面接に大幅遅刻、果たして面接は受けられるのか?

うそだろ。手元にあるスマホの地図アプリを見ながら私は呆然とした。面接まであと20分。なのに、自分がいるのは、面接を受ける会社とは駅を挟んだ正反対側だったのだ。こうした見慣れない土地で、大事な約束や必ず行かなければならない場所の場合は、Uberを使うのが常だが、今回ばかりは「駅近だし、なんとかなるだろう」と甘く見ていたのだ。

クールポコでいうところの「やっちまったなあ」である。20分とはいえ、ドバイの駅はでかい。全速力でいかなければこれは間に合わない、とすぐさま察知し、今来た方向へ走り出す。「ああ、自分なにやってんだろう」と思いながら、一人全速力する女。

しかし5分も全速力をすると息がもたない。自分の体力の衰えに悲観しながらも、面接先へ。ああ、もうだめだ(体力的にも時間的にも)と思い汗だくになりながら、走れメロスのようにただひたすら道を行く。たとえ工事現場で道がふさがれていたとしても、お上品な面接の格好で工事現場をまたいでいくのだ。


なんとか受付にたどり着くと、受付のおっちゃんが「大丈夫かい?」とティッシュを差し出してくれる。受付の人の人間性からして、会社が違うわ、とその品性に驚きながらも言われた場所へ行く。

そして面接開始時間から遅れること約10分。止まらない汗をなんとか先ほどのティッシュでふきまくり、体裁を整える。面接に遅刻するなんて人生初である。遅れてしまったことに対して、やっぱりUberを使えばよかった、時間をケチらずもっと早く行けばよかった、といったいろんな後悔と悲観的な考えが頭をぐるぐるよぎる。

しかし、大量に出ていた汗もおさまり、待つことさらに数十分。「もしかしたら面接を受けさせてもらえないのでは?」。なかなかこない面接官に対し、「このまま放置されるのだろうか・・・」「これが面接遅刻者への報復なのだろうか」などと考えていた。が、面接官がようやく現れ、第2次面接が始まったのだ。

面接といっても、出された課題に対して作成したプレゼンを披露するというもの。出てきた面接官の1人が、あの有名なOld SpcieのCMに出てくる人に教養さを30%ほどブレンドした感じの人だった。そのため緊張は幾分かほぐれたが、イギリス英語のなまりなのか知らないが何を言っているのか解読不明。何度も聞き返してしまった。

Old Spiceの人

イギリス人ルームメイトの英語は、はっきり分かるのに、なんで同じイギリス英語なのに、別の言語に聞こえるんだろう・・・このように人によって英語が分かる、分からないという事実が非常にもどかしい。また同時に、もっと英語勉強しなきゃいけないんだろうなあと自分の英語力不足を感じる。

と英語の問題はさておき、プレゼン内容は非常に好評だった。あんな短期間(3日)で、これだけのものを練り上げてくるとは!といった感じ。そりゃそうだ。日本での正月返上して、面接用のプレゼン資料を作ったんだから、低いクオリティのものは作れない。と同時に、純粋にドバイでも自分の実力を認めてもらえた、というささいなことがとんでもなくその時の自分にとっては嬉しかった。

日本語、英語のスキルを除いて、専門スキルだけで勝負したい!と常々思っていた。日本にいれば、「英語がそこそこできる」とか「バイリンガルであること」が不思議と優遇される価値になる。なので新卒採用においても「帰国子女です」とか「留学してました」という、海外ではまったく評価されない俗人的な要素で、採用を決めてしまっているような気がする。

だからこそ、みんなが英語をしゃべれて当たり前な場所で、自分の価値を発揮しようと思ったら、それ以外の専門スキルを身につけるしかないのである。それが今、「バイリンガル」「英語」を除いた、純粋に「専門スキル」だけで、ジャッジしていただけたのだから嬉しさはこの上ない。

そして久しぶりに、「代理店としての会話」ができたことも嬉しかった。面接官からのプレゼンへのつっこみも、同じ業界にいる人間と会話ができている!という感動。

その後、職場を案内してくれることに。そこには、まさに「プロフェッショナル」のにおいがぷんぷんただよっていた。まるで、ディズニーランドにはじめて来た子どものようにわくわくし、すぐにも「ここで働きたい!」と思うような雰囲気だった。もちろんスタートアップとグローバル企業という違いはあるものの、今までの面接を通じて、働く人間が作り出す雰囲気によるところが大きいのではないかと思う。

現在の会社は、女子7割でしかも年齢が非常に若い。年は50歳近くても、中身が17歳のギャルみたいな人もいる。要はキャピキャピした幼い職場なのだ。実年齢としては今の会社のほうがあっているかもしれないが、大体日本だといつも30代に見られる(決して老け顔なのではない。30代の雰囲気を出しているだけなのさ)。実際に中身も30代ぐらいだ!と勝手に自負しているため、居心地がよい雰囲気としては、平均年齢が30代前後のこうした職場のほうがぴったりくるんじゃないか。

と、どうでもいいことを考えながら第2次面接終了。これで終わりかと思いきや、「面接の結果は後日連絡するけど、次は人事面接だよ」。この面接はこれにて終了と思わせておきながら、人をがっかりさせる、このオチは本当にいらねえ!と毎回つっこみたくなる。しかし聞くところによると、人事との面接は普通は第1次面接らしい。ホリデーシーズンだったため、第2次面接→3次→1次という順番が前後したらしい。

なんだかな~と思いつつも、しっかりとした手ごたえを感じお礼をいい、会社を後にする。