アフガニスタン、ソマリア、「危険地帯」へ誘う謎の旅行会社の正体

アフガニスタン、パキスタン、ソマリア。これらの国を聞いてまず普通の人が思い浮かべるのが、「危険」ではないだろうか。そしてそんな「危険」地帯には興味はあるものの、行く術がわからないという人を助けてくれるのが、このUntamed Bordersという旅行会社である。

私自身のソマリアへ行ってみたい!という辺鄙な夢を5年越しで叶えてくれたのも同社である。なぜ同社は上記のような「危険地帯」への個人ツアービジネスを行っているのか?

代表者のジェームスに聞いたところ、必ずしも「危険地帯」ではなく、あくまで普通の人が行かない場所に観光客を連れていくことで、その場所を違った観点から見て欲しいということだ。と同時に観光客が訪れることで、現地でのドライバーやツアーガイドにお金が落ちる。小さなことではあるが、政府が壊滅的で仕事を得ることが難しい国においては、こうした観光が少なからず現地への貢献となる、というまさにビジネスと非営利組織の両者を掛け合わせたような発想である。


この組織の創設に至ったアフガニスタンでのエピソードをTED Talkでジェームス本人が語っている。

ソマリアツアーに関しては、2011年にアフリカ連合ソマリア平和維持部隊(AMISOM)がやってきた翌年から開始したという。ツアーガイドに恐る恐る今まで事故があったケースはないのか、と聞くとソマリア観光ツアーに関しては1件もないという。ちなみに、現在はモガディシュツアーのみだが、海賊多発地域のプントランドへの観光ツアーも現在検討中だという。

ちなみになぜソマリアへの観光ツアーがありながら、イエメン、イラク、シリアといった場所へのツアーはないのか?と尋ねると、「シリアはセキュリティの問題以上に、アサド政権が観光目的での外国人の入国を拒んでいるから難しい」という。イエメンに関しては、かつてはツアーを行っていたが、観光ビザが廃止され、現在の状況になって以来とりやめたという。

そもそも観光ビザが発給されなければ、「フツー」の人間が、「フツー」の状況を伝えることは困難である。政府から締め出されてしまえば、我々のような一般観光客は、打つ手がなく、ジャーナリストとメディア頼りの情報にしか頼らざるを得ない。その意味でソマリアに関してはまだ「緩い」と言えるのかもしれない。イラクに関しては、来月、イラククルド人地区へ行く予定だという。このように、ジェームスは自ら現地へ赴き、ツアーができる状態にあるのか、ということを調査しているのだ。

アフガニスタン、パキスタン、ソマリア、ソマリランドというだけでもすでに十分にインパクトがあるが、状況が変わりやすいこの地域において、常に新たな「ツアー場所」の発掘は欠かせないのかもしれない。

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