の場合気をつけるべきこともある。

イラン国内では、外国人女性であっても、スカーフを髪で隠すことはマスト。さらに、体のラインがでない服やアバヤを身につけることが求められる。

しかし、いくら現地の女性と同じような格好をしていても、外国人女だということをかぎつける連中もいる。

そして、中には外国人女だから、ちょっかいをだしたれ、という悪質なやからもいることを心に留めておこう。

テヘランで人通りが少ない道を歩いていた時、バイクに乗る男に無言で、ひたすら追い回されたことがある。窃盗がしたかったのか、嫌がらせなのか、真意はわからないが恐怖でしかない。

日本であれば、女性が一人で道端を歩いているのは、なんてことない光景だ。長い髪をふさあっとやったり、多少肌を露出していても、人々はとりたてて何も思わない。

しかし、ここイランではそれはそれはもう・・・過激なゲリラ行為なのである。というか、法律違反である。

そんなわけで、外国人女性が歩くという光景だけでも、見る人によってはとんだ刺激になってしまうことを覚えておきたい。おおげさに聞こえるかもしれないが、国や文化が違えば感覚も違うのである。

夜歩きは大丈夫?

基本的に海外を旅行する時、夜歩くことは避けたい。世界には、昼間歩いていてもやべえ国がいくつかあるのだ。夜はいわんや、だろう。

よって個人的には、夜歩きはしないポリシーなのだが、時間の都合上どうしても夜歩きをせざるをえないこともあった。

それがイスファハンに滞在した時である。午後10時前ということもあり、暗いし人通りも少ない。こんな場所を一人で歩こうもんなら、自らサメのいる海を泳ぐようなもんである。

1メートル四方の結界を張り、早歩きをしたことが功を奏したのか、幸いその時は何も起こることはなかった。それよりも驚愕したのは、イラン人たちの夜中の活動率である。

イスファハンの観光スポットとしても有名なハージュ橋には、多くのイラン人がたかっていたのである。老若男女関わらず、もうイラン人がわんさかな状態である。


イスファハンのハージュ橋。橋のたもとでは、家族ぐるみでピクニックしていたり、友達同士でまったりしたり、即興音楽で盛り上がる集団などがいた。

すでに時刻は深夜近くになっていたのだが、小さい子どもまでもが家族に引きつられて「夜遊び」しているではないか。

実は、深夜近くでもちびっ子たちが、外で遊んでいる様子は中東ではさほどめずらしくない。昼間が暑いため、人々はむしろ夕方ぐらいから活動をするのである。

知っておくべきイラン旅行のリスク

たとえバックパッカーや私なんぞが、イラン旅行は安全だったぜ~といっても、日本とは違うまったくの異国であるということを忘れてはいけない。

一見、安全そうな場所にみえても、思わぬ落とし穴がある。

2019年に、2人のオーストラリア人ブロガーが拘束されていることが報じられた。事態が明らかになったのは、彼らの拘束から10週間後のことである。拘束の理由は、「ドローンを無許可で飛ばした」ことや軍事施設の近くでキャンプをしていたためでは、と言われている

同じく別のオーストラリア人女性も、拘束されていることが明らかになった。

彼女は、オーストラリア大学で働く講師で、拘束されてからすでに1年が経っているという。さらに拘束された理由も明らかになっていない。

これは稀なケースではない。イランでは、外国人が逮捕されるケースが過去にもあった。中には、逮捕の理由が明らかにならず、不当に劣悪な刑務所に長年に入れられてしまうケースもある。

安全な国であってもちょっとしたことで、とたんに自分たちの常識が通じない理不尽な国へと転じることもある。

イランで近づくべきではない場所

イランは国土が広い国である。行く場所によって、治安状況もずいぶん異なる。

多くの旅行者が訪れる首都テヘランやシラーズ、エスファハンは、平時であれば治安は問題ない。一方で、アフガニスタン、パキスタン、イラクといった情勢が安定しない国との国境近くは、レベル4の危険度になっている。

さらに、イギリス外務省によると、危険度4の地域に近い、イラン南東部にあるジャスクやバムといった都市は、強盗や麻薬取引が頻発しているという。

イランに長期滞在して、各都市を回る場合には以上のことも留意しておきたい。

安全な旅にするかは自分次第

いくら周りが治安は大丈夫だといっても、最終的に安全な旅にするかどうかは、自分次第である。

一概に、危険な場所だから絶対行かない方がいいだとか、治安は問題ないから何をやっても安心というわけではない。特に中東という地域は、外交関係やタイミングによって治安が、頻繁に変わる。

さらに、日本とはまったく違うルールで動いている国も多いので、ひょんなことから拘留、逮捕といったこともありえる。日本人だから大丈夫だろう、とたかをくくることはできない。

だからこそ、事前に現地のニュースをチェックしたり、複数のリソースをチェックすること、信用できる人物から話を聞く、といった綿密な準備が必要になる。

情報は多すぎても悪いことはない。知ることで、危険のリスクを減らすことができるからだ。

イラン旅行のおともに

イラン出身の吉本芸人が書いた本。イランについてこれほど面白く、軽やかにかいた本を他に知らない。イラン人が面白すぎるというより、この本が面白すぎる。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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