「謎の独立国家ソマリランド」著者、高野秀行氏にソマリランドで遭遇

2014年3月10日。ハルゲイサからホテルに戻り、何気なくネットを見ていると、なぜか謎の独立国家ソマリランドの著者、高野氏のブログにたどり着いていた。


そこで偶然(本当に偶然)、高野氏が現在ソマリランドにいることを知り、急いで高野氏のツイッターを確認。本当だ、あの高野氏がソマリランドに来ている。うおーなんということだ、これはぜひ会わねば!と高鳴る興奮を抑えつつ、ツイッター経由で高野氏にメッセージを送る。その時、午後4時。

見てもらえるだろうか、見てもらえたとしても明日の昼にはソマリランドを出発するからそれまでに会えるだろうか。興奮と不安と期待がマックスに混じり合いつつ、その日は返信がくることがなかった。やっぱり無理かとネガティブになりつつ、半ばいじけ気味にベッドに潜り込み、眠りについた。

翌日3月11日(実は私の誕生日)。朝一でツイッターをチェックしたが返事がない。やはり見てもらえなかったのだろうか。もしくは、こんなところで変な日本人観光客に会うのは面倒だと思っているのかもしれない。と思いつつ、朝食を食べ半ば絶望気味に、一方でまだあきらめきれずにツイッターをなんども更新している。あーあ、せっかくの誕生日なのについてないなーと思っていたその瞬間。ついに来た。高野氏からのメールだ。

Twitter___Notifications

メールには泊まっているホテルと電話番号が添えられていた。フライトは13時10分だが11時前には空港に向かわないといけない。現在午前8時。時間はない。ということであわてて荷造りをし、どたばたとホテルのロビーへおりて行く。スタッフに電話を貸してもらい高野氏に電話をする。すると、本当に出た。高野氏本人だ。

10時過ぎには空港へ向かうので、なんとかその前に会えないかとかなり無茶で自分勝手なお願いをする。すると、8時半にはホテルを出るから難しいかもと高野さん。それでもここまで来たんだから何がなんでも会いたいという強い気持ちにおされ、

「間に合わないかもしれませんけど、一応ホテルに行ってみるだけ言ってみます」

といい、私は電話を切った。

そこからが大変だ。ホテルのスタッフをせかしタクシーを大至急呼んでくれと叫ぶ。隣にいる欧米人に変な視線もかまわず、興奮とはやる気持ちでいっぱいだった。やっとタクシーがきたかと思ったら、なんとうんちゃんは19歳の若造だ。こんな時にこんな若造で大丈夫か。と内心もうだめだと思ったが、なんと19歳のうんちゃんはその不安を一気に消し去ってくれるほどのグッジョブをかましたのだ。

英語ができないうんちゃんなので、ホテルのスタッフに

「このホテルにいきたい。急な用事だから急いでくれ」

と何度も念押して伝えてもらった。それが通じたのか、19歳のうんちゃんはどうやら近道をしてくれたようで、なんといつもの半分の時間で町についた。そして待ち合わせのホテルへ。

薄暗いホテルの入り口に入ると、まっさきに高野氏とその連れの方(名前をうかがっていなかった。すみません・・・)がいた。さっきまでの焦る気持ちが一気にどこかへ行き、まるでここがソマリランドかと思わせないぐらい、自然な感じで日本語の会話が始まった。

「まあとりあえず飲み物でも注文したら」

という高野氏の言葉に促され、ソマリティーを注文。そこからまず簡単にあいさつをし、3人とも早稲田出身ということで探検部の話へ。それから高野氏に今回の渡航目的やソマリ語の習得方法など思いつく限りの質問をした。

そして普段はめったにしないことだが、ここまできたらもう図々しさとかかまっていられないという思いだったので、サインと写真を一緒にとってもらえないかとお願いすると、快くOKしていただいた。しかも図々しいことに、

「今日が誕生日なんです」

と言うと、日本語とソマリ語で誕生日おめでとうございます!という言葉を添えてもらった。まさに人生最高の誕生日プレゼントだ。


感無量・・・

そんな楽しい時間も過ぎ、高野氏が

「パートナーが来たみたい」

といってホテルの前にやってきた車へ向かう。そこに乗っていたのはあの本に登場するワイヤッブ氏だ。本に出てくる人物に実際に会うとはなんだか変な気分だが、これぞリアルワイヤッブだ。高野氏がソマリ語でワイヤッブと話をするのを見て、こんなに現地語ができるからワイヤッブ氏とも深い信頼関係が気づけて、現地でもディープな取材ができるんだと思った。

高野氏一行が乗ったワイヤッブ氏の車を見送りながら、自分のタクシーへと戻る。たったの30分程度であったが、誕生日1日を気分上々で過ごすには十分な出来事だった。興奮はソマリランドを出発するまで覚めやらず、次のエチオピアに向けてなんとか心を引き締めていかねばという思いと半々だった。

今回の旅は続々編を書くための取材だと高野氏は言っていたが、その続々編が出るのが今から待ちきれない。