憂鬱なシークレットサンタの行方

海外の会社ではクリスマスの時期になると、まことしやかに行われる行事。それが「シークレットサンタ」だ。トップが外人のような外資系の会社にいると、年末は忘年会ではなくクリスマス会をやろうという流れになる。そしてそのクリスマス会につきものなのが、「シークレットサンタ」なのだ。

シークレットサンタというのは、あらかじめ社員に別の社員の名前が書いた紙が配られ、その人へのクリスマスプレゼントを調達してこい、という通達がなされる。日本風にいえば、匿名のプレゼント交換である。

ここイスラームの国、ドバイでも現地色が強くない会社では、シークレットサンタが行われるようで、私の会社でも行われることになった。はて、誰に渡すのかと思い紙を広げると「ゲリー」と書かれている。


「・・・・ゲリーって誰だよ」

私が働いている会社は、親会社の投資会社の傘下に複数の会社の1つ。オフィスにはそのほかにも投資を受けている別会社がいるわけで、ゲリーというのは、どうやら別会社(といっても大体みな顔はあわせる)で働いている人らしい。

人事のイタリア人にこっそりと、「あのーゲリーって誰?」と聞くと「あそこの坊主の人だよ」といって指差したのは、顔こそよく見るが話したことがないアイルランド出身の人であった。はて、困った。顔しかしらない人に何をあげたらいいものか?

こうしてシークレットサンタの苦悩が始まるのである。とりあえず仕入れた情報は彼はもとシェフ、アイルランド出身、既婚、子どもがいる、ということぐらいである。しかも予算は1000円程度とドバイでは、1000円というのはたいしたものを買う余地がない価格

まあ無難なお菓子しようということと、ちょっくら日本の高品質お菓子をあげて日本への印象をよくしようという頼まれてもいないのに勝手に文化大使になった気分で、ドバイモールのヨックモックにてお菓子を買うことにした。しかしどれも高すぎて予算オーバー。

困って店員さんになきつくと、すでにあったお菓子の詰め合わせを調整して、予算内におさめてあげるよ、という神対応をしてくれた。

聞くとヨックモックは中東のリーマンがおみやげに買っていくばかりではなく、現地の人にも人気のよう。どうりでヨックモックの詰め合わせもローカライズされているわけだ。アラブ人は家族が多いらしく、手土産でもこんなに大量になる。

blogger-image-1639242683

そして当日。プレゼントを渡すことには誠心誠意をかけていたが、もらうほうには正直言うとほとんど期待していなかった。なんせドバイだもの。当日になって、プレゼントを買い忘れた!というインド人がいた。そのインド人は急いで近くのスーパーに行き、チョコレートの詰め合わせを持って帰ってきた。

それを見ながら「あれにはあたりたくないなあ」と内心思っていたのだが、なんの因果かそれが私のもとにやってきたのである。

どうやら私はサンタ運がないようである。

しかしありがたくいただかねばと思った私は、その翌週ずっとチョコを食べ続け2キロも太ってしまったのである。来年はシークレットサンタのない場所にいたいなあと思う私であった。