海外、初めてのクライアントミーティング

正確には初めてではない。今までもドバイで働き始めてから何度もクライアントミーティングはあったものの、過去のはカウントしたくない。いろいろあったせいもあるが、とりあえずまともな企業とのミーティングと初のミーティングとしてカウントしたいため、タイトルのような出だしになったのである。

これは大企業そうでない企業を区別するという意味ではなく、なんとなく今までのものはオフィシャル感が薄かったため果たしてこれをまともなミーティングと呼んでいいものかどうか迷っていたからだ。


さてクライアントとの初めての顔合わせ。すでに何度も参加している上司からは恐ろしい噂を聞いた。なんと前回のミーティングはぶっ通しで5時間もやったという。なんとなく今までのコミュニケーションぶりから常軌を逸している(でもこれ政府系の会社でドバイで知らない人はいない)と思っていたが、そこまでぶっとんでいるとは。

あまりにも常識外れの話だったので、気分はまるで北朝鮮に行くようなものだった。北朝鮮だと思えば、どんな不条理なこともまあ北朝鮮だからしょうがないか、と思えるので気が楽になるのである。北朝鮮のみなさん、ダシに使ってすんません。

北朝鮮に乗り込むということもあって、かなり心を武装していったのだが聞いた話とは裏腹にこれが結構フツーだった。前回が初回のミーティングだということもあり、副社長も含めたお偉いさんがお出ましになりあれこれと議論が長引いただけだったらしい。

社外ミーティングだと、タクシーか電車を使うのが当たり前だと思っていたがここドバイでは車所有率が高いため、自家用車での移動が一般的なよう。インド人の上司の車に乗り込むと、あまりセンスがよろしいとはいえない、赤と黒の革張りの内装が目に入る。まあ乗せてもらっているので文句は言えないが。

はじめにビビったのは同行したインド人たち(一応上司)の行動である。ミーティングルームのテーブルに置かれているペットボトルの水(人数分あったわけではないので、決して来客用に置かれたものではないとわかる)をなんのためらいもなくごくごくと飲み干し、これまたてんこもりになって置かれている飴をためらいもなく口に放り込む。

なんとなく主の了承を得てからものに口をつけるのが普通だと思っていた私は、あっけにとられた。そんなぼけーとしている私をみたインド人たちは、「ああ、日本人はこういう時ものすごく礼儀正しいもんな。でも俺たちインド人はそうでもねい」と言ってのけた。

ああ、そうか。こんな風にリラックスした普通の人間として振舞えばいいのだなとちょっと心の緊張を解く。ちなみに横にいた遅れてきた同僚のイギリス人もミーティング中に、あつかましくも(あくまで私視点で)ペットボトルの水を2本飲み干し、飴を口に放り込むという軽さだった。ひえ!?

クライアントはどんな恐ろしいやつが来るのかと思いきや意外とまともだった。イギリス人数名となぜかイギリスなまりの英語を話すコロンビア人。ドバイの政府系の機関なのでてっきりアラブ系かと思いきや、ほぼ全員がよそ者という事実。ドバイを推進する事業なのに大丈夫かいなと余計なことを考える。

ちなみに名刺の交換とやらはなかった。こちらはどうも、といって握手をする習慣が一般的だが、たまに握力が強すぎる人がいて困る。あたしの手は握力計測器じゃないんだから、ぐっと強く数秒握る必要なんてないんですよ、といいたい。

イギリス英語がイマイチわからない(いや、英語力が全般高くないだけかもしれない)ので、イギリスがUAEを占領していたという歴史をここでも恨むことに。

歴史にもしもはないが、もしアメリカがUAEを占領していたら私のドバイの生活は少し楽だったかもしれない、というどーでもいいことを考えてしまう。香港とかパキスタンとか地味にイギリスは占領していたんだなと思うこの頃。

ミーティング時間は5時間とはいかなかったが、結局2時間で終了(それでも十分長いけどね)。ということでここにオフィシャルなミーティングが終了。人間的で野生的なミーティングだった。日本でのミーティングは何気に抑圧されるものがあるような気がした。