意外すぎる!ソマリ人たちはこんなにも優しく面白い

スーパー短期な滞在であったとはいえ、ソマリアという未知の世界であった人々との出会いは、多くの「Wow!」を与える衝撃の連続だった。真っさらだったソマリ人というイメージに、現地のソマリ人と会話することで描かれていく「リアルなソマリ人」。もちろん「観光客」というフィルターはかかっているだろうが、「住民」としてのソマリ人を描くことが現時点では難しいため、これをもって少しでも「リアルなソマリ人」というものをイメージしていただければ幸いである。


ナイロビから出戻った人事マネージャー

ファトマはホテルで人事マネージャーを務めるしゃれおつなソマリガール。腰よりやや高めの位置にベルトをとめ、足を長く見せるという着こなしをするおされな女性だ。そして、いつも笑顔で5秒に1回ぐらい「うふふ」と可愛く笑う。

もともとはナイロビ生まれだったのだが、いわゆる自分のルーツを知りたいということで、2013年より1人モガディシュへ戻ってきたという。家族はいまだナイロビにいるそうだ。ソマリアに来る前は、スワヒリ語と英語しか話せず、家での会話でソマリ語を使うことはまったくなかったという。それが、いまやペラペラなソマリ語(といっても私はわからないが)で話している。

私がドバイに住んでいる、ということが分かるとファトマは「私ドバイが好きなの!」とドバイへの憧れをみせつつも、「ドバイのビジネスはソマリアと比べてどう?」などと聞くぐらい将来は自分でビジネスをやりたい!と強い意志を見せた。たった1人でモガディシュに舞い戻り、語学も独自で習得。将来ファトマが女社長になる姿がくっきりと思い浮かぶぐらい、きっと彼女ならできると本気でそう思った。

ファトマの出会いは、ソマリ人はみな(というかほとんどの人)国外に出たいと思っているのでは?という考えを打ち砕いた。わざわざ安全な場所から戻って来る人もいるのだと。あとで述べる最強メカばあちゃんにしても、やっぱり自国が好き!という人は確かにソマリアにいた。

Why Somali Pepole?

廃墟と化した建物がいくつもあり、どれもこれも撮りたい年頃なのであの建物も撮っていいかと聞くが、ダメだと言われることがしばしば。2泊3日しかない中で、写真が撮れないのはつらい。しびれを切らし、「ただの廃墟だから別にいいじゃないか!Why Somali People!」と叫んでしまった。なぜかソマリアで厚切りジェイソンになってしまった私。

しかしよく聞くとこれは軍事関連施設だからだめなんだ、と。「廃墟ですが、どの辺に人がいるんでしょう?」と真顔で聞き返すと、「ほら、あそこに門があるだろ?そこで兵士が見張っているんだ。廃墟に見えても中にはちゃんと人がいるんだよ」と。どこからどうみても廃墟の建物にしか見えないが、確かによく見るとイターーーー。カメレオン的すぎてわからなかったが、石を無造作に積み上げて作った箱のようなスペースの中に、だるそうにしている銃を構えた兵士。

それ以降注意して建物をみると、確かに廃墟で人など住んでいないだろう、と思うビルに洗濯物が干してあったりと人の生活感が漂っているのである。ソマリアでは、廃墟に住み着く人もいるのだ。

72歳でも現役!最強メカばあちゃん

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おれのばあちゃんを紹介してやる、といって笑うと2本の銀歯が光るヤクザっぽいソマリ人に紹介してもらったのが、御歳72歳の最強ばあちゃんである。何が最強かって、ホテルのオーナーでありその辺の土地一体を仕切っているリッチなばあちゃんなのである。しかも米国の市民権を持ちながら、「やっぱりソマリアの方がいいのよ」といって祖国愛を見せる心意気。

驚いたのは、ばあちゃんの両手には、サムスンのスマホとタブレットが。なんと!72歳にして、両刀使いとは。しかも、「今日はネットが遅いわ。ぷんぷん」などと漏らすほどである。私よりもあざやかにタブレットとスマホをすいすい使いこなしている。

はじめこそ「写真はお断り」といっていたが、メカを難なく使いこなすびっくりぽんなばあちゃんを見て、「おばあちゃんがスマホとタブレットを使いこなすなんて日本でも滅多にないよ!ぜひこの姿を伝えたい!」と興奮気味に言う。すると、向こうもそれを面白がってか「一緒なら写真を撮ってもいいよ」ということで、すんなり許可が下りたのである。

おもてなし大好きなソマリ人

どこへいっても「ソマリアへようこそ!」とにこやかに言われるのは、たまげた。なんと明るくウェルカムな人々なのだろうと。

ゲストをもてなそうという強い心意気を感じるのがソマリ人。すでに予定は決まっているのだが、ガイド達はどこへ行きたい?何をみたい?何を知りたい?と逐一聞いてくれる。必ずしもすべてが実現するわけではないのだが、安全を保ちつつもなんとかゲストにできるだけのことをさせてあげたい、という安全と好奇心のギリギリの攻防の中で、おもてなしをしてくれる。

普通のソマリ人の家に連れて行ってくれたのも、ツアーの旅程に含まれていたわけではなく「普通の人の家にいってみたいな〜」と私があつかましくなんどもつぶやいたからである。また、「あの女の人がつけてるヒジャーブが欲しいなあ」といえば、「よし、オーダーしてやる」といってすぐさま仕立て屋に連絡して手配してくれるほどである。

その時は、自分で生地をみてから決めたいといったので、「よし、じゃあオーダーはストップだ」といってくれたが、対応の早さとこんな個人的な要望にも答えてくれようとする彼らの心意気には本当に感謝だ。

また、先ほどのヤクザっぽいソマリ人は、「ソマリアの文化を見せてやるからついてこい!」といって、ホテルの横に隣接する特別客用の小さな食堂に連れて行ってくれる。「これはソマリアの伝統的な布、これは500年以上前に作られたベッドなんだ」と頼んでもいないのに、細かく説明してくれる。

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500年もの?のベッドに座らされて写真をとらされるの図

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ソマリアグッズ一式

そして、自らカメラマン役となり写真もバシャバシャとってくれる。おお!なんと心遣いができるソマリ人なんだろう。そして写真も上手く撮れている。ありがたいことこの上ない。

ソマリアでは色白がモテる?

「あそこの女の子と達を見てみな、かわいいだろ?」とガイドが指差す先を見ると、おや肌が白い女の子たちだ。白いといっても白人ほど白いわけではない。ソマリ人といえばてっきり色黒な人が多いのかと思いきや、そうでもない人もいるらしい。「彼女たちはおそらくアラブ系だけど、ここソマリアで生まれ育っているんだ」という。

しきりに私のことも「Beautiful」といって隠れて自分のスマホに写真を撮るぐらいなので、美白であること=モテの特徴の1つと言えるのかもしれない。

ソマリ人はモデル体型

つくづく撮った写真を見返すと、ソマリ人ってめっちゃモデル体型じゃね?ということに気づいた。ソマリ人はエチオピア人同様に太っている人が少ないように思う。むしろ全体的にガリガリとはいかないまでも、ほっそりとした人が多い印象を受ける。しかも、背がすらっと高く、小顔である。何気に、何頭身だろうと思って、護衛たちを観察していると、なんとぴったり8頭身。もはや護衛モデルである。

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小顔なソマリガールとの写真。明らかに私の顔のでかさが目立つ。

顔がでかいことに悩む私が、ソマリ人と並んで写真をとると余計に顔がでかいことが強調されるのである。

さらにソマリ人は芸能人並みに歯が白い。添加物やコーヒーをあまりとらないからなのか、それとも木の歯ブラシのおかげなのだろうか。木の歯ブラシでもしかしたら、歯が白くなるかもと思い、ガイドのアフマドに頼んで木ブラシを調達してもらった。

磨いてみるとこれがなんともハマる。磨き心地がよく、しかも歯がツルツルになる。もしや普通の歯ブラシと歯磨き粉よりもいいのでは?と思うぐらいだ。というわけで、その日以来私は木ブラシで歯を磨いている。

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木ブラシ。外の皮を噛んではぎ、中の繊維で歯を磨く。

というわけで、ソマリ人はモデルになるための要素を生まれながらにして持っている、なんとも羨ましい人たちなのである。

世界はコーラよりもスマホ

もはや世界はコーラよりも、スマホの方が浸透率が高いのではないかと思ってしまうほどソマリ人がスマホを持っているのをよく見かける。こんなところに?という僻地であったとしても必ず見かけるのがコーラの看板だ。ケニアの僻地でそれを目にして以降、コーラというのはもしかしたら世界で一番浸透しているものなのかもしれないと思った。

ソマリアにもコーラ工場があると聞いたが、ここにきて、今や世界はコーラよりもスマホ(もしくはガラケー)なんじゃないかと思うほど、スマホの浸透率は高いと感じた。

決してソマリ人=未開の人というイメージを持っていた訳ではなく、私が単にものの流通というのを甘く見ていただけである。私でも買えなかった、最新のiPhone6s(なぜか色はピンク)を持つジャッキーは、待ち受け画面を自分の写真にし、今までやってきたモガディシュツアーの参加者の様子を見せてくれた。

それどこで買ったの?と聞くと「モガディシュだ!」と胸を張って答える。なんと!?モガディシュでもiPhoneが手に入るとは。おそらく国外に出たソマリ人が帰国して、転売をしているのだろうと思った。

またホテルで働く別のソマリおじさんは、ノルウェーに住む妹からもらったというiPadを大事にそうに抱えている。「一枚写真をとってもいいか?」といい私の写真を撮ると満足げな顔をして、お礼に「メモ代わりに使いな」といって新品のノートをくれるいいおじさんであった。

ソマリ人はなんでもバナナをいれる!?

ファトマと食事をしていて、例のごとく「うふふ」と謎の微笑みをしたかと思うと、いきなり「知ってる?ソマリアではなんでもバナナをいれるのよ」という仰天発言をした。まさかーと思いながらふと手元を見ると、頼んでもいないのになぜかバナナが置かれている。デザートとしてではなく、まるで何かに使えというメッセージを発しているようだ。

驚く私をよそにファトマは、自分のパスタにバナナを入れ、「こうやって食べるの。やってみなよ、おいしいから」とパスタとバナナを一緒に口に放り込む。

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パスタとバナナという珍風景。

ぎょへ!?パスタとバナナて異色のコラボすぎるわ。それを見て、私も恐る恐る手元のバナナを向き、小さく切ってご飯にまぜて一緒に食べてみる。ファトマの機嫌を損ねないため、一応「おいしい・・・かも」というが、実際はご飯とバナナの味である。食べれなくもないが、ご飯だけを味わった方がよいということで、その1口だけで終わった。

ファトマに同調するかのように、一緒にいたガイドのジャッキーもバナナをご飯にのせ、ソマリ人バナナ大好き説を裏付けるかのようにおいしそうに食べるのだ。こいつ、昨日はバナナなしで食っていたのになんか胡散臭いぞ・・・ファトマの顔色を気にしているのか?

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バナナとご飯。珍風景その2。

ということで全員ではないだろうが、ファトマのようにバナナ好きでなんでもバナナを入れてしまうというソマリ人は確かにいるようだ。

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