ドバイの広告代理店で働いてわかった中東の広告業界事情

日本を出る前は、ネットの仕事なんて国が違っても大体同じだろうと思っていた。ドバイで働くこと約5ヶ月ほどになって感じるのは、確かに同じだが、違うこともたくさんあるということ。それと同時に日本という限定されたマーケットでは学べなかったことがたくさんあった。

ターゲットの言語は?

日本は日本語が主な公式言語である。であるからすべての広告は日本語しかありえない。しかし英語もアラビア語も公式言語だといわれたら、どうなるだろう。そうお察しの通り、英語もアラビア語も含めなければいけないのである。


であるから、クリエイティブ制作の場合には、同じクリエイティブの中に英語とアラビア語を含めるのか、はたまたどちらか一方にするのか、もしくは英語とアラビア語で別々に作成するのかなどなどとクリエイティブ1つにしても労力が2倍以上かかる。

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UAEを対象としたInstagram、フェイスブック広告。このように広告はアラビア語+英語、もしくはアラビア語と英語で別々だったりと様々。

さらにはビジネスによっては、英語のほうが反応がよかったり、アラビア語のほうがよかったりするので、これはやってみないと一概に言えないのである。

え?アラビア語ができないのにどうやって私は仕事をしているのかって?それは、同僚のエジプト人に頼んで翻訳をしてもらっているのである。このようにアラビア語圏とはいえ、UAE、カタールは例外的に英語だけでも仕事がもえらえる国なのである。

ターゲット国は中東全部を狙っちまえ

日本であれば、ターゲット国は日本以外にないのだが、こちらはターゲット諸国はまとめてGCC(UAE、クウェート、バーレーン、カタール、オマーン、サウジアラビア)やたまにGCCにエジプト、レバノンやヨルダンもつけといてなどという注文もやってくる。

バーレーン、カタール、クウェートは人口も少ないだけあって、マーケット自体も小さい。おそらく感覚的には、GCCをひとつの国としてとらえているようなところがあるのかもしれない。日本で言う、四国、九州、沖縄みたいな。そう考えると納得できる。

島国の人間からすると、国外をターゲットにするなんてもはや海外進出レベルじゃん。うわー戦略考えんと。などとオロオロしてしまうのだが、こっちにはそんなものはなく、狙えるものは狙っちまえの精神である。

まあデジタルなのでこうした国の壁は簡単に越えられる。しかし日本にいたらそんなことさえも微塵にも思いつかなかった。やはり島国の影響なのだろうか・・・

屋外広告は未だ強し
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日本ではすでにデジタル広告へシフトしつつあり、駅構内広告や屋外広告というのは「広告主募集」などといった閑古鳥が鳴きつつある状態である。しかしここドバイはどうだろうか。もちろんデジタルへの出稿費はかなりあるものの、周りを見渡せばこぞって大手企業が屋外広告を出している。

しかもドバイの屋外広告はスケールが違う。めちゃくちゃでかいのである。建物自体が大きい、建物と建物の幅が広いということもあるだろうが、あれだけ大きかったら否応にも見てしまうのである。ということでまだまだ屋外広告の効果は顕在といったところだろうか。

ちなみに屋外広告はスペースがでかいので、堂々と英語&アラビア語を掲載しているケースが多い。

時期にルーズ

日本だったらクリスマスセールの広告はクリスマスが終わったら即効で別のものに差し替える。期間限定なのに、その時期が過ぎても広告を出しているなんてありえないのである。しかしここドバイではどうだろうか。

電車広告を見ても、11月末のセール広告を平気で1月までかざるというルーズさよ。他に出稿する企業がないのか、それともとりあえず自社の広告であることには変わらないということでそのままにしているのかは謎である。

LINE?なにそれ?

日本の広告業界では、LINEが熱いぜ!などといってこぞってLINEへの出稿が相次いでいる一方で、Facebookは高いなー効果がいまいちだなーなどという雰囲気が流れていた。しかしそれがどうだろうあんなにLINEに熱くなっているのは日本ぐらいに違いない。

日本を出れば、大体世界はFacebook一色なのである。というぐらいまだまだこの地域ではFacebookが広告としてかなりの効果を発揮している。

ちなみに下記はアラブ諸国のソーシャルメディア利用状況をあらわしたもの。
ArabSocialMediaReport-2015__1__pdf
ArabSocialMediaReport-2015 WPP

ご覧のようにフェイスブックが87%とトップの人気を誇っている。一方で、LINEに変わるのが、Whatsappというメッセージアプリ。トーク機能(スタンプなどはない)とフリーコールというシンプルな機能しかないが、Whatsappが2番目に人気のソーシャルアプリとなっている。

Googleもその成長性を認めている
Think_with_Google

数ヶ月前ようやくGoogleがThink with Googleの中東・アフリカ版をローンチさせた。Think with Googleというのは、Googleの広告商品の紹介、ケーススタディ、最新の方法論などを紹介する業界の人間にとっては大変ためになるサイトである。

Googleのオフィスはドバイにはまだないが、Googleがわざわざ中東版を出してくるということはすでにそれなりの広告需要があり、今後も高い成長率を見込めるという目論見があるのではないか。

ということで違いをあげたらキリはないが、それでもある程度の方法論というのは代わりがないので、マーケットの特性を理解してちょっとずつ調整していけばどんな国でも対応ができると思う。